表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

プロにおまかせ!

作者: ざるそば

牧野プロのその後です。



 俺の名前は牧野英二まきのえいじ。高校に通う傍ら、父の経営するレストランを手伝っている。学校でのあだ名は「牧野プロ」だ。円谷プロの円谷英二と下の名前が一緒だからという理由だ。


カランカラン


 おっ、客が来たようだ。この時間に来るのはヤツだな。


「おーっすプロ、今日も来たぜー!」


 はい、来ました、ブラックリストNo. 1の広瀬一文ひろせかずふみだ。


「なんだよ、またお前かよ、いっつもいっつも水だけ飲んで帰りやがって。たまにはなんか頼めよ」

「いや、お前んとこの料理高いんだよ」

「頼まねーんなら帰れ」

「おっちゃん水一つで」

「チッ、聞いてねーし」


 こいつは俺の幼馴染ではあるのだが、色んな意味で変態である。そういえば俺の親父が今日あたりに出禁勧告するって言ってたな。


「おととい来やがれこの野郎!」


 あ、出禁になったな。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 進級して3年生になった、俺は不登校になった。理由が気になるかい?それには触れないでくれ。


「へいらっしゃい!」


 俺は今は昼間もレストランで働いている。学校に行かないなら店を手伝えと言われ、接客を担当している。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ある日、店に来た客に話しかけられた。


「君、高校生かい?」

「はい、そうです」

「そうかい、いい接客してるね、卒業してもここで働くのかい?」

「いえ、そこまで考えてないです」

「じゃあ、うちで働くかい?結婚相談所やってるんだよ」

「え、じゃあ考えときます」

「いい返事を待ってるよ」


 その客は水だけ飲んで帰った。


(あいつのとこで働くのやめとこ)


 仕事が終わって父に話しかけられた。


「おい英二、さっきの人に何言われたんだ?」

「あの人がやってる結婚相談所で働かないかだってさ」

「いいじゃないか、行ってきな」

「え、でも…」

「いや、きっといい経験になるはずだ、バイトってことで少しの間働いてくるといい」

「ああ、まぁ、バイトなら」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 そういうわけで、今日は例の結婚相談所に来ている。前に話しかけてきた人はここの社長だったらしく、名前は新城しんじょうマリオというらしい。弟はルイージかな。ちなみに独身だそうだ。相談しにきた人にいろいろとアドバイスなどをしているらしいが、果たして信用していいものか疑わしい。


「今日からうちで働く牧野英二くんだ。皆、いろいろおしえてやってくれ。そし、じゃあ風呂津ふろつくん、頼めるかい?」

「え、でも僕いろいろと余裕ないんですけど」

「後輩の指導をするのは先輩の仕事でしょうが、文句言わないで頼むよ」

「……、わかりました」


 というわけで風呂津先輩にお世話になることになった。風呂津先輩は24歳で俺と同じ高校出身らしい。

 風呂津先輩曰く、ここは成果を挙げたものは扱いがいいが、成果をあげられない人はブラックな環境に置かれてそのうちクビにされるらしい。頑張らないと。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 風呂津先輩からの指導はもうなくなり、働き始めてから3週間が経った。俺はここでも牧野プロなんて呼ばれている。俺はもうすっかり職場に馴染み、これまでに色々な人の相談に乗ってきた。業績もよく、伊達にプロと呼ばれているだけではないという訳だ。今日もまたややこしい相談に乗りますか。


「あの、僕全然モテないんですけどどうしたらいいでしょうか」

「まあ、私に任せてください」


 まあまあ、プロに任せてくださいな。ほうほう、この人は、なに?バツ8ですか。もう諦めた方がいいですね。


「わかりました、いい人を紹介しましょう。…この人ですかね。」

「ほう、この人ですか。どんな人なんですか?」

「えっとですね、……………


 さあ、今日もいい仕事したな。あの人バツ8って言ってたけど紹介した女の人ってバツ11なんだよな。お似合いカップル成立だね!


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 結局、俺は卒業後この結婚相談所で働くことになった。もう働き始めてから3年になった。俺ももう21歳だ。


カランカラン!


 お、次の客だな?ん?はっ!!あいつはやばい、逃げよう。

 入ってきたのはヤツだ。広瀬一文、あいつなんでこんなとこに!早く店長に知らせなければ!


「店長、やばいやつが来ました。あいつは俺には無理です。」

「プロにも無理なのかい、じゃあ風呂津くん、行っといで」

「わかりました」


 風呂津先輩、やつれたなぁ、まあ、最近業績あんまり挙げてないみたいだし、きっとブラック業務に明け暮れてるんだろうなあ。風呂津先輩、頑張って下さい!


「あの、俺このままじゃ結婚出来ずに死んでしまいそうなんです。助けて下さい、かわいい女の子紹介して下さい!」

「わかりました、では、ご希望などありますでしょうか」

「ああ、希望ですか、まずはかわいいのが前提条件で、……、


 結局、広瀬一文は風呂津先輩に紹介された相手と付き合うことになったらしい。風呂津先輩曰く、相手があの人に合う人が本当にいなかったらしく、店長を紹介したそうだ。てか店長って男だろ。


 そうこうしているうちに次の客が来た。まあ俺がチャチャッといいお相手見繕ってやるよ!

プロにおまかせってな!


ちょっとこれ黒歴史になりそうだなぁ。戒めとして残しておこう。


読んでいただきありがとうございます。これからも応援してくれると嬉しいです。

牧野が不登校になった原因がどうしても知りたい方は『机上の恋バナ』のおまけをお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n0240gp/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