魔法使いなんていない(6)
秋の雨は重たい。ビニール傘を差して歩きながら、私はまとわりつく憂鬱さを振り払うように顔を上げた。見上げた先の空は暗い。長く降り続く六月の雨がレースのカーテンならば、この時期の雨は毛布だ。どさっと落ちてきて視界を塞いだかと思えば、毛布をはぎ取られると一気に寒さが襲ってくる。雨が降るたび、冬に近づく。
朝から降りだした雨は、天気予報によると夕方まで続くらしい。やっぱり昨日のうちに来ればよかった。学校の昼休憩にみすずさんと電話したあとの午後の授業は、ほとんど頭に入ってこなかった。放課後になると同時に教室を飛び出すことばかり考えていて――だけど、教室を出ようとしたところを樋川に引き留められて――すっかり忘れてたんだけど、放課後はメイド服の採寸があったんだ。女子の輪のなかでたった一人、居たたまれない思いで採寸を終えたあとに殴り込みに行く元気はさすがにもうなかった。
そう、殴り込み。傘を左肩と首で支えながら、私はポケットから一枚の名刺を取り出す。青柳多聞の経営する椅子屋の住所を確認してほどなく、ひっそりと静まり返った住宅地の真ん中にたたずむ小さな店を見つけた。すでに正午に近い時間だというのに、椅子屋の看板にはCLOSEDと表示されている。
留守だったらどうしよう、と今さら考えても仕方がないので扉をノックしてみる。しばらく待ってみたが返事はなかった。小さな屋根の下にもぐりこんで傘を閉じ、扉を遠慮がちに押して――あ、開いた。
照明の灯っていない店内はひどく暗い。天気が良ければ、奥に中庭の見える大きな窓から光が入ってきていたかもしれないのに。暗い室内に立ち並ぶ椅子だけが私を迎える。扉を閉めると雨音が消えて、ますます静寂が強調された。
「こ、こんにちはー! 多聞おにいちゃーん」
大きな声は店内いっぱいに響いて、すぐに奥のほうで何か物音がした。大股に歩く足音が一つこちらへと近づいてくる。奥のほうから出てきた多聞おにいちゃんは私を見て、すぐに笑って歓迎してくれた。
「あきちゃん、来てくれたの? 雨酷かっただろう」
「平気だよ。……聞きたいことがあって、来たの」
私の硬い表情に気づいたのだろう。多聞おにいちゃんが「何を? 急にどうしたの」と尋ねながら私との距離を詰める。私は殴り込み、と言ったけれど本当に殴りに来たわけじゃない。ただ、答えによっては多聞おにいちゃんでも容赦しないよ。
「吏一君はどこにいるの?」
「吏一って、もしかして、新沼吏一のことかい?」
「やっぱり知ってるんだ」
「知り合いだよ。……そんな怖い顔してどうしたんだい? まるで俺が誘拐でもしたみたいじゃないか」
「知ってるんでしょう?」
私は断定する。多聞おにいちゃんは糸のような目を細めて、肩をすくめてみせた。
みすずさんは順を追って話してくれた。おジイのパソコンがウイルスに感染していたこと。ウイルスを運んだメールには私の写真が添付されていたこと。みすずさんの魔法で、私と多聞おにいちゃんが病室にいるのを見て、多聞お兄ちゃんのことを怪しんだ吏一君が飛び出して行ったこと。すぐにみすずさんも追いかけたけど、車を出すのに手間取って病院に着いたときにはもう誰の姿もなかったこと。数時間後、吏一君からみすずさんにメールが届いた。
『あきちゃんは無事です。
今回のジイさんの件、俺に任せてくれませんか?
