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獄中記

作者: カフカ

大分ドストエフスキーの影響を受けおります。自分の中学時代の日記でございます。

私の入れられた独房は、小綺麗で、暖かくて、本が沢山有ります。



私は今、暗いじめじめした地下室に、自ら望んで入った。独房の中で、壁から壁まで散歩する。1日に三回看守さんが、運んで来てくれる飯を、出来るだけ目を合わさずに受け取る。


ああ、この地下室に入った事で、僕はどれだけ救われているか。


諸君は落伍者のつまらない強がりだと思いなさるかもしれないが、地上にいた時の社会の窮屈さと言ったら、息がつまるようだった。

少なくとも今の僕は、地下室の独房の中での自由は保障されている。


独房に居るのなら自由もクソも無いだろうときっと諸君は僕を指差して笑うだろうが、お構いなくやってください。


世間体を気にせず、此処なら誰かに見られることも無い。



何故ならここは自由の牢獄だから !


お前はそんな見え透いた虚栄心を、強情におし通そうなどと言う勝ち目の無い議論をこれ以上続ける気か?


ごもっともなご意見だが、この議論に勝敗など大して変わらない。いづれにしても、住む場所は、人それぞれというものだ。貴方たちは社会的立ち位置を、武器にして、僕を打ちのめしてやろうと考えていらっしゃるだろう。



しかし、諸君の帰属する社会の権威なんぞ、サーベルをガチャガチャ腰に付けて行進する胡桃割り人形みたいな至極滑稽なものに見えないものだろうか?窮屈さ。地下室万歳!!


少なくとも僕は地下室では何も縛られない。

厭、滑稽なのはお互い様だ、地下室なんぞクソ食らえ!


これでは収集がつかないようだ。


惨めなのは、同じなのだ。どちらが正論を述べまいが、正論はあくまで理論であり、正解ではないのだ。


いずれにせよ、二つの生き方は否定は出来ない。措定しあうのも出来ない。


何せ諸君も私も、社会という独房に入れられた胡桃割り人形なのだから。




道楽と思って、見逃して下さい。

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