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Kiss of Witch  作者: かなみち のに
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魔女達の食欲に呆れながらも夕食に同席した宮田桃を見送り

一息つく間も無く、三人の魔女達は工房に集った。

「祝福の指輪」

紹実さんが欧州の魔女達から譲り受け

身体の弱い僕に授けられた。

この指輪を「委員会」(もしくは製薬会社)が探している。

僕を囮に魔女を探すのは

委員会により魔女狩りが行われようとしている事実を知らしめるため。

囮の護衛として三人の魔女。

「私達は魔女に対しては説得を行う。」

「魔女以外は叩きのめす。」

指輪を狙う。って前につけてよ。

「こまけー事はいいんだよ。」

と藤沢藍が突然変な口調で言った。

「宮田さんがいたらそう言ったでしょうね。」

「まさか猫娘の子だったとはね。」

「何となくちょっと違うなとは思ったけどな。」

「で、その宮田猫とキスした時の事詳しく教えなさいよ。」

は?直接聞いたんでしょ?

「間違ってしただけだ。としか言いませんでした。」

じゃあその通りなんですよ。

「どう間違ったのよ。どうやって間違ったのか言いなさいよ。」

「言えないシチュエーションだったのか?」

「ホントイヤラシイ人ですね。」

今更どうでも

「どうでもよくないわよ。このままだったらあなたが無理矢理奪ったって噂広めるわよ。」

「そうなったら終わりだな。」

ただでさえ友人がいないのにさらに敵まで作る事になるのか。

「ほら。言いなさいよ。」

「早く言え。」

「言わないと酷いですよ。」

言ったら「つまらん」とか「聞くんじゃなかったわ。」とか言われた。

なんなんだ一体。


学校行事もイロイロあった筈だったが殆ど覚えていない。

おかしな噂が広がってしまったからなのか

クラスでは誰も僕を相手にしない。

無視とか除け者とかとは少し違う。

誰も僕を認識していないようだった。

無視とか除け者の対象にすらなっていない。

その中、クラス委員長の園原栞(ソノハラ シオリ)だけは

一部女子達に広がるおかしな噂に振り回されもせずにただその職務を果たしてくれていた。

彼女のおかげで学校内では本当に穏やかに過ごせていた。

引き換え魔女達は学校内では何の役にも立たない。


魔女達は学校を出た瞬間からとても心強い盾になる。

殆どの週末、他所の魔女が僕達の元を訪れ

時に懇願し、時に脅迫し、時に力任せに僕の唇を狙った。

最初に僕を狙った鏑木姉妹は常連さんだ。

「新しいアイテムを手に入れた。」とか言ってやってくるのだ。

「のび太君か。」

「笑っていられるのも今の内よ。」

と攻撃をしてくるのだが最終的には

「今日はこれくらいにしてなんたらかんたら。」

で引き上げる。

1つ1つ拾い上げるのもバカバカしいのだが

それでも彼女達は文字通り手を変え品を変え僕の指輪を狙う。

アイテムの力なのだろう。魔法の種類が毎回のように異なる。

雷を起こして見せたり風を吹かせてみたり炎を浴びせようとしたり。

だが今回のは極め付けだった。

「新しい靴を買ったから見せびらかしにきた。」


その日は宮田桃が同行していないのが救いだ。

相当イライラしている守護者達がブチ切れる前に

えーっと、素敵な靴ですね。何処かで座ってゆっくり見たいです。

慌て駅前のファミレス行きを提案した。

ドリンクバーくらいなら奢りますから。

2人は顔を見合わせ喜んで付いてきた。

席について皆がそれぞれ飲み物を用意して

お疲れ様でーす。と僕からグラスを出す。

「いえーい。」

「お疲れ様ー。」

結構ノリノリの2人。

引き替え僕の守護者たちはグッタリしている。

僕達は彼女達に再三「魔女狩り」について話をしてきた。

指輪の効力についても話した。

その都度「それ聞いた」とか「知ってる」としか答えない。

靴を褒めてから僕は遠回しに聞いた。

いつも素敵なアイテム持ってきますけどどうしてるんです?

何処かで買ったにしても結構するでしょ。

「貰いモノよ。」

提供者がいる?

「正確には試供品ってやつよ。」

「最初にあんた達に会った時何もしないで帰ったでしょ。」

コンビニで会った夜。

「次の日先生に会ったの。」

「3年の担任だから全然面識無かったんですけどリナといきなり職員室呼ばれて。」

呼ばれて行ってみると前夜のイザコザを耳にしていたらしく

事を戒める前に「それで、勝ったの?」。

「引き分け?」

と答えると「次は勝ちなさいよ。」とアイテムを渡した。

学校指定のソックスだそうだ。

グローブを填めていないのに強かった理由が判った。

「そうそう。それでアンタの指輪の事話したら面白そうだから奪って来いって。」

それから事あるごとに試供品と言ってはアイテムを渡し

喧嘩を仕掛けて来い。と嗾けるのだそうだ。

2人はその教師に指輪の効力についても、魔女狩りについての警告もしたが

「それが何よ。」と言って取りつく島も無いらしい。

ただの実験じゃなかろうか。

「モニターって事?」

「お試しセットかお前ら。」

「何ですって。」

まあまあ。

一度お会いしたいですねその先生と。

「どうかな。美人で巨乳だけど強いわよ。」

胸の大きさと魔女の強さに因果関係があるのか。

「実際強いですよ。多分皆さんが3人で掛かっても子ども扱いされるでしょうね。」

疲れ切ってあまり興味を示さなかった彼女達も目の色が変わる。

「オモシロイじゃない。紹介しなさいよ。」

「なんだったら乗り込んでもいいですよ。」

「面倒を自ら起こそうとするな。」

神流川蓮が煽って藤沢藍が挑発する。

それを抑える渡良瀬葵に向かって

「葵ちゃんは自分より強い魔女がいても許せるの?」

「いや私は別に。」

「たしか中学生の頃は黄金の悪魔って呼ばれてたましたよね。」

「知ってたのか。」





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