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Kiss of Witch  作者: かなみち のに
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中学生になった友維はフィンランドのこれまた名家に預けられた。

素敵なお城で素敵な王子様とさらに素敵なお姫様と暮らしていた.。

「2人共兄ちゃんの通ってる高校に留学したって。」

紹実さんとはその時知り合った。

その縁もあってフィンランドのその家にお世話になったのだろう。

あの人の親族ってだけで国賓級のおもてなしよ。と自慢した。

フィンランドでは8月の中旬で区切りになるらしく慣れるためにも前倒しで来日。

「横からゴメンね。友維ちゃんまだ中学生よね。」

「そうですが?」

「守ると言ってもどうするの?学校も違うし。」

「そんなの一緒に登下校すればいいだけです。」

「学校の中はどうするのよ。」

「そんなの皆さんがいるじゃないですか。」

「でも友維ちゃんが守るって言ったじゃない。」

「それくらいお友達として守ってください。」

「それに下校だって中学と高校じゃ時間違うな。」

「そ、そんなの兄が学校で待っててくれれば。」

「その間に何かあったらどうするのよ。」

「あーもう私が迎えに行くまで守っててくださいよ。」

「ただの友達なのにそんな事までさせるつもりですか?」

「なんですか。なんなんですか。私にどうしろって言うんですか。」

もう何というか敵う筈がない。

たかが1歳下と言ってもこの時期の1年間はとてつもなく詰め込まれるのだ。

友維にもすぐに判る。

「どうもしろなんて言ってないわよ。学校では私達が守るからそれ以外ではお願いね。」

じゃあ皆この家から。

「登下校の事があるって言ったでしょ。学校の行事もあるし。」

ホッとしている自分がいる?

「判りました。では皆さんご協力お願いします。」

いやいや。友維が皆に協力するんだよ。

と言おうとしたのだが葵さんがそれより早く。

「判った。困った事があったら何でも言ってくれていいから。」

「はい。ありがとうございます。そうさせてもらいます。」

どうして妹を立てるような事を言ったのだろう。

「あの頃ってとにかく自分中心に考えがちだから。」

「他人がとやかく言っても曲がらないのよ。」

「私達がそうでしたから。」

どうしてだろうかたかが1歳違いなのにとても説得力のある回答です。


その日は結局友維の引っ越しの作業の手伝いをする事になった。

その荷物の殆どが書物。

「あちこち引っ越していたから身軽のがいい。」

「そんなことより魔女でもないのに魔法使える一族がいるのよ。何だと思う?聞いたら驚くわよ。」

「何とその人達本物の吸血鬼なのよっ。」

一人興奮する友維を他所に魔女達は

「へー。」

「ほう。」

「ナニソレ。何でそんな薄いの。」

フィンランドって言った時点でそうかなって。

「は?」

「紹実さんが燃やしたって聞いたわよ。」

「それはオーストリアのヴァンパイアよっ。あの目付きの悪いロゼの男。あーもうっ」

友維もたくさんの物語を聞いたようだ。


「これ私の本じゃないよ?兄ちゃんにって。」

後にこれは嘘だと判明する。邪魔になった荷物を押し付けられただけ。

「工房に入れておけば?」

「物置じゃ無かったんだ。」

「似たようなものよ。」

「憩の物置。」

その夜、桃さんと鏑木姉妹を家に招き、友維の歓迎会が開かれた。

彼女はあっと言う間に馴染んだ。

時折社交会に付いて行って知らない人達の子供達と遊んでいた事が大きかったと教えてくれた。

「親に付いて来たがる子供が多くてね。」

「私も最初に行ったドイツのお嬢様と一緒に付いて行って。」

「んで何処でパーティーしても大抵メンバー一緒になってね。」

「だから日本に行く事が決まった時はもう皆泣いちゃって大変だったの。」

この時初めて、当たり前だが友維には友維の人生があって

僕の知らない友達もたくさんいて、辛い別れをしてきたのだろうと思った。

やはり僕の方が恵まれていた。

知らなかったとは言え育ててくれたのは本物の祖母だ。

彼女はお金持ちで何不自由なくとは言っても、母はあまり家に帰らなかったと言った。

とても寂しかっただろう。

話を聞くと、ドイツとフィンランドとの間に

「フランスとスイスでもちょっとだけ学校に行った」と言った。

「ポーランド(フィンランドに行くまで)もそこそこ行ってたし。」

ドイツ→フランス→スイス→ポーランド→フィンランド。

語っただけでもこれだけの国を巡った。

この子も、僕なんかを守るためにその人生を狂わされた1人。


2学期始まってすぐ。

一緒に海にまで行って、その後も頻繁にうだうだと過ごし、

今日もその続き程度の認識しだった。

鏑木姉妹のその一言に僕達は驚くより困惑した。

「さてと。久しぶりにやるわよ。」

二人はグローブを填めた。

何の為に?

彼女達はまだ僕の指輪を狙っているのか?


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