scene_10 「やめてしまえばいい」
「……ありがとう、ございました」
羽島万太は、ヒロシにビデオカメラを返した。何度も見る必要はなかった。
ナノカが走って先に行ってしまい、あとを追った万太は、正門から見ていたのだ。追いついてきたヒロシのビデオカメラにも、たしかに映っていた。
竹ノ内が、風に包まれて、城に連れて行かれた。
なにか得体の知れない、超自然的な力──たとえば、魔法、といえばいいのだろうか。紙によって操られるとか、面をつけた教師が襲ってくるとか、そういう次元ではなかった。
抗いようがない。
悪将軍の目的は、ナノカだと思っていた。少なくとも、ナノカと敵対している存在であったはずだ。
ではなぜ、ナノカは無事だったのだろう。面が外れて正気を取り戻した教師たちも、門の外から見守っていた万太やヒロシ、ほかの生徒たちも、どうして除外されたのだろう。
「いや……」
万太はメガネを押さえた。
ちがう。自分たちが無事だったことは、おそらくたいした問題ではない。
やはり問題は、あの場にいた「ヒーロー」が連れて行かれなかったという事実だ。
「おまえの仲間たちは預かった! 返して欲しくば、城へ来い! はーっはっはっはっはっは!」
ヒロシが首もとで結んだ毛布をマントのようにはためかせる。悪将軍シミュレーション中らしいが、そのセンスはいまいち理解できない。
だが、いわんとしていることは、わかった。
ヒロシも万太と同じように、悪将軍の狙いを考えていたのだろう。結論を急いでもしようがないが、いまのところ、舞台を整えてナノカが来るのを待っていると考えるのが自然だ。
竹ノ内が風に攫われたのち、教師たちの顔に張り付いていた面は自然にはがれ落ちた。面の裏側には、『野中ナノカを襲うこと』といった指示が書かれており、そのせいで操られていたようだ。彼らは正気に戻り、ほとんどその場で結論がくだされた。しばらくの間は、休校にするしかないと。
当然の判断だ。あまりにも危険だった。またいつ、あの風が襲ってくるかわからないのだ。
「うーん。どんどん書き込まれてくぞ。城はけっこう快適な状況らしい。山のような保存食はぜんぶ高級品だってよ」
先程から頻繁にパソコンの更新ボタンを押して、ヒロシはHPをチェックしていた。同時に悪将軍のマネをして、その合間に昼食の準備をして──なかなか忙しそうだが、とりあえず仕事に行く気はないらしい。
「ナノカさんは……」
聞いてもしようがないことはわかっていたが、口にしてしまう。それはほとんどつぶやきだった。
ここは、ナノカの家だ。うなだれるナノカをヒロシが抱え、おまえも来いというのでそのまま野中家に戻って来たのだった。ナノカは黙って自室にこもり、出てくる様子がない。
「まあ、無理だろうな。ナノカはヒーローなみのスペックはあっても、か弱くてかわいくてかわいい女の子だぞ。ショックでかいだろ」
なぜかわいいを二回いったのか。しかしつっこんでいる場合ではない。
「僕たちで、どうにかすることはできないでしょうか。たとえば……奥の手ではありますが、ナゾ仮面を見つけてヒーローとか魔法使いとか、なにかそういうものにならせてもらう、とか……」
「うーん。リスク高いだろ。それにナノカだって、向こうが本気で来てたらどうなってたか。だからたぶん、そういう問題じゃないんだよ。明らかに、ナノカを誘ってる」
「そうですね……」
万太は、今日何度目になるかわからない、深い深いため息をはき出す。
ヒロシのいうとおりなのだ。
ひとを操るだけではなく、風までも自在に扱うことができるらしい──そうなれば、真っ向から戦ったときに、ナノカの勝ち目は薄い。
最終的に悪将軍がなにを狙っているのか、本当に世界征服をするつもりなのか──わからないことばかりではあったが、少なくとも、いままでのできごとはすべて、ナノカを標的としていた。
「悪将軍は……ナノカさんを誘い出し、自分のテリトリーで戦いたい、のでしょうか?」
