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第4回:お題「悪魔」「鞠」「鑑賞用の魔法」  作者: 読メ版創作深夜の文字書き60分一本勝負
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悪魔の庭 Sleep

使用お題『悪魔』

「この教室には、悪魔が住んでいる。悪魔に狙われた生徒には災いが降りかかる。それがこの学校に伝わる伝説です。嘘なんかじゃない、本当に悪魔はいるんです」

 薄暗い警察署の取調室。その一角で、震える声でその少年は呟いた。


「・・・で、悪魔がいたから刺しました ってか。そりゃあ、同級生を刺す理由にしちゃあまりにお粗末なんじゃねぇの」

 少年の供述を聞いて、マジックミラー越しの部屋で相棒が呟く。

「渡部さん、この少年から薬物反応が出たから俺達が来たんでしょう。真に受けないでください」

 そんな相棒の横で、東は肩を竦めて溜め息を吐いた。二人の所属している関東甲信厚生局は、医療・健康・福祉・年金などの社会保障政策を実施する 厚生労働省管轄の機関だ。ただし、そこに設置されている麻薬取締部に属する麻薬取締官は刑事訴訟法に基づく特別司法警察職員であるため、麻薬関連の調査や捜査に当たることも多々ある。今回も、都内の高校で起きた傷害事件の取り調べの際、刃物を持ち出した少年Aの尿から薬物反応が出たということで出向いたはずだった。しかし、悪魔とは・・・。

「またメルヘンな単語ですね」

「まぁ、何かを隠してるのは明白だけどな。見ろ。あの少年はずっとポケットに手ぇ突っ込んだままじゃねぇか」

 そう言って、渡部は被疑者の少年を顎で指す。

「おまけに、頻繁に鼻の周りを触ってるだろ。ありゃ、『なだめ行動』の一つだ」

「『なだめ行動』って、嘘吐いてるときのサインでしたっけ」

 鋭い目でそう解説する彼の専門は確か犯罪心理学。それに反論する言葉を繰り出すより素直に感心した方が理にかなっていると思い、東は素直に同意する。彼の言っていることが正しかろうとそうでなかろうと、どちらにせよ真実は一つだ。

「そう。それに、どう考えてもあの恐怖は本物だろ」

 少年は、焦点の定まらない目で何かに怯えている。

「クスリで見た幻覚とかでもなさそうですね」

 ひとまずは納得すると、隣から溜め息が聞こえた。

「こうしてても埒は開かないだろうし、探ってみるとするか」

「了解です。少年の通ってる学校、何ていいましたっけ」

「私立明の里学園。来週にでも入れるよう、かけ合ってみるか」

「了解です」

 そう呟いた渡部の横で、東も溜め息を吐いた。



つづく


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