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召喚5

火の大きさは手のひらを覆う程度、しかし間近で燃えるそれを矢那さんが熱いと認識している様子はない。

いや、そもそも何もない場所から炎が上がっているということ自体が謎なのだが

「ま、魔法…?」

「そうよ。この世界には魔法があるの。そしてその力を使う才が、私達には与えられている。」

彼女の手から出ていた炎が消える。あたりにも跡形もなくて、手品かなにかだったのではないかと思えるほどだ。

「ま、この辺りはおいおいね。それよりも先に確認しないといけないのはーー


矢那さんがなにか言いかけたところで扉がノックされた。

俺がどう反応したものか考えている間に矢那さんがどうぞと入室を促した。

「失礼いたします。お二人のお召し物の準備ができましたので、お呼びにあがりました。」

入室してきたメイドが丁寧にお辞儀をしながら言った。

「そう…。すぐに行くから扉の外で待っててもらえるかしら?」

矢那さんがそう言うと、メイドは理由も聞かずにかしこまりましたとだけ告げ部屋を出た。

「さて、真田君。」

矢那さんは俺に向き直って

「今説明したように、この世界は魔物によって危機に瀕しているわ。そして、私達には戦えるだけの力がある。

もし、あなたが手伝ってくれたら大きな助けになるわ。」

でも、と矢那さんは目を逸らす。

「正直に言うと危険よ。私達には強い力があるけれど、決して無敵ではないわ。怪我だってするし、最悪命を落とすこともあると思う。ここはあなたにとって何の縁もない世界だし、あなたが危険を冒さないといけない理由なんて何一つないわ。」

それでも、と矢那さんは再び区切って今度はまっすぐ俺の目を見てくれた。

「私はこの世界を救いたい。あなたにも協力してほしい。」

そして、俺に手を差し出した。


未だに状況の半分も掴めていない。彼女の説明を理解もできていない、

迷いがないわけじゃない、恐怖がないわけじゃない。

それでも、俺はその手を取った。

「俺で出来ることなら。」

好きな女の子に頼まれて引き受けないわけにはいかなかった。

「ありがとう、真田君。」

「いいんだ、一緒にこの世界を救おう。」

「ええ。きっと。」


きっと俺が思ってるより大変なことが沢山あるんだろう。

でも、絶対乗り越えられると、今の俺には大きな確信があった。

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