「そういうことなんだろうなあ。まずは悪として、正義を倒しておきたいか……その逆とかな。まー、あれだ、小亜羅ちゃんが攫われたいま、あいつに一番近いのはオレと、一応万太くんもだろ。用心しなきゃな」
「え」
万太は眉根を寄せた。
近い、だろうか。
いまもこうして彼女の家にいるわけだから、物理的にはたしかに近い。が。
だからといって狙われるほどとは思えない。
「そうなると、一番危険なのは、お兄さんですね」
思ったままに正直に、心配の意味合いを込めていう。ヒロシは嬉しそうに表情を崩し、頭を掻いた。
「っだろー? この展開、さらにオレがやられるとか攫われるとかなったら、ナノカ的には大ダメージでお膳立て完璧だろー? いやあ、愛される兄ってのは、つらいよなあ」
「…………いや、どうでしょう」
ごにょごにょと、口の中でつぶやくにとどめておく。なぜそんなに嬉しいのだろうか。
「でもナノカなら、だいじょうぶだ」
ふと真面目な声で、ヒロシがいった。その目は、閉ざされたナノカの部屋を見ていた。
そうだろうかと、万太は思う。いまだって呼んでも返事をしないほどにふさぎ込んでいるというのに、この上ヒロシの身にまで危険が及んだら、どうなってしまうのだろう。
変態だとはいいつつも、ナノカがヒロシのことを信頼し、懐いているのは見ていてわかる。ナノカのことをだれよりも愛し、だれよりも考えているのは、この兄にちがいないのだ。たとえ重度の変態であっても。
「というわけで万太くん、オレは景気づけに、ナノカの好きなコレッキヨのまんじゅうを買ってくる! 留守の間、ナノカを任せたぜ!」
輝く笑顔で、ヒロシがとんでもないことをいった。
万太は、電撃が走るような感覚を受けた。いったいなにをいいだすというのか。
「いや、え、このタイミングで、ですか?」
「行く! ナノカは昔から、あそこのまんじゅうが大好きなんだ。食べれば元気になるさ」
「し、しかし」
ものすごく嫌な予感がした。気をつけなければならないといったばかりだ。それなのに、ナノカのためにひとりで買い物に出るという。
この流れ。
なにかのフラグが立っているとしか思えない。
「やめておいたほうが……」
「いいんだよ」
なにがいいのか、ヒロシは親指を立てる。
それ以上、止める隙はなかった。じゃあなといい捨てて、フリルエプロンをしたまま、エコバッグに長財布を突っ込んで出て行ってしまった。まるで風のよう、あっというまだ。
「行ってしまった」
悲鳴でも聞こえてきたらどうしようかと、万太は思わず耳をすます。しかし、そういったものは聞こえてこない。
もう一度、ため息をついた。
正直なところ、いまのナノカを任されても、困るのだ。
どうすればいいのか、わからない。
「……できることを、やらなくては」
決意表明のようにつぶやいて、パソコンに向かう。事細かに城の内部の様子が記されていくが、やはり敵の姿は見えないらしい。施設も完璧、まるで高級ホテルのようだという書き込みまである。さすがに、電気機器の類はないらしいが。
そのなかでも、やはり、幽霊の目撃情報は続いていた。城へ連れ去られた人物からひとり、その一時間後に、自宅にいる人物からひとり。浅井光輝と楽谷彩華だ。同時刻ではないとはいえ、場所がかけ離れているのに、やはり同じものを見たということらしい。
「城にいても、見るのか……」
万太はスクールバッグのポケットから、ボールペンを取り出す。ヒロシから自由に使っていいといわれている、パソコンデスク上のメモ帳を一枚はがした。
幽霊に関するところを、まとめ直そうと思ったのだ。
「……万太くん?」
不意に、ナノカの部屋のドアが開いた。
悪いことをしていたわけでもなんでもないのに、万太はびくりとする。明らかに、いつもの声ではない。かすれ、小さく震えている。
「お兄ちゃんは?」
ドアを閉める音。近づいてくるのがわかる。
仕方なく、万太は振り向いた。そしてすぐに後悔した。
目が真っ赤だ。泣いていたのはまちがいない。
お兄さん──!