少しの間、心配かけるかもしれませんけど俺は大丈夫です。
青柳多聞には話をつけました。彼は一応敵ではないので安心してください』
電話をかけて詳しいことを聞きだそうとしたけど、吏一君は黙ってたって。みすずさんは「私に話せないようなことはやめなさい」って止めたけど、吏一君は頑なだった。これしかないって。
吏一君が言わないのは、話すとみすずさんに反対されるからじゃないかな。反対されるようなこと、しようとしてるんじゃないのかな。
「多聞おにいちゃんが、吏一君に何か言ったんじゃないの?」
ほとんど決めつけるように私は言った。多聞おにいちゃんは面白そうに口元を歪めて、
「良くも悪くも素直なやつだな。中途半端に誤魔化すくらいならいっそ思い切った嘘を吐くほうが楽だろうに」
吏一君のことを、そんな風に言ってみせる。
実は、みすずさんも似たようなことを言っていた。吏一君はなにも嘘を言ってない。ただ、意図的に話していないことがある。それはいくら尋ねても教えてくれなかったって。
「それで、どうして俺のところに来たんだい? 俺は敵じゃないんだろう」
「じゃあ、誰がおジイに酷いことしたの? 俺の写真を送りつけて、脅すみたいな真似して!」
得体の知れない『敵』を探すように、私の頭のなかをたくさんの人の顔が通り過ぎていく。おジイの安らかな寝顔、眼鏡をかけた吏一君、みすずさん、堂本さん、直登くん、佐々倉先生、美佳ちゃん、大外内さん、多聞おにいちゃん、三島先生、コウ君、狐面の男――。
私が殴りに行かなきゃいけない相手は、本当は、
「多聞おにいちゃんは知ってるんじゃないの?」
「知ってるよ」
細い目がたわんで、狐みたいににっこりと笑う。
「でも、あきちゃんには教えない」
「っ! どうして!?」
「こっちにはこっちの都合があってね。あきちゃんは吏一の邪魔をしそうだから、教えられない」
「邪魔なんて……っ!」
「足枷といってもいい。吏一が誰のために動いてるのか、まさかあきちゃん自身がわかってないなんてことないよな。ジイさんだけのためじゃないよ」
多聞おにいちゃんは私ができるだけ考えないようにしていたことを、容赦なく目の前に突き付けた。
そうだ。わかってる。本当はちゃんとわかってる。吏一君が一人でなんとかしようとしてるのは、私のせいだ。吏一君が私を頼れないのは、私自身が弱点になっちゃってるからなんだ。
コウ君に撮られたあの写真がパソコンにウイルスを運び、おジイをあんな目に遭わせて。今度は、吏一君の足枷になってる。ほかの誰でもない私のせいで吏一君が何かに巻き込まれようとしているなら、私は。
「思い悩むことないよ。結局は、彼が自分で選んで決めたことだ」
多聞おにいちゃんの声は甘美な響きを持っていた。吏一君の意思を尊重するフリをして、自分が楽になりたいだけの考え方だ。
「吏一君にはほかに選択肢があったの?」
すこしだけ、考えるような間があった。
「吏一がもうすこし他人に対して薄情で、もっと自分を大切にするやつだったら、ほかの選択肢もあったかもしれないな」
それってつまり、ないも同然じゃないか。
多聞おにいちゃんがどれくらい吏一君のことを知っているのかはわからないけど、吏一君はやさしいから、自分が貧乏くじを引いてなんとかなるんだったら、そうしちゃうんだ。
「多聞おにいちゃん、やっぱり私も譲れないよ。吏一君と直接話をする。どこにいるのか教えて。誰がおジイを酷い目に遭わせたのかも。やっぱり青柳家の当主なの?」
多聞おにいちゃんが身内をかばっているのなら、その可能性は高いと思ったけど、
「悪いけど……俺は吏一と違って自分が一番大切なんだ。いくらあきちゃんでもこれ以上邪魔をする気なら椅子に縛りつけるよ」
顔はにっこりと愛想よく微笑んでいたけれど、その細い両目は一ミリたりとも楽しげではなかった。多聞おにいちゃんは、本気なんだ。
「……吏一君は、どうなるの」
「簡単に言いなりになるほど吏一もバカじゃないさ。もうお帰り」
優しい口調だったが、有無を言わせぬ迫力に押されて、私はもう何も言えなかった。
外に出ると雨足は来たときよりも随分と強くなっていた。重たい足を踏み出す。跳ね上がる水しぶきが容赦なく足下をぬらした。スニーカーも、ズボンの裾ももうぐしゃぐしゃだ。
傘が、重い。次の手を考えなくちゃ。多聞おにいちゃんがダメなら、次はどうしたらいい? 吏一君のために何ができる? おジイも、吏一君も、みんなが私のところにちゃんと戻ってくるためには、どうしたら――。
考えているのに、重たい毛布をかぶせられたみたいに息苦しくて、いい考えなんて一つも出てこなくて、思考は完全にどん詰まりに行き当たったみたいだ。引き返して新しい道を探さなきゃだけど、そこは最初から一本道だった。多聞おにいちゃんのほかに手がかりなんてなかった。水を吸った毛布は重たすぎて、私にはもう打つ手がないよ。
こんなときにおジイや吏一君がいたら、きっと上手く解決方法を見つけてくれるんだろう。私を正しい道に連れて行ってくれるんだろう。大丈夫だよって。私の頭上を覆う毛布もひっぺがして、きちんと前が見えるように、もう一度顔を上げて歩き出せるように。いつだっておジイが私の背中を押してくれる。手を差し伸べてくれる、吏一君もいる。
おジイがいなくなっちゃったとき、真っ先に会いに行くべき相手は吏一君だと思った。もともとおジイとの共通の知り合いは少ないけど、吏一君の顔が一番に浮かんで。
きっと、吏一君ならなんとかしてくれるんじゃないかって、無意識に頼っていたんじゃないかな。事実、吏一君はちゃんとおジイの居所を突き止めてくれたし、今だってなんとかしようと動いてくれてる。
多聞おにいちゃんの言うように吏一君に任せて、私は大人しく待っていたほうがいいのかな。何もしないほうが、いいのかな。どうせ一人じゃ何もできないんだから。
考えがどんどん内向きになっていくのはわかっても、残された道はそれしかない気がした。いや、この道は決して新しい道なんかじゃない。どん詰まりの底で、ただ立ち止まって待っているだけだ。誰かがこの行き詰まりの先に、新しい道を作ってくれるのをただ待っている。
それでいいのかな。
でも、それしかできないでしょう?
