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オーラ


わたしアイリスは身支度を急いで済ませ、貴賓用応接間へと向かった。


部屋にはレイン第二王子殿下の他に女子が4人もいた。


エリザベス公女様。

エイミア様。

フェリス様。


そして……意外な顔。


サマンサ・エリルダーク侯爵令嬢。


そう。

あの白薔薇学園小ホールでわたしを弾劾した首謀者。

目が合った瞬間、思わずビクッとしてしまう。


チート聖女に成ったのに、わたしのメンタルは弱いままらしい。


ただ前回と違うのは



─オーラが見える!



レイン殿下は基本銀色。

外側が薄い金色の縁になっている。

他に緑と青のオーラ。


女神様曰く

『銀色は神聖さを表すの。

高名で清廉な聖職者に多いわね。

金色は王族とか皇帝とか、人を導く者の色。

先天的で運命の定められた者ね。

緑は平和。青は冷静さね』


レイン殿下は王族としての宿命を背負ったレアだね。



次いでそのパートナーのエリザベス様。

純白が基調のオーラで外側が銀色。

そして金色の縁。

赤と紫と桃色のオーラ


『白は純粋さ。純心。

神を降ろす巫女に多いわ。

多いと言ってもとても希少なオーラ体質ね。

色々彼女は彼女の知らない秘密を抱えているけど、ここでは明かせないわ。

それに銀と金。神聖さと高貴さ。

赤は情熱。紫は慈愛。桃色は特殊で愛情を持つものに見えるの。

つまりエリザベスは貴方を大きな愛の目で見守り、大切に思っているわ。愛は性欲とは無縁の愛よ。

貴方のマブダチなだけあるわ』



エイミア様のオーラは基本緑。

紫と(だいだい)……オレンジ色のことね。

それと黄色と桃色。縁は銀色


『とても優しく面倒見の良い性格ね。

慈愛の紫。橙は好奇心。

黄色は知的探求。本好きや研究者に多いわ。

神聖さの銀と貴方への愛を表す桃色』



フェリス様のオーラは赤が基本。

それに青に紺色。

緑もあるわ。それに桃色


『赤は情熱。戦う戦士に多いわ。

彼女は騎士候補ね。

青は冷静さ。剣士としての状況判断能力が有るわね。

紺色は真理探求心。

瞑想状態に陥る時の初歩的なオーラね。

きっと護衛が主な任務だから、第三者的な目で全体を見ているのね。

それに平和で優しい緑。愛の桃色。

この女子三人は貴方が大好きということね』



そして最後。

サマンサ様。


なんかサマンサさん。

基本青と赤のオーラを纏っているけど、全体的に茶色い焦げたような色が貼り付いている。

他には銀色と紫ね。


『この()は情熱と冷静さのバランスが取れた、稀有な性格ね。

情熱を持って物事を進めるけど、慎重でもある。

失敗の少ない政治家向きね。

銀は神聖さ。

政治家とすれば私利私欲では動かないタイプ。

慈愛の紫があるから人々への思いやりもあるわ。

基本的に面倒見の良い、リーダータイプね』


でもわたしが気になるのは焦げた茶色。

サマンサさんがくすんで見える


『アイリス。以前黒は悪意と教えたわね。

赤と黒の組み合わせは殺意とかね。

でもこれは茶色。

ただの綺麗な透明感のある茶色なら、地や土と関わる職業に多いの。農業関係者とかね。

でもこれは焦げた、くすんだ茶色。

後付けで塗ったようでしょう?

これは後悔を表しているの。

後ろめたさとかね。

つまり貴方へ対して、とても申し訳ない後悔を抱えているってことね。

それにこの黒焦げた色。

自分に対する殺意に近いかしら?

きっと自分を責め続けてきたのね。

心がとても弱っているわ。

もちろん……アイリスへの害意は皆無よ』


サマンサ様。きっと真相を知って後悔して、自分で抱え込んで自分自身を責めていたんだと思う。

オーラが見えなければ

『何でここにいんのよ!』

なんて戦々恐々していたけど、こうやって心境が垣間見れるとサマンサ様を恨む気持ちも何処かへ飛んで言ってしまった。



えっと……。



長々と脳内会話していたけど、これほんの数秒の出来事。上手く言えないけど、聖女のチート能力と思ってください。


テーブルを囲んでいるレイン殿下と御令嬢方。

デュークは居ないけど紅茶やお菓子が並べられ、寛げるように気を使ってくれているのが分かる



「皆様。わざわざわたしの為に足を運んで下さり恐縮でございます。

おかげさまで体調も回復し、こうしてお話しも滞りなく出来るようになりました」


それからレイン殿下を筆頭にそれぞれ挨拶を交わしていく。サマンサ様はいつもの覇気がない。

レイン殿下が気遣って


「アイリス嬢。思ったより元気そうでホッとした。

デューク殿下がわざわざ顔を出して、君のこの大使館での経過報告をしてくれた。

君は暫く逗留するつもりかい?」


「はい。暫くはそうするつもりです。

ただその先の事は未定です」


本日の午前中にユークラリス夫妻は帝国の使者と共に、王宮へと向かった。昨日の内に国王夫妻との面会の段取りは済ませたみたい。


一応皆には使者としての役割は有るみたい。

レイン殿下は王国の使者。

エリザベス様は生徒会を代表して。

エイミア様は友人枠。

フェリス様はソフィア様の代理。

わたしとフェリス様の仲を知っているので、これは建前。ソフィア様なりの気遣いね。


で。


サマンサ様は暴行事件の関係者代表として、来たらしい。とても思い詰めたような表情をしている。


エリザベス様と目が合う


「アイリス様。わたくし。今回の小ホールでの事件。

予兆は掴んでいたのに未然に防ぐ事が出来ませんでした。申し訳なく思っております」

「いえ。エリザベス様は何度か警告して下さりました。それにこれはわたしが招いた種でございます。

今に思えば皆様に誤解を招く行動をしておりながら、その誤解を解く努力を怠っておりました」


ホントそう。

わたしはいつも『恨まれているだろうな』と思っていたのに、放置していた。

クリスタルアーサーに連れ回されて、その被害者意識にどっぷりと浸かっていた。


客観的にみれば王太子殿下とお近づきになれるのは光栄なことで、あの頃のわたしの立ち位置は女子なら誰もが憧れるポジションだった。

嫌いなヤツなのに、その王族オーラ醸し出す超イケメンは認めざるを得なかった。

憧れている御令嬢方からみれば、アーサー王太子殿下は完全無欠な王子様だ。


そんな素敵な王子様を独占していたのだ。

そりゃ恨まれて憎まれて、あんな風に集団リンチ食らうのも頷ける。


ずっとわたしに紳士的に親身になって接してくれたアーサー殿下には感謝していて、嫌いなヤツだったけど今は好意の方へ天秤が傾いているのは確か。

テーブルマナーから始まって、基本的な身のこなしやマナー。勉強やダンスも教えてくれた。

人はホント。思い込みで判断しないで、キチンと接して『自分の目で確かめないとダメだよね』って感じた。


それにエリザベス様は月1の秘密のお茶会で、何度か警告してくれていた

「色々あらぬ噂が飛び交っておりますよ。

お気をつけてください」

そんな風に教えてくれていた。


わたしはエリザベス様には感謝しかないよ。



そして……



「アイリス様。お話ししたい事が……」



サマンサ様が重い口を開いた。
















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