心のなかで、叫ぶ。
無理です!
「お、お兄さんなら、ちょっと外へ……買い物に、行くそうです」
ナノカの好物を買いに出ているという事実は伏せておいたほうがいいような気がして、言葉を濁す。ふうん、とナノカは相づちをうった。
テレビの前の、背の低いソファにすわる。
ひざを抱えた。
そのまま、黙ってしまう。耐えられない沈黙だ。
なにか、声をかけたほうがいいだろうということは、わかっていた。パソコンを見せて、みな元気そうだとか、そんなことをいってもよかった。
しかし、そういうことではないような気がした。城のなかはどうやら安全らしいということは、確認してすぐにヒロシが伝えたはずだ。彼女が落ち込んでいるのは、おそらくそういうことではない。
「お茶を、飲みますか。さきほどお兄さんが……」
「いいよ、ここあたしのうちだもん。自分でできるよ」
なけなしの気遣いでいってみるが、あっさりと返される。
「でも、ありがとう」
気遣いがという意味なのか、やっぱり欲しいという意味なのか。それすら万太にはわからなかったが、ナノカが動く様子はなさそうなので、立ち上がった。ヒロシが用意していたポットから、ナノカのものだという水玉のマグカップに茶を注ぐ。ハーブティーらしい。
ついでに、自分の分も用意する。ソファの前のローテーブルに起き、そして大変なことに気づいた。
自分の分をどうするか。パソコンデスクのイスにすわって飲むというのは、不自然だろうか。かといって隣にすわるというのもどうなのだろう。ひとりだけテーブルにつくのもおかしい。ぐるぐると頭のなかでシミュレーションしていくが、結論が出ない。
万太は学校の成績こそ常に一位をキープしていたが、対人関係のスキルは著しく低かった。それが対女の子となると、なおさらだ。しかもさっきまで泣いていて、見るからに落ち込んでいる女の子なのだ。
「すわらないの?」
固まっていると、ずばりいわれてしまう。ナノカがソファの端に寄り、二人がけにしては大きいソファに充分なスペースができる。
「で、では、失礼」
万太は隣にすわった。ごまかすように、マグカップに口をつける。
再び、沈黙。胃が痛い。どうすればいいのか、まったく未知の世界だ。
「こあらちゃんから、メールがきたの。待ってるって。だいじょうぶだよって」
ナノカから話題を振ってくれて、ほっとする。
「……そうですか」
メールを想像した。きっと押しつけがましいものではないのだろう。小亜羅なら、やりそうだ。おそらくは善意から。
しかし、ナノカの気持ちはどうなのだろう──万太は想像した。
待っているといわれれば、行かなければならない。
実際に、行くのだろう。助けたい、なんとかしたいとも思っているはずだ。
ならばなぜ、彼女はいま、これほどまでに落ち込んでいるのか。
まだ出会って間もなかったが、ナノカならば、助けに行かなくちゃとすぐにでも行動しそうな気がした。そうしていないということは、やはり、なにかがあるのだ。
「先生がね」
ぽつりと、話し始める。先生というのは、竹ノ内のことだろう。
「先生がね、いってた。ヒーローってなんだって。あたし、気づいちゃった」
その声が、不穏な空気を帯び始めていることに、万太は気づいた。
泣く!
