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聖女の守護騎士達


フェリオ・ギルガメッシュ大公令息。


ソードマスターの一人。


一回戦でこのキラキラは、長髪をキラキラさせながら華麗に敵の攻撃を避けて相手にカウンターを食らわせていた。汗一つかかなそうだった。


この試合ではどうだろう?


緑色の髪の相手も強そうだし、拮抗した良い試合が見れるかも?


審判が開始を告げて男子準決勝第一試合が始まった。


緑の騎士は素早く踏み込み剣撃を叩き込む


──うっそ?


フェリオは紙一重で避けると、わたしの方を向いて微笑んだ。無駄にキラキラしていて腹が立つ


──負けちゃえ


その想いは通じることは無かった。

相手の剣はいつの間にか地面に落ち、フェリオは勝ち名乗りを受けた。それからまたわたしに微笑み、退場した


ゾワワワワ


背中に悪寒が走る。

ああゆう自分の容姿に自信があり、神に選ばれたその美貌という名の武器を惜しげも無く使う輩とは相性が悪い。


しかも決勝進出確定!


ということはわたしの護衛騎士確定!


もし決勝で勝ちでもすれば、護衛騎士隊長確定!


──ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬ


お願いだから負けてクレヨン……フィリオの顔を黒で塗り潰したい!


男子準決勝第二試合は黒豹のような騎士と精悍な赤髪の騎士。


試合が始まると黒髪で紫の瞳の騎士が、それこそ猫科の動物のように縦横無尽に戦かい相手を追い詰めていく。

そして此方もあっという間に勝利をもぎ取った。


お互いに礼をして勝ち名乗りを受けると黒豹は、わたしをチラ見しただけで興味無さそうに下がった。


うん。


こちらはこちらで隊長向きではないと思うぞ!


少しのインターバルを置いて決勝戦!


待っている間には白い象が出てきて、綺麗な踊り子さん達がその周りで踊っていた。

綺麗だけど、何だか騎士の大会には不釣り合いのような気がした。観客が喜んでいたから、いいけどね。


いよいよ決勝戦が始まった。


先ずは女子から。


赤髪の格好いいお姉さんと白い髪の背の低い美少女?

紅白で縁起が良い。


審判の合図で試合が始まった!


お互いに間合いを保ったまま、円軌道を描いてにらみ合っている。


白髪美少女が先に仕掛ける!

小さな体を更に低くして、床を縫うように下から剣を突き立てる。赤髪美女は綺麗に避けると


──えっ?これってありなの?


すれ違い様に白髪美少女の腹部に蹴りを入れた。

白髪はコロコロ転がり、腹部を押さえて立ち上がる。


口の端から血が滲んでいる。


赤髪はゆっくりと進むと、白髪に襲い掛かる!

白髪は必死で剣を捌くが、赤髪の豪剣を受け止めたところ、また腹部に膝蹴りを食らって踞る。


何とか立ち上がろうとするも、首筋に剣を当てられ決着!


赤髪の女性騎士が見事勝利を収める!


わたしは勝敗に文句はないけど、蹴りを使ったのに納得がいかなくてナーシェを一瞥する。すると


「ライア殿は流石です。

剣で勝てる事を示しただけではなく、体技でも上で有ることを証明したのです」


ということは、剣でそのまま押しきれるけど、わざと蹴りで勝負をつけたということね


「敵は剣で正々堂々襲っては来ません。

護衛騎士なら尚更、剣に拘っていたら足元を救われます。護衛騎士は主人を守るのが役目。

どのような手を使っても、主人を守りきれば勝利です」


そうか……これは剣技大会ではなくて、護衛騎士……わたしの守護騎士を決める大会だった。

わたしは剣も騎士でも素人なのに、分かった気でいた。


本当に赤髪のライアさんは守護騎士に相応しいと思う


「ナーシェさんとライアさんが戦えばどうなるの?」

「わたしは十回戦って、一度勝てるかどうかですね。

でもわたしが守護騎士だったら、石を投げようが棒で殴ろうが、どんな手を使ってでも撃退するでしょう!

それが守護騎士というものです」


実戦では素直に負ける気は無い!ということね。

ナーシェは兄のアドラーと共にデュークに訓練でしごかれているから、剣の腕は確か!

ちなみにアドラーもソードマスターね。


赤髪のライアは大歓声を受けて会場を去った。


そして最終試合。


男子決勝戦!


フェリオと黒豹!


黒豹の名前はレオパルドと言うらしい。


開始の合図と共に黒豹が襲い掛かる。

獰猛に激しく嵐のような剣!


それを何食わぬ顔であしらうフェリオ。

まるで闘牛士だね。


そしてフェリオはわたしを見て微笑んだ


──くそ!腹立つ!


わたしの眉間に皺がよる。

その様子を見ていたフェリオは、ニッと目を細めて嬉しそうに笑うと、突然ギアを上げた!


今までの爽やか闘牛士が嘘のように、獅子となって黒豹を襲う!

白刃が陽光に照され、二人の剣が何度も交錯する!


初めは拮抗していた攻防も、三分もしないうちにフェリオの独壇場となった。黒豹は追い詰められ……そして……剣を置き、負けを認めた。


フェリオが勝ったのだ!


あの闘牛士のようなあしらう剣技で黒豹を翻弄し、正面から堂々と打ち合っても黒豹を圧倒した。

これでは文句の付けようがない。


大歓声に手を振り応えるフェリオは涼しい顔。

対する黒豹は肩で激しく息をして会場を去っていく。



表彰式。

出揃った護衛騎士。


聖女守護騎士団団長フェリオ・ギルガメッシュ

こいつの周りだけ爽やかウィンドウが吹いている。


男性の聖女守護騎士隊長レオパルド・オーエン

通称は黒豹ね。


女性の聖女守護騎士隊長ライア・マクラーレン

赤髪の精悍な顔立ち。


女性の聖女守護騎士副隊長マーニャ・リーニャ

白髪の美少女ね。


わたしは貴賓席から降り、一人一人に守護騎士叙任の儀式を行う。


彼らが聖女のわたしに忠誠を誓い、大会は終了した。


巡礼の旅から、この守護騎士達の本格的な任務が始まるのよ。


何だか凄く偉くなった気分だわ!




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