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Kiss of Witch  作者: かなみち のに
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小室さんには怒られなかった。

皆が橘さんの家に居た時に僕の行方不明を知ったのだから

当然その話は小室さんの元にも伝わっていた。

「コイツが消えて気が気じゃ無かったんだろ。それが罰だよ。」

と笑ってくれた。

「もちろん何事も無かったから笑っていられるんだぞ。」

と脅されもした。

「お前も1人で何処か行こうなんてするなよ。周りに誰もいなかったら私を呼べ。」

と言ってくれたが、もちろんそんな事本気になんてしない。僕の生返事に

「そうは言っても呼べたら呼ぶよな。」

と、頭を撫でながら言った。

「だから皆と約束したんだけどなぁ。」

その後橘家に作りかけのチョコを引き取りに行く。

そもそもどうして橘さんのとこなの?

「うちじゃ作れないじゃない。」

なんで。

「バレたら元も子もないだろ。」

話の始まりは桃さんが姉の杏さんから

「絢の野郎ああ見えてお菓子作りの名人だ。」

(クリスマスケースも小室さん手作りだと聞いた)

しかし生憎日曜日は空手の大会の付き添いに行く。そこで小室さんから橘さんに話が行く。

「佳純ちゃんも作るって言っていたから丁度いいわ。

それと同時に学校内では「交換用のチョコ」の打ち合わせが行われている。

その席上、桃さんが

「理緒の分はどうするんだ?」

「本当は手作りしたいんだけどチョコなんて作った事ないのよね。」

「私も無いな。」

「私はありますけど家で作ったらバレバレですよね。」

今まで誰かにチョコレートを渡した事が無い。そんな必要は無かった。

今までは「誰かにあげるくらいなら自分で食べる。」と言い切っていた。

「今度の日曜日に橘さんとこの佳純ちゃんと一緒に作るんだけど。」

「行く。」

チョコレートは橘さんと佳純ちゃんが仕上げてくれていた。

ご迷惑おかけしました。

「ホントよ。」

橘さんが怒っているのよ。みたいな感じで言った。かわいいな。

「でも家で1人ボッチなんてイヤよね。」

むしろ一人になりたかったから家を出た。なんて言ったら皆に怒られるかな。

「理緒君が黙って引き籠っていてくれたら皆もっと美味しいチョコ作ってたのに。」

佳純ちゃんが僕にチョコを渡しながら言った。

うん。本当にごめん。

「ふわっ冗談だよ。来年は理緒君も一緒に作ろうね。」

来年より、3月のお返しを手伝ってもらえると助かるよ。

「うん。いいよ。」

「でたな天然スケコマシ。」

「佳純ちゃん気を付けてくたざい。この人手当たり次第ですから。」

また害虫扱いして。そんなつもりないよ。

「つもりが無いから天然なんだろ。」

「あら巧い事言うのね。」

「橘さんも気を付けてくださいね。既に5,6人コマサれてますから。」

コマしってなんだ?

それぞれのチョコは中身が少しずつ違った。

僕1人に贈るつもりは最初からなくて、それぞれを皆で食べ合った。


固い筈だった決意は甘いチョコレートと一緒に溶けて消えた。

諦めた。と言うべきだろうか。

事が全て片付かない限り、彼女達を開放する術はない。

それなら逃げずに対峙するしかないじゃないか。


翌朝、登校と同時に職員室に行き碓氷先生に

ご迷惑おかけしました。と謝った。

先生は腰かけたままコチラに向き直り

「ごめんな理緒。」

「お前を追い詰めたのは私なんだよな。」

ああそうか。3人の魔女を否定する事はつまり、先生の厚意を踏みにじる事。

いえ、違います。僕の思い上がりです。

1人で片付けられると思っていた。

自分1人で、何だったら自分だけが事態を収拾できるのだと思っていた。

そうではない。僕が勝手な行動をとれば、それだけ事態は複雑になる。

皆の心配事も面倒も増える。それがよく判った。

先生は引出を開けてチョコを取り出した。

教室に戻ると「薫ちゃんチョコくれた?」と蓮さんから聞かれた。

ラッピングも何もない、市販のチョコレート。

「ナニコレ。社会人のくせに。」

自分で食べたかったんじゃないかな。

「恋人とかいないのかね。」

いてもおかしくない。かわいいし。

あの人も僕の指輪の問題に巻き込まれている1人だからそんな余裕が無いのか。

「恋人にあげる手作りチョコのついで。」

なに?

「いやそんな感じのチョコを貰ってくるかななんて話をしてたのよ。」

そんな話を聞いていたのか、委員長の園原さんが

「理緒君。これ昨日のプリント。」

と休んだ僕の分を渡すと同時に

「それから、これも。」

と小さな箱を手渡した。

驚いたのは僕より3人の魔女と1人の猫娘。そしてそれ以外の全てのクラスメイト。

ザワついていた教室が一瞬静かになるくらいの衝撃だ。

「委員長が男子にチョコ渡してる。」

「うそ誰。」

「ほら例のキス魔。」

キス魔ってのは僕の事か?

「理緒君昨日こっそり渡したチョコ食べてくれたー?」

蓮さんはどうしてそんな大きな声で嘘を言うのか。

昨日皆でた

「うるさい黙れ。」

ええ?


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