召喚2
「そんな…?どうして?まさか、失敗した…?でも、ならどうしてこんなに…。」
矢那さんは青くした顔を手で覆うようにしながら何かを呟いている。
どうやら矢那さんも俺と同じで巻き込まれた口みたいだ。
滅茶苦茶混乱しているらしい。
「矢那さん、落ち着いて。」
俺は矢那さんを安心させるように肩に手を伸ばす。
そうだ、俺が彼女を守ってやらなきゃ。
「真田…くん?」
肩に触れた手を確かめるように握りしめながら矢那さんが俺の名前を呼ぶ。
知っていてくれた、そのことに満足感が広がる。
「どうして、あなたが…?」
「俺もわからない。学校帰ってたら突然ーー」
しかし、矢那さんは俺の返事を聞き終える前にあたりを見渡す。
「いない…?」
しかし、目当てのものは見つからなかったらしい。
矢那さんは胸に手を当て一度深呼吸をしてから立ち上がった。
「どうして、私達を召喚したの?!残った魔物が手に負えなかったの!?なんにしたってどうしてこんなに経ってからーー」
そして、俺達をここに連れてきたと思しき貴族みたいな連中にまくし立てる。
どういうことだ?矢那さんはこの状況について何か知っているのだろうか?
だが、貴族たちは顔を見合わせるだけで、矢那さんの言っていることがピンときていない様子だ。
どういうことなんだ?矢那さんは一体…。