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聖女で押し通す!


「はっ!はははは!あー可笑しい」


突然笑い出した聖女候補アイリス


「何が可笑しいのだ?気でも狂ったか?」


フィリップはアイリスへと疑問を投げ掛ける


「教王聖下と呼ばれるお方は、何をもってそのように偉そうにふんぞり返っておられるのでしょうか?

その自信は何処から沸いてくるのでしょうか?

全くもって理解出来かねます」


ふん!


教王は鼻を鳴らし


「わたしは信者数千万人の者から選ばれし教王である。

神の信徒より選ばれる教王は、神より選ばれた偉大な存在であろう?

妄想癖のあるどこぞの頭の足りない聖女候補とは、根本的に次元が違う者なのだよ。そこのところ、その空っぽの頭に詰め込んだ方が身のためですぞ」


やれやれ


肩をすぼめる


「アイリスよ。お主は勘違いしている。

お前など我らの前に立てるのは、我らが手を下さぬからだ。たかが騎士一人を弾き飛ばしたくらいで粋がっているようでは、いやはや、馬鹿に付ける薬はないというが……真であるな」


「馬鹿に付ける薬は無い。確かにその通りにございます。神に選ばれし女神マーリアの化身はワタクシ一人。

教王など所詮人が選んだ御飾りに過ぎないのですから……」

「貴様!我々を愚弄しおって!天罰が下るぞ」


教王は怒りを隠さずにアイリスに指を差す


「天罰など下りません。

マーリア神はお優しいですから……。

それに……わたしが愚弄しているのは貴方です。

フィリップおじいちゃん。

耄碌したのかしりませんが、別にその地位など誰が成っても変わりませんよ。貴方が今日その座から滑り落ちたたら、教王はそこの黒い服の誰かに変われれば良いだけの話でしょう?」


アイリスはチラリと視線を痩せた黒い礼服を着た男に移し


「まあ。ワタクシと致しましては、シュタイナー様は貴方と同じ人の話を聞けずに偉ぶっている馬鹿ですから、次期教王にお薦めしておきます。

きっと歴代最低の在任期間と成ること請け合いです。

なんせ……馬鹿に付ける薬はないのでございましょう?

馬鹿は死んでも治らないそうですから!」


「アイリス!ここでもわたしを愚弄するか!」


これはシュタイナー枢機卿。あまりに怒り過ぎて声が上ずっている。愛弟子の激昂する姿で冷静さを取り戻した教王は、張り付けていた笑顔を止め仮面を脱ぎ捨てた


「いやはや。これはこれは。いただけませんな?

馬鹿で空っぽの世間知らずの聖女候補よ。周りを良くみなされ。誰一人として貴公に味方する者がおりませんぞ?」




☆★



──まるで時代劇の悪代官様だわ!


アイリスたるわたし……楓はそう思った。


フィリップサンタクロースは、越後屋さんに

「ソチも悪よのう~」

なんて言いそうな顔をしている。


まあ。周りを見ていない……というか見えないのはサンタさんの方で、精霊王の分身の六つ子のような色違いの大精霊が、わたしを囲んでおりますよ。

それと数え切れない上位精霊と妖精達も、わたしを中心に渦を巻くように守ってくれているの。

それこそ何十……何百万という光の洪水だわ!


わたしの隣にはもちろん女神マーリアが怒りよりも怖い薄笑いを浮かべておりまして……。


──えっとね。


女神マーリア様は本体は神界にいて、必要とする人には分け御魂(ワケミタマ)とい分身を送るのね。

でね。

そのワケミタマは、人それぞれの性格に応じた親しみやすい性格に成っているの。


だから怒るし笑うし、ご飯やお菓子を味わったりもするのね。まあ。わたしに似ている訳よ。性格もね。

わたし……喜怒哀楽のハッキリしている人の方が好きだし、親しみを持てるからね。


だからわたし付きの女神マーリアも、ちょいとばかし怒っているわね。


なんかね。人の心が丸わかりらしくてね。あのサンタのおじいちゃん。聖女のわたしを支配して、夜に他の巫女と呼ばれる若い女の子と一緒に裸で奉仕させ純血を奪うつもりだったらしいの。さらに需要が有れば貴族にわたしを宛がって、売春させるつもりだったのよ。


女神マーリアさん。サンタの思考を実況しながらチョー怒ってた。聖女教の総本山の教王たる者が、聖女を愚弄するに飽きたらず、慰み者にしようとしている。それどころか……女性全てを馬鹿にしている。


子供を生む装置くらいにしか思っていない。


まあ。予定外の行動だけど、わたしはこのサンタのおじいちゃんを速攻引きずり落とす事に決めたわ!


あのね。


皇宮で三ヶ月掛けてみんなで話合った基本方針は、こんな感じなのよ。みっつあるけどね。



【ひとつ!アイリスは聖女で押し通すこと】


初めはね、アイリス・ユークラリス伯爵令嬢だから言うこと聞かなくても良い!という理論で行こうと思ったの。

でもでもフォラリス王国へ手を回されて

『教団の指示に従うように』なんて命令受けたら断れない。だから[フォラリスの貴族だから]って線は無し。


そして聖女は、帝国の物のでも、教団の参下でもない唯一無二の存在。

それでどこまで行こうと決めたのよ!

例え教団が手の平を反して聖女に任命しても受けない。

受けちゃったら教団の聖女になっちゃうからね。



【ふたつ!教団の指示には従わないこと!】


とにかく難癖つけてくるだろうけど、教団の指示には従わない。挨拶せよ!とか礼拝にさんかせよ!とかね、色々あると思うけど、全部パス!

だって本物の聖女だからね。


聖女ってさ。帝国のあらゆる法律の上にある存在なんだって!本当はね!それが明記してはいるけど、一般人は知らなくて皇族のみに伝わっているの。一応皇帝も一部法律には縛られちゃうのね。刑罰対象ではないけど。

皇帝も聖女を我が物に出来ない法律なんだって!


だから建前上は皇帝と聖女は並び立つ存在で

[唯一皇帝が頭を垂れるのは聖女のみ]って理屈で微妙に聖女の方が偉い感じを出してるけど、本来は聖女の方が遥かに上なの!


だからといって帝国の法律に縛られない分、軍隊を動かしたり、貴族へ命令を下したりは出来ないのよ!

だから実質的な権限も殆んどないから、絶対権力者には成れないのよ。


聖女が法律に縛られない理由はね、聖女って何を仕出かすか分からないから。


何らかの過程で家を壊したりするかもしれないしね。嵐を起こしたりさ。

勝手に人を癒すし、奇跡も起こす。

いちいち法律を気にして躊躇なんてしていられない。損害起きたら帝国が尻を拭う。


今回のように[聖女法]なんて法律作られたら、それに従って利用されることになりかねないでしょう?だから[聖女法]の聖女は[教団が選んだ聖女]で、[本物の聖女]では無いって理屈で逃れることにしたの。

だから……教団の任命式には出ないし、教団からの聖女任命も受けない。


そしてアイリス的にとても残念だけど、同じ理由で[聖女認定の儀]つまりは聖女認定テストも受けない事になったの!


せっかくのぶっちぎりの首位(下から数えて)!の実力を発揮する機会を失ったわ!






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