憂鬱な体育祭
秋だということを忘れているんじゃないかというような日差しの中、高校生活はじめての体育祭は始まった。
HRで参加競技を決めたときは酷く憂鬱だったものだが、考えてもみれば自分一人の成果でクラスの優勝が左右するわけないのだ。何も気構えず楽しんでいればいい。
大体、うちのクラスはスポーツ推薦組の多いクラスだ。つまりは全クラスの中で最も運動ができるやつが集まっている。
リレーの結果を待つまでもなく、クラスの優勝が決まってしまう可能性だってある。
な〜に自分が運命握ったみたいに考えていたのか。厨二病かよ。
さ〜て、高校生はじめての体育祭、楽しみますか!
最悪だった。
いや、最悪だ。
現在我がクラスの順位は2位、残す競技は全クラス対抗リレーのみ。
1位のクラスとの点数差はわずか。つまりリレーでそのクラスを負かせば我がクラスの優勝と相成ったわけだ。
どうしてこうなった…。
「みんなぁ!頼むぞぉ!」
トラックの中で待機するリレー組に向かって、チャラ男が声を張り上げている。他のクラスメイトも(主に女子)応援の声を上げる。
「はぁ…。」
ため息をつきながら自分と同じアンカーとなる面々を見やる。
特に気になるのは現状1位のクラスの選手だ。いかにも走るのが速そうな男子だった。背が高く、線が細い印象を受けるが、それは筋肉が引き締まっていることの証明だと言うことがすぐにわかる。特にふくらはぎの筋肉ときたら、これでどうして陸上部じゃないのかと疑問に思うほどだ。
「おい!そいつ陸上部じゃねぇか!反則だろ!!」
誰かの大声と共に、そのアンカーに視線が集まる。どが、そのアンカーはそれに怯むことなく答えた。
「退部した。」
いやいや…おいおい…。
いや、若干引いてしまったが、俺にとっては好都合か。
片想いしてる人が他の人とくっつくために頑張るのは嫌だ。
とはいえ、わざと手を抜くのも、どうかと思う。
つまり、本気で走った上で負けるのが俺にとっての理想形だ、この陸上部君なら間違いなく俺よりも速く走ってくれることだろう。
あとは…アンカーまででどれだけのタイム差がつくか…。
そんな思惑を走らせる中、リレーは始まった。