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赤信号みんなで渡れば怖くない?


聖女たるわたしの前に、馬上から偉そうに見下ろす騎士団長。


元騎士長のマーカスが立ちはだかる。

騎士長はね、12に分けた教団の一つの教区の聖騎士をまとめる者ね。だから12人いるの。

騎士団長は聖騎士全体の長だから、騎士長はその下ね


「マーカス。どけ」

「グレン。わたしは騎士長の職を辞し、今は聖女様の守護騎士を任されている。

だからお前の命令を聞く必要はない」


「下らぬ。教団を裏切り、その紛い物の聖女の下僕(しもべ)と成り果てるとは?

今からでも遅くはない。その者を捕らえ、教団へ戻るのだ」

「戻らぬ。目の前の奇跡を信じず。

教団の手足となる聖女以外を認めぬとは!」


──マーカス!格好いい!もっと言ってやれ!


「聖女とは教団が認めて初めて聖女となるのだ。

教団はこの女をまだ聖女とは認めていない。

そのピンク女が聖女と成れるかどうかは、教団の匙加減一つだ。今から教団に(こうべ)を垂れたら、そのピンクも聖女と成れるかもな……」


──おい!


ピンクから、女が抜け落ちてるわよ!


まあ。要するにわたしを諦め切れないのよね。

今さらどうしようも無いでしょうに……。


あれだけの人数揃えて、小娘一人どうにも出来なかったのに……小娘ってわたしね……往生際が悪いというか、何というか


「皆!良く聞きなさい!古来!聖女が教団によって選ばれたことは一度もありません。聖女への信仰を隠れ蓑に強大な力を得た教団が、聖女を意のままに操ろうという[聖女法]を拵え、以前の皇帝に押し付けたに過ぎません。

わたしは教団の操り人形たる聖女を良しとせず、歴代の聖女がそうであったように、皆と寄り添い共に歩く道を選びます。

教団の聖女ではなく、皇室の聖女でもなく、帝国の聖女もして、わたしアイリスは生きます!」


そして右手を高々と掲げ、光の杖を出現させ、先端から神々しい光を発生させた!


「ここに集う者達よ!わたしはあなた方を選びました!

次は貴方達が選択をする番です!

もし貴方達が教団を選びわたしを差し出せば、聖女は未来永劫帝国には現れないでしょう!

さあ!答えを示しなさい!」


わたしはここでだめ押し!

聖女のわたしを信じる者に念話を試みたの


『あーあー聞こえますか?わたしアイリスです』


みんなキョロキョロしている。

どうやら聞こえているようね。


『わたし聖女やらせて貰っています。

聞いてください!教団が聖女を一人占めして、聖女の口から教団のワガママ言わせて、皆さんと皇帝を操って帝国を我が物にしようとしているの!

例えばね。教団がお金が欲しいと思ったら聖女のわたしに『神への信仰を示すため寄付をしなさい』なんて言わせるの。戦争起こしたいと思ったら『神に逆らう不届き者を成敗します!聖戦よ!』そう命令させて、みんなの幸せを壊そうとするのよ。

わたしはね。干ばつが発生したら雨を降らしたりして、困った民がいたら駆けつけて助けてあげたいの!』


みんなウンウンと言っている。

教団より聖女大好きな皆さんに聞こえるように、ヴァチル全体に聞こえるようにしたの。

だから教団信者には聞こえないから、この騎士団長にも同様ね


『もしわたしが捕まって、わたしが教団の為に働くのを拒否したら異端認定されて、魔女として火炙りにされちゃうの!わたしまだ死にたくないわ!

火炙りなんて、絶対熱くて死ぬ前に死んでしまうもの!

マーリア様も許さないわ。みんな目を閉じて……』


周りの者が目を閉じる。

そして女神マーリアの神々しい姿の映像を流したのよ。目を瞑った人にだけ見れるの!


「「「「おおおおおーーーー!!!!」」」」


もう何処からどう見ても完璧な女神マーリアの姿を流してあげたわ!間違ってもポンポン持ってるチアリーダーなんて映さないわよ!


『目を開けて!

聖女と共に有ることは、女神マーリアとも歩みを共にするということ!』


そして大声を張り上げた


「さあ!皆さん!今!ここで!選びなさい!」


「「「「聖女様とともに!」」」」


周囲の信者達が、わたしを中心にして円をつくる!

その円がどんどんどんどん大きくなるの。ヴァチルのアチコチから聖女のわたし目がけて人が集まってくるの!


余りの人の多さに騎士団長もたじたじで、大声で解散を命じているけれど、誰も聞かない。


そして広場を埋め尽くす群衆が集ったわ。


頃合いね。


ここでも念話。

というか、このざわめきを越える声を出せる自信がない


『あー。本日は晴天なり。皆さん!聞こえますか?』


近くの人がわたしを見てウンウン頷いている。どうやら大丈夫そうね


『わたし!このヴァチルと決別します!

ここに[神聖マーリア教団]ある限り、もうここへは戻りません!だってここにいたら殺されちゃいますから!わたしは聖女として、帝国の皆様と生きる前に殺されるなんて真っ平ごめんです!

という事で!ここを脱出します!

皆さん。御案内。宜しくお願いします!』


「「「「おお!!!!」」」」


返事が凄い!

みんなやる気満々だわ!


──あっ言い忘れてた!


『皆さん!暴力はダメですよ!

無抵抗非暴力!

《赤信号!みんなで渡れば怖くない》戦法です!

じゃ!皆さん!参りましょうか!』


「「「「「おお!!!!」」」」」


皆さんわたしを中心に囲んでずんずん進んで行きます!

もう……五千人くらいはいるかしら?


それにしても……学園前で信号みかけたけど、帝国に来てからまだ見たこと無いわね?


あの本当はやっちゃいけない標語だけど、意味分かっているのかな?





※昔子供の頃。大阪に行った時に赤信号を集団で渡る人達を見ました。クラクションを鳴らす車におっちゃん達が悪態を付いていました。

子供心に『すげいわこれわ』と感心しました。


みんなは、ちゃんと横断歩道渡ってましたよ。


どうでもいい話でしたね


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