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第三話 二人の客人


ひとまずお爺さんに、行き倒れの人を家に招き入れて問題がないか、確認だ。


「お爺さん。ただいま。体調はどう??」


「あ~、メルやお帰り。体調は問題ないぞ」


「そっか良かった」


僕は、お爺さんの具合が問題ないことに安堵した。

そして本題へ


「お爺さん。森で行き倒れていた人がいたんだけど、家に入れても大丈夫?」


「行き倒れ?盗賊とかではないのか?」


「たぶん違うと思うよ。僕が助けた時に、魔石も食料も見えていたはずなのに、襲ったりして来なかったから」

「それに、剣士風の人は護衛っぽいし。もう一人は、この辺でも見たことがない容姿だし」


「貴族さんかい?」


「う~ん。貴族とも違う感じなんだ。うまくは言えないんだけど」


「そういうことなら入ってもらっていいぞ。碌なおもてなしできんがな」


「うん、わかった」


お爺さんの許可が出たので、二人を迎えに出た。

まだ白い服の人は、意識がないみたいだ。


「危ういところを、お孫さんに助けていただき、感謝しております。また、休めるところを提供くださり、感謝いたします」


「なに、孫が勝手にしたことだし、困っているときはお互いさまじゃろ」


「そういっていただけてありがたい」


「さて、挨拶もそこそこにして、まずは飯の準備でもするかの」


そういって、お爺さんは、夕食の準備をしようと立ち上がろうとした。


「お爺さん。僕がやるから休んでて」


「おおっ、そうか?なら、任せるとしようかの」


「良くできたお孫さんですね」


「ああっ、わしには勿体ないくらいじゃ」


そんな会話を聞きながら、僕は調理場へ向かう。

今日の晩御飯は、ボアの肉を煮込んだスープとパンだ。

もちろん客人も分も。


「簡単なものですが、どうぞ召し上がれ」


「助けてもらって、休憩場所まで提供いただいたうえ飯まで。本当に申し訳ない」


「いや、気にせんでよいわい」


「そうですよ。まずは傷を治すのが先ですよ。ところで、お連れ様はまだ意識がないようですが、大丈夫ですか?」


「ああっ、たぶん問題ないと思う。色々疲れが溜まっているようだし」


「変わった服装ですよね。貴族の方でしょうか?と聞いても問題ありませんか?」


僕は、疑問を素直に聞いてみた。


「ああっ、ここまでお世話になって説明もなしでは、すまないだろうな」

「うーん。どうしたもんか」


剣士風の人が悩んでいたとき、白い服の人が意識を取り戻したらしい。


「うんっ!」

「んっ!?ここはどこだ?俺はどうした??」


「源治郎殿、気が付かれましたか」


「セルト殿か?」


「はい。ご無事で何よりです」


「で、ここは?」


「はい。恐らくですが、キルバート領のゼレンではないかと」


そう。

ここは、セイファース国の最東キルバート領の外れにある、ゼレンという町の外れのお爺さん家だ。

それにしても白い服の人、変わった名前だな。源治郎さん?容姿も変わってるけど。


「そうです。その町の外れにある、お爺さんの家ですよ」


「?」

「君は?そちらのご老人は?」


僕の声に気が付いたようで、源治郎さんは、僕とお爺さんを交互に見つめてそう呟いた。


「こちらは、私どもが森で行き倒れていたところを助けてくださった?あっ!まだ伺っておりませんでしたな。大変失礼を」


剣士風の人が、僕の名前を聞いていないことに気が付いたようだ。


「僕はメルラードです。町で錬成士見習いをしています」


「わしはメルの爺で、ボルハルトと申す」


「こちらは源治郎殿。自分はセルトと申します。名乗りもせず失礼なことをしました」


「いえ、問題ありませんよ」

「で、そちらの源治郎さんは、貴族の方なのですか?」


僕は、源治郎と名乗る人を見ながら質問した。


「源治郎殿。助けていただいた方々に、事情を説明して良いものか悩んでおりました。助けていただき、食事まで頂戴しておきながら、なんの説明もせず良いものかどうかと」


「ああっ、問題ないんじゃないかな?まっ、説明したところで信用してもらえるかも怪しいもんだしな」


「それはそうなんですが…」


源治郎さんは説明しても問題ないような感じだった。

しかし、セルトという剣士風の人は、説明して良いか、かなり悩んでいるようだった。


「無理に、とは、思っておりませんので問題ありません。ただ、貴族様でしたら、僕やお爺さんで対応できるようなことがないので、気になっただけですので」


「んんっ、ああ~、そういうことか」


何かに納得した様子の源治郎さんが呟いた。


「そういうことなら話して問題ないな。セルト殿。俺から説明しても問題ないか?」


「はい。源治郎殿が問題ないと判断されるのでしたら、自分が口出しはできませんので」


どうやら、決定権は源治郎さんにあるようだ。

ということは、やはりセルトさんは護衛だったのかな?


「セルトさんは源治郎さんの護衛ですか?」


「!!」

「どうしてそう思った?」


なぜか質問したセルトさんではなく、源治郎さんから逆に質問されてしまった。


「はい。森で発見した際、源治郎さんをかばうように矢を受けておりました。また、先ほどからのお二人のやり取りで、源治郎さんが決定権をお持ちのようでしたので、位が上の方なのかなと。それと、セルトさんが剣士風の護衛に見えたので」


「セルト殿が、剣士で護衛に見えたのか?」


「違ったのですか?」


僕は、違っていたのかと驚きで聞き返してしまった。


「…」


源治郎さんは、何やら考え込んでしまった。

どうしよう。

何かまずかったのかな?


「すまないが、先に森からここまでの経緯を、説明してもらっても問題ないか?」


源治郎さんは、僕とセルトさんを交互に見ながらそう話した。

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