出会い
目が覚めた時、そこは帰り道どころか西大泉ではないと、すぐ分かった。
目に見える場所は全て白い靄の様なモノがかかっていた。
「ここは?」
誰もいないのに、一人で喋っていた。
衝撃な出来事に頭が混乱しているのだ。
そんな時、唐突に声が聞こえた。
「小松 慎太郎だな」
「誰だ!!」
「すまない、驚かせてしまったな」
その声と共に、五つの影が現れた。
「誰だ!それに、ここはどこだ」
「我々は、お前の想像を超えるものだ。
そしてここは、本来お前のような者が来る場所ではない」
「もっと砕いて言え」
「つまりだ、我々は異星人で、ここはオゾン層に近い場所ということだ」
『異星人?』
その言葉を聞いて、オレは顔色を変えた。
こいつらが、地球が攻撃を受けている原因なのかなどの事が、一瞬で頭をよぎった。
「お前たちか?
地球に攻撃してるのは?」
「完全に否定することは出来ない。
だが、我々は地球を侵略している者達とは相反する者だ。
我々は地球を守りたいと思い、お前に接触している」
「どういうことだ?」
「ひとつずつ話していこう」
一つの影がそう話すと、実態が現れた。
その者達の外見は人間の姿だが、少し透明がかっている上に背中からペガサスの様な翼が生えていた。
真ん中の者が口を開いた。
「まず、我々はアンドロメダ銀河にあるリマオという惑星に住んでいた者だ」
「住んでいた?」
「リマオは、私が治めていた頃までは平和主義の国だったのだが、実弟が反乱を起こし、内乱がはじまってしまったのだ」
そこまでを聞いて、オレは口を挟んだ。
「長のあんたは、それから逃げてきたのか?」
「そう思われても仕方ない。
だが、内乱によって、国家も国土もボロボロになってしまった。
それを立て直す理由も、今ここにいる理由の一つだ」
「地球を守るとは、どういうことだ?」
「実弟は、資源の略奪をする為に、地球を侵略しているのだ。
我々はその行為を止める為にいるのだ」
その話を聞いて、納得出来る事と出来ない事があった。
「なぜ俺に接触をした?」
「我々の持つ力と適応出来る地球人は少ない。
お前は、最後の適応者だ」
「力?それに、オレが最後だと?」
「その通り」
一番右にいた者が話し始めた。
「知っての通り、この惑星は五年前から侵略されている。
我々は侵略される直前から、侵略を防ぐために動いていた」
「つまり、その時から俺のような適合者を探し、接触してたのか?」
「そうだ。
この惑星での我々の役目は、『守る』という事だ」
再び、真ん中の者が話し出した。
「力というのは、地球では我々の行動に制限がかかる。
つまり、本領を発揮できない。
発揮するためには、その惑星の生命体との融合を果たさなければならない」
「融合とはどういう意味だ?」
「我々がその生命体の精神部分に入り込むことで、発揮が出来るのだ」
その話を聞いて、オレはふと疑問に思ったことがあったが、それは言わなかった。
「……まぁ、いきなりの話だ。
しばらく時間をやろう。
だが、これだけは言っておく。
この後、元いた世界に戻ると、お前は襲われる」
そう言い、再び一筋の光が見え、気を失った。
目が覚めると、そこは五人組と話していた場所だった。
『襲われる?ふざけんじゃねぇ』
さっきの出来事は急な話で、大分混乱していた。
混乱した頭を覚ますために、まっすぐに家に帰らず、少し歩くことにした。
近くにある公園の時計を見ると、十七時ちょうどを指していた。
この時間帯になると、大概の人は外出しない。
十分程歩いて、五人組と集まっていた場所に戻ると、黒いモノが視えた。
それは実体がなく、オーラの様なモノだった。
「小松 慎太郎だな」
そのモノが話しかけてきた。その声は幾つもの声が重なっていた。
直感で危機を感じ、逃げようとしたが、足が動かなかった。
恐怖からではなく、何かに体を押さえつけられている感覚がした。
そう思った直後、その者は襲ってきた。
その瞬間、どこからか声が聞こえた。
「メニス・フライス」
その声と共に白い光が降り落ち、その者は包まれた。
その光が無くなった時には、その者は消えていた。
瞬きをしたら、再びあの場所に戻っていた。
「あの者が侵略者の一人だ」
「…俺に…出来るのか?」
「だからこそ、お願いしている」
「……わかった」
「私は、リマオを治めていた、ゴルフィクスだ」