表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Kiss of Witch  作者: かなみち のに
92/141

92

その後、道場で汗を流すかと言われたのだが

ちょっと行きたいところがあります。と断った。

それより小室さんに聞きたい事があったんです。

以前のように数人で襲われたり、銃で撃たれたらどう対処したらベターなのか。

「お前本当に普通の高校生か?」

と呆れられるほど危ない目にあっている。

魔法での攻撃に対しては指輪が守ってくれる事は小室さんも認識していたが

僕のように無防備だとあまり意味はない。

指輪の副作用で「人の目に触れられ難い」存在だったので

他人に対して警戒する必要が全く無かった。

それが良かったのか悪かったのかは判らないが

それが蓮さんの言う「妙な素直さ」になっているのだと思う。

「躊躇するな。」

小室さんの一言はとても重かった。

複数で囲まれた場合、先ず対峙する相手を1人にする状況にする。

縦一列に並ばせる状況。まあ実際それは不可能に近い。

なら、「手近な相手」から躊躇する事無く「極めろ」と言った。

腕でも脚でもいい。何処か折れ。

少なくともそいつの心も折れる。もしかしたら他の奴らの心も折れる。

話を聞いているだけで心臓が速まるようなヘタレな僕にそんな事ができるだろうか。

「覚悟だよ理緒。」

「お前のその指輪、魔女の祈りが詰まっているんだろ。」

「そんな指輪を、魔女を滅ぼす道具に使われていいのか。」

何度となく指輪を手放そうとしている僕にとってなんとも耳と心が痛む言葉だった。

ただ判って欲しい。

僕がそれを知ったのはほんの1年半前の事。

とても貴重で価値のある指輪だなんて知らなかった。

ただ「母の形見」だから大事にしていただけだ。

この指輪が僕の命を「今でも救い続けている」なんて知らなかったんだ。

「それで、行きたいとこって何処だよ。」

神社で確かめたい事があります。

「暇だから付き合ってやる。」

と車を出してくれた。多分心配してくれている。

「ここに来ると体調悪くなるんだって?」

そんな大袈裟なもんじゃないですよ。耳鳴りがするって程度ですから。

「何か、ごめん。知らなかったとは言え。」

はい?

「いやほら、前に紹実ちゃんから頼まれて修行したじゃん。あの時。」

何だ。だから大した事ないって言ってるじゃないですか。

やっぱり素敵な人だなぁ。藍さんがアッと言う間に落とされたのが判る。

「で、どうだ?」

何ともないですね。やっぱり指輪の影響なのかなぁ。

と、油断していたからなのか。

階段を登り切って、境内を少し歩いていると突然足の力が抜けた。

小室さんも慌てて駆け寄って支えてくた。

耳鳴りも頭痛も無い。そのテの苦痛に神経を集中していたから

本当にただ蹴躓いただけかも知れない。

だがその時、何だかとても「イヤな感じ」がした。

どう説明したらいいのだろうか。

神社に飲み込まれてしまうような。この地に捉われてしまうような。

「逃げられない」と思ってしまうような。

本当はそのまま橘家に寄って結さんの父親に挨拶しようかと思っていたのだが

すみません付き合ってもらって。ちょっとイヤな感じがしたので引き揚げましょう。

小室さんに謝り逃げるように階段を降りた。

皆はいつもこんな感じでこの神社に接しているのだろうか。

これがこの神社の「加護」なのだろうか。

耳鳴りや頭痛は「指輪の拒絶反応」ではなく、

指輪に対する「神社の拒絶反応」なのではないか。

だとしたら指輪をしていない今、もっと神社に居続けたなら

その加護を実体験できるのではないだろうか。

そんな事も考えた。考えた末に逃げた。

階段を降りて、公園のベンチに座りふぅと息を吐くと楽になった。

「大丈夫か?」

はい。すみません。

小室さんに嘘は吐かないと約束した。だから全部話した。

「私はお前の指輪の事とか魔女の体質とかよく判らないけど」

「この神社には独特の雰囲気はあるよな。」

「理緒の言うようにそれが加護だとしても、自分の感覚に従って降りたのは正解だと思う。」

「紹実ちゃんと一緒の時とか姫がいる時にでも確認すればいい。」

すみません本当に。

「何度も謝るな。言ったろ?困った事があったら言えって。」

はい。本当に助かってます。ありがとうございます。

「おう。」

予定が変わってしまった午後、小室さんが「暇なら私に付き合え。」と

何か予定があるんですか?

「ん?いや別に。暇だから買い物にでも付き合わせようかと思っただけだ。」

デートだ。

昼食をご馳走してくれようとしたのだが

今日は出させてください。と言うと応じてくれた。

それにしても休日に呼び出す相手の1人2人いるでしょ。

「いたらお前の相手なんかするか。」

小室さんならデートの相手を放置してでも助けに来てくれそうだな。

舎弟の5,600人すぐに現れそうだけど。

「桁がオカシイ。つか舎弟って何だよ。そんなヤバイ奴に見えるか?」

見えてたらこんな事直接言えるわけないでしょ。

ただの軽口。ただの冗談。でももしかしたら。

始めて会った時モデルさんみたいだなって見惚れてたんですよ。

で話してみたらやっぱり素敵な人で。

「お、お前よくそんな事正面切って言えるなぁ。あ、これか天然て。」

天然て何ですか。今朝言った筈ですよ。何があろうと小室さんにだけは嘘を吐かないって。

「それは信じてやる。あ、いや。じゃあ質問だ。」

イヤな予感がする。

「お前の本命教えろ。」

ほらでた。

どうしてこう僕の周囲の女性陣はこのテの話が好きなのか。

いませんよ。

「嘘吐かないってんだから本当なんだろうな。でもな。」

「桃はわりと本気だぞ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