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寓話風小説群  作者: 高木直貴
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哲学者と奴隷

あるところにたいそう働き者の奴隷が居ました。

その奴隷は支えている家の主人から感心されるほど、料理も掃除も完璧でしたが小さい頃から働いているので、学校に通っておらず、文字が読めませんでした。

ある時、主人に買い物を頼まれてメモを渡されましたが、文字が読めないのでお店の人にこっそり教えてもらおうと思いました。

すると、その店の店主は働き者の奴隷を

「こんな簡単な文字も読めないのか。恥ずかしい奴だな」

と馬鹿にして、周りの人を巻き込んで大笑いを始めました。

でも奴隷は馬鹿にされることなど慣れていたので黙っていました。

それを見ていた哲学者は大笑いしながら店主達に向かって

「彼は文字が読めないなりに知恵を絞って役目を果たそうとした。そんな簡単なことも分からないのか。恥ずかしい奴だな」

と言いました。

それを聞いた人々は、自分達の行動を反省して働き者の奴隷に謝りました。

働き者の奴隷は、哲学者がどうしてすぐに自分を庇うようなことを言うことが出来るのか不思議に思って

「あなたはなぜ奴隷の私にあんなことをしたのですか」と尋ねました。

すると哲学者は

「私は身分などで人を区別しない。あの場ではあなたが正しく、店主が間違っていたからそれを示しただけだ」と答えました。

その答えに感心した奴隷は

「どうしたらあなたのような立派な考えが持てるのですか」と訊きました。

哲学者は

「働く必要のない私は、君達より暇だから考える時間がたっぷりあるのさ」と答えました。

体を動かす仕事をし始めて忙しくなると、不思議と変な悩みとか全部無くなったなあ。

人間って暇な時にしか小難しいこと考えないのかなあ。

そんな気持ちで書きました。

勿論、そういう無駄なことを考えるって時間が必要じゃないって意味ではないです。

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