表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Kiss of Witch  作者: かなみち のに
97/141

97

指輪を外して3日目の朝。

体調の変化は感じられない。

影響を受けないように部屋にいる時間を減らそうとしていたところへ

小室さんと橘さんからお誘い。そこそこ動き回って疲れてはいるがそれだけ。

もしかして「就寝時に充電」しているのだろうか。

と言ってもまだ2日間。

以前「祝福もしくは呪い」の印を押された時も少し間をを開けてから体調を崩した。

あの時は指輪をずっと下げていたのに。だ。

しかし、朝から外して出かけた際にはその日の夜から熱を出した。

考えられるのは僕自身の体調に依る可能性が高い。程度。

まだまだ結果を云々するのは時期尚早。

魔女達を遠ざけたのもその為なのだから。

帰って来たら謝らないとな。

「今日はどうするんだ?」

特に何も。ちょっと調べたい事があるから工房に籠ると思います。

「そうか。じゃあ暇だな。」

調べたい事があるって言った筈なのに。

まさか3日連続でショッピングモールで「女性の」冬物の買い物に付き合うとは思いもしなかった。

紹実さんも劣らず美人なのでやはり人目を引く。

ショップの店員さんが

「日替わりで美人を連れて来る」とでもバックヤードで話しているかも。

お昼は「事情が違うだろ。」と奢らせてはもらえなかった。

「だいたいお前バイトもしてないのにお金なんて無いだろ。」

祖母が遺してくれた分があります。

「ああそうか。そうだ。お前金持ちなんだよな。」

「で?結局スイスにいくらあったんだよ。」

さあ。紹実さんに通帳預けてそのままじゃないですか。

「え?そうか。あれ?ばあちゃんの遺産だってそこじゃないのか?」

中学生の頃祖母から貰っていたお小遣いがまだ。

「は?」

いやですから手元の現金使ってるだけですよ。

「いくら貰ってたんだよ。未だに使い切れないくらいって。」

「中学生になってから月1000円。」

「え?それ貯めてたの?ずっと?」

あとは香典。と言うのですか?

葬儀の諸々の費用を支払っても現金でかなり残っていた。

高校受験で必要になるであろう額以外、生活費はギリギリ切り詰めた。

特に趣味も無く、家で本を読むくらい。

紹実さんの元で生活するようになっても食費は出してもらっている。

家賃も無い。学校で使う物以外何か必要か?

普段は制服を着て、工房では作業着。

その工房の器具備品は紹実さんのご両親がイロイロと送ってくれる。

それらを遊び尽くすのにどれだけ年月が掛かるだろうか。

何にお金を使う事があろうか。

「はっ」

呆れた。

「いや、感心したんだよ。普通あればあるだけ使いそうなものだけどな。」

いつ何がどうなってお金が必要になるのかなんて判らないじゃないですか。

「あ、うん。そうだな。その通りだ。無駄遣いしないに限るな。」

「でも必要なら遠慮なく言えよ?お前のお金なんだから。」

その事なんですけど。

祖母の保険やら年金やらも手続き上僕の名義の口座に入って居るが

この分に関しては遺族である紹実さんのお母さんや僕の母に分けるべきだ。

さらに父の遺した分も全て僕の名義になっているが、母と友維に分けたい。

大学受験用にと、祖母は別口で僕名義の通帳を作っていてくれた。

それにもまだ一切手を付けていない。僕にはこれがあれば充分だ。

母と縁伯母さんは世界中飛び回っている。

僕にも関係している事で少しでも援助できるなら。

「大きなお世話だって言われるぞ。」

「何だろう。家系と言うか血筋なのかなぁ。」

魔女は魔女を助ける。その意識は世界中でとても高い。

まして2人は「魔女」の権利を守ろうと走り回った当事者。

「私達の母親達は多分ヨーロッパで私達よりイイモノ食ってると思う。」

でも旅費やらかかるでしょ。

「何の?」

飛行機乗るにしても何処か泊まるにしても。

「まあ海渡ろうとすれば飛行機くらい乗るかもな。」

「でもこの前の帰国だって一緒に来たお姫様んとこのプライベートジェットだったし。」

そうなの?

「お前やっぱりちょっと魔女の事舐めてないか?」

紹実さんの母親の三原縁さん。旦那さんの仕事に付いて世界を回っている認識。

その旦那さんは医療機器の整備士。程度の認識。

それに間違いは無い。が、僕は勝手に「旦那さんの仕事」だと勘違いをしていた。

正確に述べるなら、旦那さんはソフトウェアのエンジニアで

縁さんこそがその医療機器のシステムを開発した張本人だった。

魔女としての医療知識と最先端の西洋医学の融合。

19世紀にX線が発見されるその以前から、魔女は人の身体を覗いた。

細胞レベルでの治療は、その病気に「癌」と名付けられるより以前から行われていた。

医療の発展は、魔女無しでは少なくとも100年は遅れていただろう事実を知るのは

もう少し経ってからの事になるのだが

それを知った時、「魔女を舐めてるな。」と言った今日の紹実さんの言葉を思い出したのだった。

いやその舐めてるって事はないです。

「そうかぁ?じゃあ何で理緒は魔女になりたがらないんだよ。」

男ですから。

「関係ねぇだろっ。」

僕が「魔法を科学的に」なんて荒唐無稽な事を常日頃口にするのは理由がある。

「魔法が現代社会で役に立つとは思えない」から。

僕が見てきた魔女達の魔法の多くは「奇術」や「手品」の類に近い。

それらは見世物としてはとても優れているだろう。

それで商売するならともかく。

「そんな事は無いよ。」

「グレタって言ったっけ?チェコの魔道士。」

はい。

「アイツ、理緒を尊敬するって言ってたよな。」

本国でもこれぼと造詣の深い魔女を知らないと言ってくれた。

でもそれって魔法の知識についてでしょ?

「活かし方次第だよ。道を知る事と歩く事は違うって言葉もあるけどな。」

「その道を知らなければ辿り着けない場所だってある。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