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Kiss of Witch  作者: かなみち のに
3/141

03

告別式が終わってすぐ。

片付けが終わったのは真夜中だった。

「あとはこっちで片付けるよ。」

僕個人の荷物なんて殆どない。

心残りなのは祖母の残した本だったが

僕にはどうする事もできない。

連れて来られたのはホテルのような大きな屋敷。

出迎えたのは綺麗な女性だった。祖母に似ているような?

三原紹実(みはら つぐみ)。よろしく。」

差し出された右手を取ると

「お姉さまと呼ぶように。」

「にゃ。」

足元からの声。

黒猫が脚にすり寄ってきた。

「その子はノト。彼女も家族だ。」

聞きたいことは山のようにある。

「まずは食事た。薫ちゃんも食べていくだろ。」

「もとろん。」

用意されていたのはデリバリーのピザ。

結構な量だが他に誰かくるのだろうか。

「君、料理は?」

少し。

祖母との料理は楽しかった。

「よし。じゃあ明日から食事当番な。」

「あ、いや家事全般な。あとノトの家来。」


食事が終わり、薫ちゃんを見送り案内された部屋。

リビングの奥のキッチンのドアを開けると裏庭に出る。

そこにあるのは部屋と言うより小屋だ。木造の山小屋のような。

「私と母は工房って呼んでいる。」

物置のようなその工房の中は

中央に大きな木製のテーブル。

その上にはビーカーやフラスコ。何やら薬の瓶。

壁の棚には、何だこれ。遠心分離機か?

書棚にはたくさんの本。

そして

その手前には祖母の家に置いてきた思い出の詰まった本の山。

嬉しくて泣きそうになった。

「全部入るかな。これ全部読んだのか?」

え?はい。一通り。

母の絵本も祖母の本も楽しかった。

何度も読み返した。他に楽しみは無かった。



薫ちゃんの運転には触れずにおこう。

今回に限らず結果的には彼女の運転で物語が動く事は無いし

あまり触れたくないので今後はいちいち語るまい。

無事三原家に到着し玄関を開けると黒猫のノトが出迎えてくれる。

いつもより靴が多い。

「あいつらも来てるな。」

あいつら?

「話はあとだ。先にお昼にしよう。宮田も上がれ。」

「自分チみたいに言いますね。」

リビングには紹実さんと

たくさんの靴の正体は3人の女子高生だった。

あの日のようにピザやらを食べ漁っている。

女性6人なのにその倍以上はありそうな枚数のピザ。

誰も僕に気付かず貪り食う。

話は既に済んでいるようで、今は何やら不穏な単語が飛び交っている。

「私は歩いてこられる距離ですよ。」

「お前がいないと困る。」

歩いて、何?


神流川蓮カンナガワ レン)

藤沢藍(フジサワ アイ)

渡良瀬葵(ワタラセ アオイ)

3人の女子高生は3人とも「魔女」

「いやーまさか入学式の日から狙われるとは思わなくてさー。」

碓氷薫の軽口に

「それで本当に賢者って呼ばれているんですか?」

神流川蓮が呆れる。

「まあ良く言って策士ですよね。」

藤沢藍が皮肉る。

「ただのダメ教師だろう。」

渡良瀬葵がトドメを刺した。

そんな事より誰かこの状況を教えてくれないだろうか。

「どうした理緒。食べないとなくなるぞ。」

紹実さんの言葉にテーブルを見ると同時に四方から手が伸びて

綺麗にピザが無くなった。


「その3人が指輪の守護者とか言う魔女達だろ?」

宮田桃が最後のピザを食べながら指摘する。

「先生から聞いて大体の事情は知ってる。」

先生?

「この人じゃないよ。アタシが通っている道場の先生。」

「絢は剣道も教えるようになったのか?」

割って入った紹実さん。

「剣の師範は大先生っす。絢先生とはたまに手合わせする程度っすよ。」

宮田桃は紹実さんと知り合いのようだ。

それで指輪の守護者って?

「まわわへはわへ。」

神流川蓮が何か言っている。

「食べながら喋るな。」

「んぐ。待たせたわねって言ったのよ。やっと私達のターンね。」」

「あ、アタシこれから道場だからまた今度ゆっくりな。」

宮田桃は立ち上がり、一人とっとと帰ってしまう。

「なんてことっ。」


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