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「かけがえのない失くしもの」


「使い回し」


 小説でもなんでも、素材や感覚の使い回しということがあります。たとえば、レモン。わたしの作品には、梶井基次郎かじいもとじろうの『檸檬』に受けた感銘を投影したものがいくつかあります。あるいは、岸田國士きしだくにおだったり、チェーホフだったり。知識レパートリーが少ないという問題もあることにはあるけれど、やっぱり好きなものは、くり返し使いたくもなるものです……




「過去」


 わたしと従妹いとことは、少し歳が離れていました。わたしが小学校六年生のとき、従妹はたぶん、一年生になったばかりでした。わたしは心が幼いので、ふだん同年の友人たちとはできない人形遊びのようなことを、この従妹とするのが楽しみで仕方ありませんでした。人形といっても、人気のゲームのキャラクターで、フィギュア……といったほうが正しいかもしれません。最後に従妹に会ったのは、わたしが高校生のころ。従妹はたぶん、小学校を卒業するという年。そのときはじめて、例の人形遊びをしないまま……ゲーム機で少し遊んだだけで……別れました。母方ははかたなのですが、次に母の故郷へ行ったときには、従妹にはもう、会いませんでした……


 自動車にゆられて、イヤホンを耳に、以前と変わらない緑の山々を眺めていました。将来への不安、そんなものをたえず感じているときでしたから……これは今でもそうですが……、わたしは余計に、過去をなつかしんでいたのでしょう。そもそもわたしには、そういう傾向がありました。幼稚園の頃でさえ、年長組の先生にしかられて、「年中さんに戻りたいの」と言われたとき、心の底では「戻りたいよ」と答えていたのを、今でも覚えています。それ以外にも……、大学生になってから、中学時代の友人たちと会ったときも、おもてでは再会をよろこびながら、心の底ではなんとなく、もう戻れないんだな……と、そんな思いにふけっていました。この歳で早くも、わたしは、『スタンド・バイ・ミー』や『ゴールデンスランバー』といった映画の感動が、わかってしまうのです……




「かけがえのないくしもの」


 これがわたしの、このサイトにはじめて投稿した短編小説のテーマです。作中で出てくる語り手の父の話は、そっくりそのまま、わたしの祖父そふがなにげなくつぶやいたものでした。そのあと祖父が、自動車に入りこんだ一匹のあぶを素手でつまみ出したのをよく覚えています……


 いちど青蛙に託して投稿したこのテーマを、わたしは別の作品にも入れこんでいます。わたしの詩集には、『かけがえのないくしもの』というタイトルの詩が収録されています。この詩を書いたのはおそらく、青蛙の作品よりも前のことだったと思いますが、投稿するときに少し、手直しをしています。実は、この詩のタイトルも使い回しで、もともと別の詩につけたタイトルでした。それだけわたしは、このテーマに執着しているらしいのです。ついに、サイト内で他の方の作品にあいつうずるテーマを見つけたときには、その作品のレビュータイトルにも同じ表現を使ってしまったほどです……






 ***


 三日つづけて、書いてしまいました。考えるのは楽しいけれど、疲れますね……


 今日は全体が敬体けいたい……ですます調……ですね。そういう気分なのかもしれません。今日はこのくらいで終わりにしたいと思います。


  2018/3/13 梶生モットシボ郎

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