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My silly days  作者: 高空天麻
懊悩
13/18

幕間 全ての始まり


「愛してる」


 そう、はにかみながら君は言う。


「……面倒くさい」


 そう、いつも僕は返していた。

 誰かを愛するとか、誰かに愛されるとか。そんなことは全て、僕に許される行為じゃないと思っているから。

 不幸を振りまいて、人を傷付けることしかできなくて。

 それなのに、温もりを求めてしまうような欠陥品に、そんな資格は無いって、思っているから。

 だから、面倒くさいって答える。どうでもいいって、はぐらかす。その度に、君は悲しそうな表情に変わる。


 けど、それでいいと思っていたんだ。

 それで誰も傷付かずに済むなら、それでいいと思っていたんだ。

 僕も、君を愛していたから。何よりも大切で、誰よりも大事だったから。

 けれど、僕はそう伝える資格なんてないと思っていて。君の隣で笑う権利なんて無いと思っていて。

 だから、僕は逃げた。

 君の言葉に耳を塞ぎ、君の愛から背を背けて。

 自分から手を伸ばすことなんて考えもせずに、本当は自分が傷付きたくないだけなのに。

 君を傷つけたくない、なんて尤もらしい嘘を周りや自分に信じ込ませて、逃げ続けた。


 そうして、僕はミスをする。


 君は、消えた。

 泣きながら、僕の前から消えてしまった。君は傷付きながら笑っていて、けれど僕は最後の瞬間までそれに気付かない。

 自分のことばかり考えていて、自分ばかりが不幸だと思っていて。

 一番欲しかった、何よりも大切なものはすぐそばにあったのに。

 君のことには、まるで気が付かない。


 そして、君はいなくなってしまった。

 残ったのは後悔だけだ。

 大切なものを失ってから、初めてその価値に気付く。

 どうして向き合わなかったんだろう、って。大切なものは、目の前にあったのに。いつだって、望むものはすぐそこにあったのに。

 そう、後悔する。

 ずっとずっと、後悔し続ける。



 だから、これは足掻く物語だ。

 君が消え去った後の世界で、僕がどうにかしてもう一度何かを手に入れようとする物語。

 過去から未来へと、何度も、何度も何度も繰り返された…………



 寂しがりやの化け物が、泣きながら足掻く、物語。




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