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Kiss of Witch  作者: かなみち のに
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でも誰か楽器できるの?

「リコーダーとピアニカなら。」

「小学生の学芸会だな。」

「楽器なんていじってる暇があったら魔法の一つでも覚える。」

「クリスマスに皆でやった紙芝居は?あれ楽しかったよ。」

橘さんは可愛い事を言うなぁ。

「それこそ小学生向けじゃないですか。」

「お前ら揃いも揃って魔女なんだからマジックショーでもやったら。」

小室さんのこの投げやりな一言で、皆の目が輝いた。

イヤな予感しかしないんだけど。

「何を他人事みたいに言ってるんだ?お前も何かやれ。」

は?僕は魔女じゃない。

「桃も何かやれよ?」

「は?私魔女じゃないですよ。」

小室さんがこんなに意地悪なのは多分彼女の恥ずかしいDVDを見たから。

ハラハラしているのは僕だけのようだ。

小室さんだけではない。橘さんも、佳純ちゃんも

「この人達なら何かとんでもない事をやらかしてくれるかも」的な期待をしている。

こうして僕達は、我が校歴史上初のマジックショーを開催する事になった。


グレタを交えて工房での打ち合わせ。

魔女達の演出に怒ったのは桃さん。

「何だその昔のコントみたいなノリ。」

「何よいいじゃない。真理よ。」

「いやそうかも知れないけど何でその象徴がアタシなんだよっ。」

先ず藍さんが「瓦」を宙に浮かせて見せる。

拍手が起きたところで桃さんが乱入しそれを叩き割る。

僕が壁抜けをする。

桃さんがその壁を蹴り壊す。

蓮さんの言う真理とは「一番強いのは人間よ。的な?」

桃さん強いからぴったりですよ。

「強いってか怖いってなるだろっ。それに瓦割なんて出来るかっ」

「じゃあ魔法使って壁抜けした理緒君に面打ちするのは?」

「いいな。魔法使ってる連中に皆面打ちして回って」

「いいじゃない。マジックコントショー。」

結局「私は裏方に徹するから。」と落ち着く。

クリスマス会の時もそうだったけど表に出るのが本当に苦手のようだ。

カワイイのに勿体ない。

当のグレタは?あれ?

彼女は工房の実験道具やら図面やらに目を輝かせ紹実さんに質問攻めをしていた。

グレタはどんな系統の魔法が得意なの?

「え?何?聞いてなかった。魔法?医療系よ。」

マジックショーの意味なくない?

「理緒君に人体切断ショーやってもらってグレタにくっ付けてもらえばいいんじゃないですか?」

それ本当に切られてるような。

他に何かできないかと尋ねるのだが

グレタは心ここにあらず。今は工房にしか興味が無い。

もっともそのお陰で彼女の「日本の魔女」に対する偏見はかなり薄くなった。

グレタは紹実さんの名前は聞いていた。

プナイリンナ家のお姫様から「日本最強の魔女」と言われていた。

そして今、紹実さんとその工房を拝見することで、彼女を尊敬するようになるのは喜ばしいのだが

「今や日本最強の魔女は理緒だ。」なんて言うから面倒な事になった。

そもそも飛べもしない僕が最強だなんて有り得ない。

「飛べるから強いとは限らないぞ。」

でも攻撃のバリエーションは増えるよね。

「ゴールキーパーだと思えばいい。」

?

「相手がどんな攻め方をしようと、何処から攻めようとゴールは一つだけ。」

そうかも知れないけど。でも僕は攻撃の手が一つ少ないって意味でもあるよ。

「攻撃なんて必要ない。」

どうして。

「理緒が本物の魔女だから。」

魔女は他者を傷付けない。

紹実さんは僕がそれを守り続けていると言ってくれた。

そうじゃない。それは僕がいつも誰かに守られているから。

僕が誰かを攻撃する機会が無かっただけの事。

そう答えても、彼女はただ微笑むだけだった。

たいした魔法も使えない僕を「最強」と呼んだところで誰が信じる?

それでもグレタは紹実さんの話を(100%ではないだろうが)信じて僕を見るようになった。

僕にあるのは知識だけだとグレタ本人に言っても

「私はこれほど広い知識を持った魔女を他に知らない。」

と答えた。それが現代社会で何の役に立たなくても

「たとえそうだとしても、私はトトを、いえリオを尊敬する」とまで言ってくれた。

翌日、皆で碓氷先生に相談に行くと

「火はダメだ。体育館じゃ使えないぞ。」

外ならいいのかよ。

小手先の手品では体育館での披露は難しいだろう。

動きが大きくて後ろまで見えるような出し物。

「渡良瀬は集団催眠術とかでいいじゃん。」

「最初からそのつもりです。」

「神流川は?」

「神風の術。」

「は?」

「スカート捲りよ。」

「まあいいや。藤沢は?」

いいのかよ。

「はい?私は出ませんよ。」

「出ろよ。」

「嫌ですよ恥ずかしい。そんなに何人も要らないでしょ。」

「葵ちゃんと蓮ちゃん。それにグレタと友維ちゃんで充分ですよ。」

「理緒は出ないのか?」

出るわけないでしょ。

「出ろよ。アシスタントみたいな事しろよ。」

「あーいいわね。チャイナドレス着て太腿あらわにしなさい。」

え?見たいですか?僕のふとももなんて。

「太腿はともかく理緒君の女装は見たいかも。」

「兄ちゃんよくスカート履いてたじゃん。」

いっ。あれは履かされてたんだっ

「ほら。」

友維がスマホのデータを皆に見せる

「うっ。何か普通に可愛くてコメントできない。」

「ちょっと友維ちゃん後でそのデータよこしなさい。」

「女装癖の露出狂なんて本当に変態ですよね。」


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