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Kiss of Witch  作者: かなみち のに
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01

御厨理緒 主人公


三原 紹実  主人公の自称「姉」 魔女


神流川 蓮  指輪の守護者 神風の術

渡良瀬 葵  指輪の守護者 言葉を操る魔女

藤沢 藍    指輪の守護者 結界を扱う魔女


碓氷 薫  主人公の通う高校教師


鏑木 華奈 主人公を狙う魔女 双子の姉

鏑木 莉奈 主人公を狙う魔女 双子の妹


それは高校入学式の朝の事。

その通学路の道中。僕は二人の女子高生に襲われた。

「置いてけー。」

「置いてけー。」

奏でられる美しいハーモニー。

このあたりには「置行堀」の伝承なんてなかった筈だ。

僕は影が薄い。

小中学校の頃からずっと。

学校行事の旅行で置いていかれた事は1度2度では無い。

だからこの時も「僕に言っている」とは思わなかった。

「ちょっと待ちなさいよ。」

「指輪置いてけー。」」

ダッシュだっ

僕の指輪を知っている。

体力には自信は無いが短距離なら遅くは無い。

運動部に所属していない女子高生にならば勝てる。と思う。

振り返ると二人の女子高生が模様のある革手袋を填めている。

この二人の女子高生は、魔女だ。


通学中の他の生徒達には

僕が何から逃げて走っているのか判っていない。

彼ら彼女らには、僕を追う二人の女子高生の姿は見えていない。

助けを求めようにも

「?」

と言われ、事情を説明している間に追いつかれてしまう。

とにかく校庭に入って「薫ちゃん」に会わないと。

その時は何故か「ライフルケース」を担いでいると思ったのだが

一人の女子生徒の脇を走り抜けたその直後、

彼女は一歩踏み出すと同時に担いでいる竹刀をケースのまま、

僕の頭を掠めながら真横に一線

胴打ち

走り抜けかけた僕は無意識に彼女の腕を後ろから止めていた。

が、ドスンと空気が震え、僕を追った魔女達が弾け飛んだ。

彼女は僕の腕を振り解き、ケースから竹刀を取り出し中段に構えた。

「おい。」

僕に背を向けたまま

「何に追われている。」

この人には見えていない。

二人の魔女は起き上がり埃を払いながら

「今日はこれくらいにしてやる。」

「初日から遅刻しちゃうからね。」

捨て台詞を吐いて去った。

もう大丈夫です。いなくなりました。

彼女は少し確認してから竹刀を収めた。

助けてくださってありがとうございます。

「どうして止めた?追われていたんじゃ無いのか?」

相手が死んだら困る。

「困る?」


彼女はヒョロっとした青白い病弱そうな男子が慌て逃げているのを見て

同時に「気配」を察知した。

直感と言うかきっと本能で僕を助けてくれたのだろう。

見えていない。

この人は魔女ではない。だが何だろうか。

とても不思議な感じがする。魔女とも僕のような一般人とも違う。

「一体何に追われていたんだ?あ、あ、悪霊とか?」

悪霊?悪霊だとしてそれを竹刀で振り払おうとしたのかこの人。

二人の魔女です。制服が違ったので他所の高校の生徒だと思います。

この人に「魔女」と言ったところで信じてはもらえないだろう。

「魔女?そうか。」

信じたよっ。

彼女は呆れたような深い溜息を吐いた。

「情けない。魔女相手とは言え女子高生二人に追われて逃げるなんて。」

いやいや魔女だからとかじゃなくて女子に手を上げるのはちょっと。

言い訳にムッとしたのか、彼女は僕を睨む。

「そうだな。女子に手を上げるとか最低だな。お前が正しい。」

「それで私を止めたのか。」


校門から校庭を歩き入学式の行われる体育館へと向かう。

彼女も新入生だった。

それでその、魔女って話を信じたの?

「アタシにも魔女の知り合いがいるからな。」

「お前余所者だろう。この街の魔女伝説は有名だぞ。」

「で、どうして魔女に追われていたんだ?」

多分コレです。

僕は首から掛けている鎖をたぐり胸から指輪を取り出した。

「キレイな指輪だな。魔女が追うってのは相当価値が」

指輪を覗き込んでいた彼女は突然言葉を止めた。

どうかしたの?

「お前か。」

はい?

「えーっと何だっけ。なんて名前だったっけ。お前名前は?」



母は魔女だった。

母は僕を魔女にしようとした。

男なのに「魔女」。

それは単なる「魔法使い」とは異なる存在意義の証明。

だからと言って母が幼い僕にスカートを履かせる理由にはならない。

1つ下に妹がいるのだから

母の趣味は彼女に任せれば済むはずだ。

僕は覚えていないが幼い頃病気に罹り、結構危なかったらしい。

それが原因なのかは判らないが

僕は父と外でボールを追い掛けるよりも

母の隣で本を詠んでいた。

陽の当たる窓際に母と僕と妹がいる。

これが日常だった。


ある日の夜、2人が大きな声で言い争って

何かが壊れる音がして

近所の人が通報して、

翌日、父はいなくなった。


それから数日後のある日

家に帰ると誰もいなかった。


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