表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Kiss of Witch  作者: かなみち のに
4/141

04

ざっと容姿を説明しておこう。

神流川蓮。セミロングのストレートヘア。メガネを掛けていれば「委員長」。

藤沢藍。肩より少し長めのウェーブヘア。高1には見えない色気。

渡良瀬葵。ショートヘア。東欧系の血が入っているのか薄いクリーム色の髪と淡い目。

自己紹介のターンとは言ったが

「神流川蓮。得意技はナイマンキックよ。」

「藤沢藍です。」

「渡良瀬葵。」

神流川蓮以外何とも素っ気ない。

ナイマンキックて何だ?

「今日からこの3人がお前の守護者だ。」

守護者?

「指輪の、ですよ。」

「私もそう聞きましたよ。」

「私もだ。」

未だ話が見えない。


「さあお前達、契約の証に理緒にキスしろ。」

契約?キス?

薫ちゃんは何を言っている?

「初対面でいきなりキスとか教師としてどうかと思いますよ。」

「キスしないと世界が滅ぶぞ。」

「滅んだらいいんですよそんな世界なら。」

藤沢藍が薫ちゃんの戯言に突っかかる。

「キスしろってならするわ。でも所有者にする必要はありませんよね。」

神流川蓮はおそらく正解を言っているのだろう。

「高校生で魔女出てきて契約って言ったら普通はキスだろ。」

普通?

困って紹実さんを見ると彼女は何故か楽しそうに笑っていた。

「じゃあとりあえず変身しろ。」

「変身て言うな。」

「いいから魔女っ娘共、とっとと魔法少女になれよ。」

魔女っ娘と魔法少女は同一視されているのか。

「理緒は指輪填めて。右手の薬指ね。」

何でこんな事を?

「儀式よ。」

「形式って言ってもいいわ。要は意志の確認だから。」

儀式とか形式とか、だから何のために。

「お風呂で湯船に入る前に掛け湯するでしょ?あれよ。」

「私達の裸想像しましたね?変態ですね。」

藤沢藍は何を言っている?

いやそれより、質問に答えてもらっていない。

儀式って、何のための儀式。それを受けたらどうなる。

「察しろよ。」

薫ちゃんは面倒くさそうに説明した。

「指輪が狙われてるって言ったろ?彼女達は指輪を守る魔女だ。」

彼女達が指輪を守る?

どうして。

「お前のその指輪。狙われている。」


今朝他校の女子高生魔女に「指輪置いてけー」と言われた。

母から受け取ったこの指輪

聞いていいですか?どうしてこの3人が守らなければならない?

「そっち?」

そっちって他に何が

「まあいい。この者達は指輪に選ばられし運命の魔女。」

「なにそれ。少々の問題は揉み消すって言うから。」

被せるように神流川蓮が否定した。

「まさか過去の精算もまだ?」

藤沢藍も睨む。

「いっ。人がいるとこで言うなって言ったろ。」

殆ど脅迫だ。

それでその守護ってのは具体的に何を?

「24時間の警護。」

24時間?それって

「今日から一緒に暮らす。いいなぁお前女子高生と同棲とか羨ましい。」

教師の台詞か?

いやまて彼女達の親御さんはどうなのか。

「魔女修行って言ったら喜んで送り出されたわ。」

過去の精算とか言っていたな。どんな問題を起こしたのか判らないが

女子高生が住み込みまでして守るほどの価値がある指輪。

だとしたら

賢者と呼ばれているらしい碓氷薫に指輪を差し出した。

貴女に預けます。何処かに隠すなりしてください。

碓氷薫は驚いている。一度紹実さんを見て

「何処に隠そうとそれは狙われる。」

皆はそれでいいの?

楽しいはずの高校生活を捨てる事になる。

「捨てないわよ。」

神流川蓮はそう言うと伸びた僕の腕を取り

「指輪に祝福を。指輪の祝福を。」

その指輪に唇で軽く触れた。

「通学路が変わったって程度ですね。」

藤沢藍、渡良瀬葵も

指輪にキスをした。


指輪の守護者達。

翌日から、女子高生3人に囲まれての登下校。

なのだが、本当にただそれだけ。

3人と1人。

前を歩く女子3人。後ろを歩く僕1人。

思い起こせばずっとそうだった。

紹実さんと共に暮らすようになっても

外へ出れば常に1人だ。

高校に入って、同じ中学の人達もいたはずだが

お互い全くその認識が無い。

学校内でもその図式は変わらない。

昼食もその後の図書館も一人。

自宅でもそれは変わらない。

魔女達はそれぞれ部屋に籠もり、

僕は僕で工房で過ごす。

紹実さんの帰宅に合わせ夕食の支度を始めるが

誰も手伝ったりしない。

彼女達は本当にただの「指輪の守護者」。

その翌日の夜。多分21時頃だと思う。

シャープペンの芯が終わったのでコンビニへと外へ出た。


コンビニの入り口。ドアを開けると中から女子高生2人が出ようとしていた。

ドアを抑え脇に避ける。

「あざっす。」

「ありがとうございます。」

何処かで見た制服だ。まあいいか。

中に入ろうとした途端、パーカーのフードを後ろから掴まれ引っ張られた。

「お前っフロドだなっ。」

フロド?

「指輪置いてけーっ。」

あの時の2人。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