第一話 錬成士
初投稿です。誤字脱字等注意しておりますが当面は暖かく見守っていただけたら幸いです。
「よし。今日はここまで。それぞれの属性ごとに、納品して帰ること。次は、火の日だ。それでは解散」
担当講師の声により、本日の仕事が終了した。
片づけを始めていると
「メルくん、明日は何するの?」
いつものように、声を掛けてきたのは、同じ年の女の子で、この仕事場でも1,2を争う美女である、セレナーゼ(レナ)である。
「またレナさんあいつに声かけてるよ」「あんな落ちこぼれ相手にしても仕方ないのに」など、仕事場の男子からは、片づけの最中でも、こちらのやり取りが気に入らないのか、そのような小声が聞こえてきた。
そのような声を聞きながら、僕は返答する。
「レナさん、お疲れ様です。僕は、これからお爺さんの家へ行きますので、光の日から闇の日まで、こちらにはいません」
この世界は、魔法が存在する。
魔法の属性である 火・水・風・土・光・闇 を周期として、基本活動を決めている。
今日は土の日で、明日が光・その次が闇の日で、基本的に光の日と闇の日は、休みとなるのだ。
その休みの予定を、レナさんは問いかけてきた、というわけだ。
「またお爺さんの所へ行ってしまうの?」
「ええ。あまり具合も良くないですし、少しでも、そばについていたいと思いますので」
僕の祖父は、年のせいもあり、あまり体調が良くないのだ。
この町から少し離れたところで、静養していて、付き人もいないため、僕は休みに、様子を見に行っているのだ。
「毎週大変ね。たまにはメルくんとお出かけしたかったんだけどな?」
「??なぜ僕のような落ちこぼれと?それに僕とレナさんは、お出かけできるような立場でもないと思いますし」
彼女は、中級商人の一人娘であり、それなりに裕福な環境の人だ。
それに比べ僕は、平民でも底辺に近い環境にいるのだ。
そんな僕と接点がなく、しかも、仕事場でも底辺な成績の僕と、常に上位の成績を獲得しているレナさんでは、釣り合いが取れるはずもなく、結果、先ほどの周りの反応、となるわけだ。
「立場が違うと出かけられないの?そんな話は聞いたことがないわよ?」
「どちらにしても、僕はお爺さんの所へ出かけますので、ご一緒はできませんよ?」
「そうでしたね。残念ですが、また、次の機会といたしましょう」
「いえ、次の機会も何もないと思うのですが…」
「どうして?私はメルくんともっとお話がしてみたいと思っているのに?」
「それこそ上位の成績のレナさんと、底辺の僕がお話しすることなんて、何もないと思いますよ」
「成績は関係ないわよ。私はメルくんに興味があるだけですもの」
「そういっていただけるのは、大変光栄なのですが…。すみません、そろそろ出発したいので」
「あらっ、ごめんなさい。では、お気をつけていってらっしゃいませ」
笑顔で挨拶をされてしまった。
「!あっ、ありがとうございます。お疲れ様でした」
ふぅ~どうにも調子が狂うなぁ~。
この仕事場で、底辺に近い僕に話しかけてくるのって、レナさんくらいなんだよね。
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この世界には、魔法が存在する。
この世界には、どんなものにでも、必ず魔力が存在する。
そう。道端の石ころにも、少量ではあるが、魔力が存在するのである。
魔力には、大きく分けて6属性が存在する。
先ほども述べたが 火・水・風・土・光・闇 である。
魔法を発現すると、それぞれの属性となる。
たとえば、火をおこす魔法は火属性・風をおこす魔法は風属性というように。
魔法を発現する方法も、2種類存在する。
まず、自身の魔力だけで魔法が行使できる魔道士と、魔石等の媒体を用いて行使する魔術士である。
前者の魔導士は、体内に有している魔力を媒体として、魔法を発現する。
これは主に、上位貴族や王族など、魔力量の多いものが主である。
そして後者は、魔石等の媒体を、魔力代わりとして、少ない魔力でも、魔法を発現させることができる。
こちらは主に、平民などである。
で、僕の職場が、魔石を生成する錬成士が働く、魔石工房である。
そう僕は、錬成士見習いである。
錬成士見習いは主に、成人前の子供がつく職である。
成人すると、錬成士となるわけだ。
成績が優秀になると、上位職である、錬金術師になれることもある。
まあ、錬金術師になるためには、座学以外にも、魔力量が多くないと難しいのであるが。
錬成士と錬金術師には、当然違いがある。
錬成士は、魔石等の媒体に、錬成陣を組み込み、少量の魔力でも、属性が発動するように加工する職業だ。
錬金術師とは、自身の魔力で構築した錬成陣を用いて、素材を別の物へ錬成する職業だ。
例えば、錬成士の生成した火の魔石を媒体として、ファイアーボールを唱える。
唱えた後は、魔石の魔力が尽きて塵となる。つまり、一度しか使えないのである。
錬金術師の場合は?といえば、素材の魔鉱を用いて、火属性の杖を錬成する。
多少魔力の多いものが、この杖を使うと、少量の魔力でファイアーボールが発現でき、しかも杖が壊れるまで使用が可能となる。
といった具合の違いがある。
そのため錬金術師は、平民上がりでも上級階級に登用され、高収入を得られたりする。
魔力の多いものは、こぞって目指すのである。
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