かもしれない。ハンカチハンカチ、ティッシュティッシュ──眼球のみの動きで探す。パンダのティッスケースを見つけたが、遠い。ハンカチはポケットに入っているが、使用済みなので出すわけにはいかない。
「あたし、ヒーローじゃないんだよ。ヒーローみたいな力があるかもしれないけど、ヒーローじゃない。だってどうすればいいかわからないし……怖いんだよ。昨日から、なんでどうしてって、思ってる。それって、ヒーローじゃないよね?」
尋ねられてしまった。ナノカの目が、万太を見ている。
彼女を慰める言葉が、いくつか脳裏に浮かぶ。しかし口にしたのは、まったく違う言葉だった。
「やめてしまえばいい」
自分でも驚くほどの、きっぱりとした声だった。
「そう思うのなら、やめてしまえばいいんです。五歳のあなたはヒーローになりたかったのかもしれませんが、いまのあなたは十七歳で、しかもずっとこの町から離れていたんです。戸惑うのは、当然でしょう」
ナノカが、目を見開く。
その目から、大粒の涙がぼろりと落ちた。
「──!」
万太は思わず腰を浮かせる。しかしその袖を、ナノカがつかんだ。
「あたし、どうしたいのかなあ。こあらちゃんやみんなを、助けたいよ。竹ノ内先生だって、あたしを庇って連れて行かれちゃったんだよ。助けたいけど、でも助けられる気がしないの。すごく怖い。ヒーローって、ちがうよね? こういうんじゃないよね? もっとかっこよくて、強くて、すごいよね?」
「な、なら……助けに行けば、いいじゃないですか」
いってしまってから、ちがうと思う。ちがわないのだが、いいかたがあったはずだ。案の定、ナノカが声を張り上げる。
「冷たい!」
「つ、冷たいとはなんですか! しかたがないでしょう、どうすればいいのかわからないのは、こっちだって同じです! どうしろっていうんですか!」
怒ってどうするんだと思いながらも、声が大きくなってしまう。
万太はメガネを外し、そのままかけ直した。
深呼吸をする。
「万太くんは……」
ナノカの目が冷たい。万太はそちらをちらりと見て、すぐに目をそらした。
「……なんですか」
「情けないなあ」
想像以上の言葉が返ってきた。万太のハートに刃が突き刺さる。
「な、情けない……」
「竹ノ内先生は、かっこよかったよ。先生だってヒーローだっていって、あたしを守ってくれたの。なんかね、ちょっとね、ドキドキしちゃった。こんな気持ち、初めてなの。かっこいいよね、竹ノ内先生」
予想外の展開だった。泣いていたはずのナノカの頬に、朱が差している。
万太の胸に、黒々としたものが生まれた。どうしてそういう流れになったのか。もっと真面目な話をしていたはずだ。
「いまは、そういう話ではないでしょう。だいたい竹ノ内先生は三十八歳、僕の倍以上の人生経験があるんです。比べないでいただきたい」
「別に比べてないよ。万太くんが情けなくて、竹ノ内先生がかっこいいってだけだよ」
「比べてるじゃないですか思いっきり!」
あまりにもおもしろくない。万太は腕を組んだ。これだから女子はわからないんだと、いらいらを募らせる。
「いいですか。昨今では悩み成長するヒーローも世間にうけているようですが、僕にいわせれば、ヒーローは一に熱血、二に熱血です。馬鹿なぐらいがちょうどいい。つまりあなたには向いているんです。なにを似合わないことをしているんですか」
いいかたは随分アレだったが、それでも万太なりの慰めを込める。しかしもちろん、伝わらなかった。
「む! それって、馬鹿ってことでしょ、遠回しだけどわかったよ! なんでそういうこというのー!」
「遠くありません、むしろ率直にいったぐらいです」
「むわー! このメガネー!」
不毛な争いだ。
しかし万太は、ほっとしていた。
少なくとも、その目から涙が出ることはもうなさそうだ。
