表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/176

共和国1

セルレイン共和国の評議会には重苦しい空気が漂っていた。

先日の、勇者と聖女、それにアインハルトがレーゼル王国の超人達に挑んで敗北したのを受けてだ。

状況的に痛み分けに近い結果であり、優秀な超人を失わなかったことは不幸中の幸いだった。

「どう見る?リーランド。」

評議員の一人が軍部の長であるリーランドに尋ねる。

超人を含む戦いは単なる数では表現できない。だから評議会には常に意見役として軍の人間が付いている。

「結果だけ見れば今回は引き分けに近い形でしたが、それはむしろ今回が幸運だつたと考えるべきです。」

「つまり…二度目があれば負けると?」

「そう考えるべきでしょう。そもそも、敵の超人がその三人だけとは限りません。」

「あんなのが…まだいると言うのか…?」

恐る恐る、まるで口にすれば実現するかのように呟かれる。

彼らの戦いは、一応報告されている。それは本人たちからは当然として、見張りにつけていた兵士からもだ。

戦闘に巻き込まれないよう、遠方から眺めていただけではあるが、それでも報告された戦闘の内容は唖然とするものだった。

特に聖女が発生させたという二つ目の太陽の話などは、聖女を小馬鹿にしていた評議員達の顔を引きつらせた。

普通なら間違いではないかと確認したいところだが、報告する兵士達自身困惑している様子を見せ、近隣の村からも太陽が突然二つになったという話が出ている。

超人とは普通では考えられない存在であるが、その中でも彼らは別格だ。

そんな存在がまだいるかも知れない。そしてそうなれば打つ手など存在するはずがない。

「可能性の問題です。こちらの最高戦力は彼ら三人ですが、あちらの戦力については未確認です。他の超人はまだしも、更に優秀な武器を装備してくる可能性は十分あるかと。」

淡々と述べるリーランドだったが、その言葉の中に含まれる棘に気付かない者はここにはいない。というより、ここはそうしたことに長けた人間の集まりなのだ。

だが、いやだからこそ何も言わない。突いても得にならないからだ。

嫌味ぐらいは言わせてやる、そういう余裕の態度だった。

「…しかし、考えねばならないのでは?」

「逆ではないのか?同じ異世界の人間が現れたのであれば、余計にアレを渡しては。」

「左様、アレごと他国に行かれでもすれば…。」

「しかし…戦ったということは、そうはならんということじゃないか?」

「わからんだろう。一度負けているのだ。寝返る可能性は十分にあると見るべきだ。」

評議員の人間は交渉の、つまりは話し合いのプロである。

であるからこそ、言葉の裏の裏まで見通せるし、僅かな視線の動きや仕草で相手の感情を読み取ることもできる。

だが、そんな彼らも、鎧が音を立てないように直立しながら、それでも手のグローブを握りしめて絞るように出た音の意味は理解できなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