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Kiss of Witch  作者: かなみち のに
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「理緒はあーゆーのがタイプなんだ。」

蓮さんはともかく桃さんまで何を言っている。

「私達には慣れたんだろ。3日で飽きるって言うしな。」

葵さんも何を言っているのかよく判らない。

僕が毎日どんな思いでこ皆と接しているのか全く判っていない。

それにこの留学生に見惚れていたとしても

それは美しい絵画を見ているのと同じ感覚でしかない。

「絵画ってよりお人形さんよね。お人形さん遊びしたいの?」

カナさんはどうして藍さんみたいな事を言うか。

「そう言えって言われたから。その方が理緒君喜ぶよって。」

喜びません。

それより、彼女魔女の敵かな。

「どうして?」

名前がグレタだから。何て言っても判らないだろうな。

何となくそんな気がしただけ。

「この前のフランスの魔女だって見ただけじゃ魔女だなんて思いもしなかったじゃない。」

「それね、本場の魔女は魔女である事を隠すから気付き難いって紹実さん言ってたわ。」

クラスメイトに囲まれる彼女を少し離れた席から眺めていた僕達は

皆それぞれ少しだけ警戒はしていた。


プラハが魔法都市と呼ばれている事はこの際関係無い

(あれは美しさからそう呼ばれているだけで魔女の伝説とは関係ない)

むしろチェコとポーランドを結ぶ魔女街道。

その名の元となった魔女裁判に関する歴史こそが重要だった。

彼女が「魔女の味方」である事を望むだけだ。

と、その輪の中から園原さん1人抜け、僕達の席に向かって来た。

「グレタさんがね、「あの女の子に囲まれている男の子は何者なの?」って。」

と笑った。

クラスの誰もがこの「美少女に囲まれた男子」を当たり前のように見過ごしているが

初見では驚くだろうな。

しつこいようだが僕を取り囲む魔女も剣士も揃いも揃って美少女だ。

害のない普通の男子高校生って言っておいてよ。

「あれ?王子様じゃ無かった?」

悪戯っぽく笑う委員長はとてもカワイイ。

「変態王子。」

うわっ嬉しくねぇっ。と言うかカナさんの口からそんな事聞きたくなかった。

「あ、ゴメン。嬉しく無いんだっけ。」

藍さんはカナさんに何を吹き込んだんだ。

「まあ王子様って感じじゃないよな。」

「何かしらね。」

無理に他の何かに例えなくてもいいよ。僕は何でも無いから。

僕のこの「なんでもない」に反応したのは蓮さんだった。

「理緒君指輪掛けてるわよね。」

何だ急に。胸に手を入れると鎖に繋がれた指輪はある。

あるよ。

「じゃあどうしてあの子理緒君の事見てるの。」

?

皆蓮さんの言っている事が理解できない。僕も判らなかったがすぐに思いだした。

僕は勘違いしていた。

皆が「美少女に囲まれている僕」に無関心なのは「慣れ」ではない。

皆には僕が見えていない。美少女は誰も囲ってなどいない。

皆の目には彼女達しか見えていない。僕が視線を感じないのも当たり前の話だ。

この魔女達でさえも、最初は僕を見失った程だ。

(今でも時折僕に無遠慮なのは僕の事が見えていないからだと思う事さえある)

似たような東洋人の顔が並ぶ中で、僕を見付け微笑んだのは思い過ごしではないのか?

皆にそれを伝えようとしたがやはり自意識過剰だよな。

「何かイヤな感じ。」

と蓮さんは嫌悪感を表した。

「念のためだ。お前1人で動くなよ。」

葵さんの言葉に驚いたのは委員長だった。

「え?ちょっと待ってよ。グレタさんの事言ってるのよね?理緒君が彼女に何かされるの?」

「いやいや、理緒が何かしでかさないように。」

酷い。

「何だっけ。天然何とか。」

ああ、天然スケコマシね。それも藍さんから言われたのね。

違うからね?何もしないよ?

「違うの?」

「違うのか?」

「うっそだー。」

何なんだ皆して。


その日、僕達はその留学生と接触する事は一切なかった。

どうやら彼女は僕に興味を持っているわけではなさそうだ。

もっとも休み時間の度にクラスメイトに囲まれ、挙句その噂を聞き付けた他所のクラスからも人が集まる。

しかし放課後、友維と合流すると

「うそっ?マジで?フルネーム何て?」

何だっけ?

マーガレットのチェコ読み?何だっけ?マルガリータ・ソビエトリークとかそんなん。

「マルケータ。マルケータ・スヴェトリーク。」

友維の口にしたその名前で間違いないだろう。そんな響きだった。

知り合い?

「ああああっアイツ私より上だったのかよぉっ」

「何かしたの?」

「いやまあチョット、泣かしただけ。」

酷い奴だ。

「いやいや違うよ?アイツがシートニア泣かすからつい。」

シートニアッで誰だよ。

「お姫様だよ。私がポーランドで世話になってた魔女の子。」

魔女のお姫様泣かすとか何したんだ。

「グレタがシートニアのケーキ取ったんだよ。」

で?

「でって何。」

あからさまに動揺する妹を問い詰めた。

そのお姫様がケーキ取られて泣いたのは判った。友維は何して彼女を泣かせたの。

「えーと。その奪ったケーキをちょっと。」

ちょっと何だ。

「そのー。燃やした。」

それだけ?

「えーっと。そのー前髪も少し。」

酷っ

「違うって事故だよ事故。眉毛も片方燃やしたけど事故だからなっ。」


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