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Kiss of Witch  作者: かなみち のに
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12月29日。

寝過ごした。

冬休みになって連日友達と勉強会をしていた友維も今日は休むそうだ。

午後になれば僕達はまた道場に行かなければならない。

それまで姉達に甘えるのもいいだろう。

「で、誰かコレと何かあったの?」

「だめ。こいつ神社に行っちゃうから。」

「あのお姫様に何かされましたか?」

何もされてねぇ。

「じゃあ何かしたんですね。」

してもいないっ

「ヘタレにもほどがある。」

正直に言うと「それどころではない。」

朝早く起きて神社の掃除して、午前皆に殴られ続け、

午後橘家にて教えを受けていた。

体捌き?って言うのかな。足の動かし方から体の向きとか

結構細かく指導を受けていた。

「こうきたらこう動く」のはそれが効率的だったり次の動きに繋がっているから

つまり理に適っているから。なのだが

頭で理解していても身体が動かない。

身体のどの部分がどう動いてどこまで動いてそれに連動してどこがどう動いて動かないのか

今まで体育の授業以外体を動かした事の無い僕には何のこっちゃワカラン。

で、それを相手に合せて動かさなければならないのだから混乱ここに極まれり。

あとは何かと言うと「頭を撫でられ」ていた。

「は?」

入れ代わり立ち代わり2人に毎朝毎晩撫でられた。

「何か可哀想に思ったのかもね。」

「捨て犬みたいな目ですり寄ったんでしょ。イヤラシイ。」

もう勝手に決め付けられるのもさすがに慣れたな。

あの人に撫でられると頭痛とか耳鳴りとか治まると言ったところで信じてはもらえないだろう。

僕自身頭を撫でられただけで治まるのはとても不思議だった。

信じたとしても心配されるだけだ。

「姉ちゃんはその橘さんって人知ってるん?」

興味を持ったのか友維が聞いた。妹はまだ橘さんにも小室さんにも会っていない。

「お、偉いな友維。お前はちゃんと私をお姉ちゃんと呼ぶな。それに引き替えお前の兄はまったく。」

「で、どんな人なん?」

「んー聡明で慈愛に満ちて。勇気もある。それに強い。」

べた褒めじゃないか。

「たくさんの苦しみや痛みを知って、同時にたくさんの幸せも知っている人。」

紹実さんはとても慎重に言葉を選んでいるようだった。珍しいな。

幼い頃の橘結をその父親に頼まれサポートしていた。

「まあイロイロとあったなぁ。」

僕には彼女が言葉を濁したように感じた。明言を避けているような。

橘結は何者なのだろうか。


30日

「無理とか無茶はするなよ。」

妹の心配は僕の身体ではない。

「年末年始に入院とか面倒だからやめてな。」

気を付けます。

早朝迎えに来てくれた小室さんの車に乗り込み、

神流川家と渡良瀬家にそれぞれの娘を送り届ける。

4月のあの日から、10ヶ月ぶりの帰省。

とは言っても荷物取りに行ったりチョイチョイ皆でお邪魔しているのだが。

それでも家族とゆっくり過ごす久しぶりの時間になるだろう。

藍さんは実家に帰らないと言っていた。

三原家で紹実さんとその家族、友維達と過ご

「一人くらいあなたを守る魔女がいなくてどうするんですか。」

年末年始の神社での仕事を手伝う事にした。

「今日はお前達2人共うちに泊まってもらうからな。」

小室家でお節づくりに参加。

本格的で豪華で、量がもう。

「料理の上手い男子はモテるぞ。」

それは幻想です。なんだったら都市伝説です。

「いや、そんなことはない。実例を知ってるからな。」

ホントですか?

「おう。もっとも相手は猫娘やら雪女やら吸血鬼やらだけどな。」

妖怪の餌付けか。


藍さんの手際は素晴らしい。

普段、三原家の厨房を任されているだけのことはある。

「一人暮らしが長いってだけですよ。」

自立を目的とした独立。

僕が藤沢藍のご機嫌を取っているのは、

彼女が小室家に来てからずっと不機嫌だから。

「こんな事している場合なのでしょうか。」

元々彼女は紹実さんから

直接「魔女」としての指導を受けるつもりでいた。

他の二人にどんなメニューが与えられようとも

自分だけは「魔女」として強くなると決意していたのに

「揃って小室家に行け。」

「格闘技を習ったところで役に立つとは思えません。」

小室絢に吐き捨てた。

「うん?格闘技を教えるつもりなんて最初から無いよ。」

「じゃあ一体何を。」

「魔女の修行じゃないのか?」

「ないのかって。お節作りが何の修行に。」

「花嫁修業。かな。」

「はい?」

「君がずっと不満に感じているのは判ってるよ。」

「まあでも信じろ。私じゃなくて紹実ちゃん。」

小室絢の言うには

三原紹実も最初から魔法や格闘技を教えるつもりは無いのだろうと。

「私にもよく判らないけどこんな時期に寄越したのには意味があると思う。」

「よく判りません。」


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