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なんか……モヤモヤする


ドルード侯爵邸での話合いはデュークの嫉妬を除けば、素直にまとまった。


今後の基本方針はこう。


【ひとつ】


神聖マーリア教団と完全に決別する。


今後如何なる教団との交渉に、聖女は応じない。

教団との交渉事は帝国が受け持つ。

アイリスも必要以上に敵対しないが、協力はしない。


【ふたつ】


巡礼の旅に出る。

移動先は聖女様を信仰する地を優先する。


以上が話し合いで決まったこと。


もちろん教団のように一方通行ではなくて、わたしの考えも尊重してくれた。教団とは関わりたくないから、交渉事は全部帝国に丸投げしたの。


巡礼の旅はおよそ三ヶ月間。


九月に学園がはじまるから、それまで帝国中を巡るの。


それも派手にね!


でもその前に帝都で急遽イベントが行われることになったのよ!

それも


[聖女の守護騎士選定大会]


──どうよ!


わたしの為に命を掛ける猛者が選ばれるの!


選抜メンバーは四名!

トーナメント形式での優勝者と準優勝者。

男女それぞれ開催されるから、合計四名ってことね。


それとトーナメントでは無いけど、元聖騎士からも女性騎士が一人選ばれるみたいで、候補者はすでにいるみたい。


巡礼先で合流予定ね。

ちなみにその女の人、まだ聖騎士ままで事情も何も知らないらしいけど、大丈夫なのかな?


エステバンもマーカスも

「何の心配もない。むしろ選ばれなかった方が心配だ」

なんて言っていたけど、こっちも心配よ。



そして十日後。



いよいよ大会が始まりました!


場所は帝都の円形闘技場!

ギリシャのコロッセオのあちこち崩れていないバージョンね。


そこで皇帝陛下初め、多くの貴族のご来賓も集い、盛大に催されたの。

やると決まってから十日後って凄く急だけど、参加メンバーは帝国騎士内から守護騎士になりたい者を集い、その中から男女とも八名が選抜されたの。


もし全国から公募なんかしていたら、何ヵ月も掛かっちゃうし、元々帝国騎士から選ばれる予定だったから優秀な人を選んでくれたのね。


本番当日。


円形闘技場から少し離れた建物に着いたのよ。

その建物の中に地下への階段があって、わたしはデュークにエスコートされながら広い地下道を進んでいく。

前後を大袈裟に騎士達に囲まれてゾロゾロ歩いていくの。


何でもこの通路が皇帝とか皇族専用の通路らしくて、そのまま貴賓席へ直行らしい。


皇帝夫妻はもう既に到着していて、今頃観客へ手を振っている頃だと教えてくれた。


そしてしばらく歩いて、地下道から上り階段を上っている最中、人々の熱狂が伝わってくる。


ようやく視界が開けたところに出て、貴賓席へ案内され皇太子デュークと共にわたしが姿を現すと、地響きのような歓声があがった!


わたしはその圧巻の光景に、マジでチビりそうになった!


五万人以上の人々が立ち上がりわたしを出迎えてくれている。盛大な拍手が巻き起こり、わたしは手を振り歓声に応える。


円形闘技場の人々を収納する観客席は三層になっていて、一層目が貴族席ね。

見るからに高級な服で着飾った貴族達!女性は身に付けた宝石に陽光をキラキラ反射させている。

子供達もおめかししていて、可愛い。

特に女の子は、千葉なのに東京冠している某ネズミの国で、白雪姫とかシンデレラとか諸々のお姫様のコスプレしている姿を思い出して微笑ましい。

わたしは某ネズミの国では、子供心にお姫様の格好は恥ずかしくて無理でした。ボーイッシュなわたしには似合わなかったしね。


二層目は騎士階級の人々。

護衛騎士と見物の騎士と家族がいるのね。

護衛騎士は鎧兜に身を固めて、槍を構えている。

見物の騎士は騎士服で下段の方が位の高い騎士とその家族で、身なりもぜんぜん違う。


三層目が一般市民席。

下段が裕福な階層の人々で、上にいくほど格好がラフになっていく。

昔、修学旅行で舞台鑑賞したけど、上の席から見たら演じている役者さんの顔が小さくて見えなかった。

きっとこの広い闘技場の上から見ても同じかも?

野球で言えば外野席みたいなものね。


ちなみに皇帝の席は一層目の貴族席と二層目の騎士席の間の一区画を占拠していて、作りも違って豪華!

ちゃんと屋根があって急な雨にも安心。

その皇帝の隣の一段高い所に、皇帝より豪華な椅子がポツンとあって、まさか!と思ったけど、そこが聖女専用席だった!

わたしがその席に着くと、歓声が更に大きくなり、耳がおかしくなりそう!


ひととおり手を振って、笑顔を振り撒き、着席すると歓声は収まった。

聖女席は皇帝と皇太子に挟まれているの。

つまりわたしは皇帝と皇太子を侍らしているように見えるって訳。


わたしの両隣には守護騎士マーカスと臨時守護騎士ナーシェさんがスクッと立って護衛してくれている。


ずっと立ちっぱなしだろうから、申し訳ない。


もちろんそれぞれの皇族の席の後ろには、各守護騎士さん達が立って護衛しています。

それに皇帝の直ぐ下の段には綺麗な女性がおりますが、その特別な女性達はきっと皇帝の側妃さん達ですよね?


デュークも規定で、皇太子は最低五人の妃を迎えるとあるけど、デュークの座っている皇太子席の下の段にも、ビオレッタ様初め四人の美少女がいるのですが?


ヤバいくらい可愛くて、キラキラしておりますが?


それってやっぱり……デュークの側妃候補ですよね?



なんか……。



モヤモヤする。






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