「……なんとか、なりますよ」
自然に、そう口にしていた。
嘘ではなかった。普段は確証のないことは決していわない万太だったが、今回はなぜか、そう思った。
「あなたなら、だいじょうぶ。そんな気がします。僕もお兄さんも、三ッ山さんも……竹ノ内先生も、皆、あなたの味方です。ヒーローというのは、仲間からの応援でパワーアップするんですよ。だいじょうぶです」
「……そうかな」
ナノカの声が、また小さくなる。
「まあ、やめてしまえばいいとも、思っていますけどね」
「どっちなの」
「両方です」
これも、嘘ではない。
複雑だった。ナノカならなんとかしてしまいそうだと思う反面、すべてをこの小さな身体に背負わせてしまうのは酷だとも思う。
代われるものなら、代わりたい。
だがおそらく、それではいけないのだ。ナノカでなくては、意味がないのだ。ヒロシがいっていたように。
「みんな、あたしの味方かあ。本当にそうだったら、ちょっとかっこいいよね。ゴーストやっつけちゃーズみたいに、最終的には敵のゴーストだって味方になっちゃってさ」
万太のメガネが光った。
それは聞き捨てならない。あまりにも聞き捨てならない。
「いえそれは誤解です。あれはそもそも、最初からゴーストは実は敵ではなく、主人公たちに真の敵がだれであるのかを教えようとしていたというのが正しい解釈です。まあ、それが伝わるまでにやっつけられまくったわけですが」
「えー、でも悪さはしてたじゃん」
深くため息をつき、首を振る。まったくわかっていない。なんということだろう、DVDボックスで見直したばかりだというのに。
「あれはゴーストという生命体である以上避けられようのない性質であり、悪さという単純な言葉でくくるのには問題があります。そもそも、ゴーストというだけで敵だと決めつけ……」
万太は黙った。
「どうしたの?」
ナノカが首をかしげてくる。しかし、答えられない。答えられるほど明確なものではない。
しかし、たしかな予感。
「ゴースト……幽霊?」
つぶやくと、ナノカが目を見開いた。
「幽霊!」
立ち上がって、パソコンに向かっていく。しかし万太には、その必要はなかった。目撃情報ならすべて、頭のなかに入っていた。
まさか、という思い。
しかし、つじつまが合ってしまう。
「ぎゃ────!」
そのとき、悲鳴が響いた。万太とナノカは顔を見合わせる。二人とも、すぐにわかった。ヒロシの声だ。
「お兄ちゃんっ?」
ナノカが窓に駆け寄る。万太も続くと、アパートの前で、ヒロシが風に捕まろうとしているところだった。エコバッグを振り回して応戦しているが、どう考えても分が悪い。
「そんな……! 学校じゃないのに!」
ナノカが悲痛な叫びをあげ、万太も舌打ちする。学校の外なら安全だなどという確証はなかった。そんなことはわかっていたのに。
「ナノカさん、このままでは……」
「わかってるよ! あたし、行く!」
ナノカが窓に足をかける。
飛び降りようと、身を乗り出す。
しかし、止まってしまった。サッシをつかんだ彼女の手が異様に汗ばんでいるのを、万太は見た。
尋常ではない。
顔面も蒼白だ。
「どうしよう……下りられない。できるって気が、全然、しない」
目に涙が浮かんでいく。怖いとか勇気が出ないとか、そういった様子とは少しちがっていた。そもそもナノカが超人的な力を使うときには、いつも考えることなく、身体が勝手に動いているかのようだった。
できる気がしないのではない。
本当にできないのだ。
「まさか、ヒーローの力が──」
万太は直感した。
ドキドキしちゃったといった、ナノカの顔が思い浮かぶ。
恥じらうような表情。こんな気持ちは初めてだとも、いっていた。
「──『恋心』……?」
二人の目の前で、ヒロシは風に巻き上げられ、上空へと連れ去られていった。