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凄くレアでVIPな響き


『サマンサ様のように自らを責めて追い詰めてる(やから)には、役割を与えてあげるのが一番』……と女神様がコソッとアドバイスくれた。口調はもっと丁寧だったけどね


「はい。サマンサ様は求心力もおありですし、人をまとめる力もございます。

サマンサ様が間に立って喧嘩や揉め事の調整をしてくだされば、誰も逆らえず従うと思います。

とても威厳がありますし……もちろんあくまでわたしの希望で、要請するのは烏滸がましいのですが、風紀委員長にピッタリかと」

「わたくしが風紀委員長……。何故ですか?

アイリス様にあれだけの仕打ちをしたわたくしを責めるのでもなく、このようなお役目を下さるのですか?」


─いやさ。腹いせとは言えない


サマンサ様って侯爵家という立場を意識していて、貴族意識も強くて身分の上下にも厳格。

風紀委員は貴族や平民への沙汰が平等でなければいけないから、時には平民が正しい時もあるでしょう。

そんな時は平民の肩を持たないといけないから、結構サマンサ様の自尊心を(えぐ)ると思うよ。

貴族絶対偉いを体現しちゃったら、風紀委員なんて要らないもんね。

どのみち平民は貴族に逆らえないもの。


貴族も王族に逆らえないけどさ。


でもサマンサ様。思考停止に陥っているようだから目でエリザベス様に訴える。

直ぐに察して反応してくれた


「それではわたくしから生徒会の議題にあげます。

わたくしももし風紀委員なるものが設立されるのであれば、その長にはサマンサ様が適任だと思います。

それも添えて次の生徒会会議で(はか)ります」

「それならボクも推薦人に名を連ねよう」


エリザベス様の後にすかさずレイン殿下も追従する。

いや。この場合、追い討ちか?

心なしかサマンサ様も諦めた顔をしているので、きっと後者の色合いが強いのかな?


「あの……ちょっと宜しいでしょうか?」


蚊帳の外状態だったエイミアさんが恐る恐る手を挙げている。


「何?エイミア様?どうぞ……」

「えっ……と。その……。

さっき聖女様とか……皇子様のプロポーズを受けて帝国へ行くとか言っていましたが……その……本当でしょうか?」


─えっ!?!


もしかして知らなかったの?

えっと。またわたしやらかしたか?


これってまだ秘密で門外不出的なシークレット案件?


『軽挙妄動は慎むのじゃぞ。楓』


今脳内にじいちゃんの声がマジで木霊したよ!


「エイミア様。全然知らなかったの?」


「はい。初耳でした。

あまりビックリし過ぎて、ずっとその事ばかり考えていました」


ここでフェリスさんが食い付く


「わたしもです!皇子様ってさっきわざわざアイリス様の容態を説明してくださった、あのミステリアスイケメンなデューク殿下ですよね?

それに聖女様も気になります。

聖女様って何ですか?

凄くレアでVIPな響きがいたします!

護衛本能くすぐられます」


目をギラギラさせるフェリスさん。ミステリアスイケメンって!


─すげー分かるわ!


えっと……


「聖女っていうのは……わたしも良く判らなくて……。

でも帝国の皇子様と結ばれる運命みたいです。

目覚めてから色々抜き差しならない事態に陥って、気が付いたらプロポーズを受けていました、

ここだけの話ですが、プロポーズは夢の中……」


─!?


あれ?


─急に言葉が出なくなった!


『全く貴方って人は……出た言葉は後戻りが出来ないのよ』


マーリア様がプリプリしている


『アイリス。貴方は今は押しも押されぬ帝国の皇子の相手に選ばれたのです。

プロポーズを()()()()()()()()なんて、そんな事が広まったらどうなります?

デュークにも失礼でしょう?もう少し言葉を慎重に世に放って下さい。

笑い話では済まないのよ!』


どうやらマーリア様。わたしが()()()()かけたので、いても立ってもいられず介入したもよう


─う。ごめんなさい


学生気分が抜けていなかった。

折角解禁されたのに、この調子じゃ言葉を封印されても仕方がないかも……。


『ほら。アイリス。

みんなポカーンとしています。

わたしの忠告を胸に刻んで続きからやり直してくださいね』


マーリア様がウィンクして消えた。


えっと。ホントだ。みんなこちらを凝視している。

もしわたしがデュークと結婚したら皇后様になるかもしれない。そのプロポーズが夢だと思ってた……なんて知れたら、デュークや伝統ある皇后の名にも傷付けることになるだろう。


─よし。やり直し。やり直し


「……夢の中……にいるよな、そう!まるで夢のように、とても素敵なプロポーズでした。

わたしはデューク殿下の真摯な姿に感動して、その差し出された手をとりました。

実感はありませんが、わたしは伝説の聖女みたいですし、それだけでなく強い運命を感じました。

きっと聖女として目覚めてデューク殿下に出会ったのも、偶然ではないと思います。

わたしは未熟者ですが、天より与えられたこのお役目をしっかりと生きて、両国の平和の為に尽力するつもりです」


「アイリス様」


レイン殿下が立ち上がる


「私も王国と帝国。両国の平和を願っております。

アイリス様は聖女であり皇太子妃となられるでしょう。そしてデューク殿下が皇帝となれば皇后となられるお方。その折にはどうぞ私を両国の平和の為にお役立て下さい」


エリザベス様も立ち上がった。


「わたくしも同じ想いです。

いずれ伴侶となられるレイン殿下と共に、両国の平和の為ならば身を投じる心構えでおります。

公女としてだけだはなく、友人としても出来る事があると思います」


次いでエイミア様


「わたしもお手伝い致します。

アイリス様のお見舞いに来て、思わぬ秘密も知る事が出来ました。

わたしも友人として、出来うるかぎりの事は致します」

「わたしも!」


今度はフェリス様


「わたしも友人として、力になります。

アイリス様が両国の平和の為に、帝国へと嫁がれる覚悟をなさった事は無駄にはしません!

ソフィア様もこの場に居たら、きっと両国の平和の為にアイリス様と手を携えたと思います」


そして最後にサマンサ様


「両国の平和の為ならば、わたくしもアイリス様のお役に立ちます。何か御座いましたら、必ずご連絡ください。

わたくしに挽回の機会をお与えください」


─お。おう……


何だか自分の失言を誤魔化す為に、両国の平和を口走ったら凄い事になりました。

マーリア様の言うとおり、わたしの一言一言が重みを増したようで、うかつな事は言えません。

いや……言いまくっておりますが……


「皆様ありがとうございます。

まだ右も左もわからない若輩者ですが、皆様のお力添えが有れば百人力です。

勇気がみなぎって来ました。

どうぞこれからもわたしアイリスと良き友人でいて下さい」


それでわたしはフォラリス王国とオーギュスト帝国との、平和の架け橋決定となりました!

何だかもう……帝国へ行くのが当たり前になってしまったような……。


どうしよう……。


全く、これっぽっちも……自信がない。









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