いくら魔法が使えても、私一人にできることなんて一つもないんだよ。多聞おにいちゃんの説得すらできなくて、たとえ吏一君の居場所を突き止めたとして、私は一体どうする気なんだろう。足手まといになるだけなんじゃないの? 吏一君の邪魔になるだけなんじゃないの? ただ自分がじっとしていられないって、わがままなだけじゃないの?
ぷつん、とそこで思考が途切れた。何メートルか前方、透明な傘の向こう側に、見覚えのある顔があって。
私は慌てて傘を顔の前にかざしたけど、ビニール傘じゃ意味がないことに気づき、ピンで止めていた前髪をおろした。暗くなった視界は、学校でのいつもの私。彰彦のもの。
気づいてほしいのか、気づいてほしくないのか私にはよくわからなかった。ただ、こんなぐしゃぐしゃな気持ちで会うのは嫌だ。きっと酷い顔をしてるだろうから。
それなのに、ゆっくりと歩いて近づいてくる傘の下で顔を上げた彼は私を確かに見て、優しく笑ったんだ。――先生、五メートルも手前で気づくなんて反則です。
「宮司」
先生は、いつもよりもちょっと軽い調子で名前を呼んだ。教室で呼ばれるときとは少し違う。
「こんにちは」
軽く挨拶しただけでさよならするものと思ったのに、先生は足を止めた。
「靴、びしょ濡れじゃないか。歩いて帰るのか?」
「……はい」
「宮司の家って駅の向こう側だっけ。車乗せて行こうか?」
「え……い、いいえ結構です。悪いし」
「遠慮しなくていいよ。どうせもうこっちの用事は終わったから、帰る方向も同じだし。何かほかに用事があるんだったら無理にとは言わないけど」
「いえ、ないです……」
そういって先生は片手に持った本屋の袋を持ち上げる。少し離れた駐車場を指さしてから、ポケットからキーケースを取り出した。何だかよくわからないままに、私は先生の車の助手席に座っていた。こんなことって、あるんだな。重たい毛布が頭にかぶさったままだからか、自分に起こったことだとは思えないまま、走り出す車の窓から雨の町を眺める。私の家まで、車ならば十分程度の距離だ。すこし前だったらきっと嬉しくて、ドキドキして、どうしたらいいかわからなかっただろうな。
「宮司、どうかした?」
「え?」
「元気がないみたいだから。やっぱりメイドは嫌だったか」
茶化すみたいに先生が言う。メイドは嫌だけど、本気で悩むほど嫌なわけじゃないってこと、わかってるから私も笑って否定する。
「それは、もういいんです。」
「そうか。宮司がおかしかったのはそれよりもっと前からだもんな。夏休み中に何かあった?」
先生の口調はやさしかったけど、酷く痛いところを突かれたように心臓が跳ね上がった。先生はどうしてそういうこと気づくんだろう。ホームルームで上の空だったり、遅刻したり、元気がなかったり、確かに最近の私は私らしくなかったけれど、木崎だってそんなこと突っ込んではこなかった。あいつの場合はそれが楽だから有り難いんだけど。
私が何かを話すのを、先生は待っているみたいだった。ためらいがちに、口を開く。
「……俺一人には、どうすることもできなくて」
言葉にすると情けなさすぎて、視線をゆるゆると膝の上に落とす。膝から下のズボンは水気を吸って色を濃く変えていた。先生は何も言わない。私がさらに続きを話すのを待っているのか、かける言葉を探しているのか。
そんな沈黙に耐えかねた時だった。
「宮司、見て!」
急に、声を弾ませる先生に、思わず私は顔を上げていた。フロントガラスの向こう側は未だ雨が降っていたけれど、もっと向こう側、雨雲の途切れた先、月並町を囲う山の際に、
「あ……虹だ」
小さく、おぼろげに。すぐにまた強くなった雨が霧のようにあたりを覆って、虹は見えなくなってしまった。でもこの調子なら、すぐにこの辺りも雨はあがるだろう。
「虹を見つけるとちょっと得した気分にならない? 雨が上がったらまた周りを探してみるといいよ。お手軽だからね」
ゲームの裏技でも教えてくれるみたいに言って、先生は無邪気に笑う。
「あ、はい」
「自分にできないことを知っているのは悪いことじゃないよ」
話の続きを、先生はその穏やかな表情のまま口にした。視線は前方に向けられていたので、私はこっそりとその横顔を盗み見てた。
「無力だと感じることはたくさんある。自分には無理かもしれない、自分になんかできるはずがない。そうかもしれない。だけどそれでも足掻いていたら、ひょんなところから助けてくれる人が現れて、なんとかなるもんだ。一人じゃ無理でもね」
「でも、俺にはそんな人脈、ないです……」
「そうかな。一度、しっかり顔を上げて周りを見てごらん。今まで目に入らなかったものが見えるかもしれない」
今度は素直に「はい」とは言えなかった。そう簡単に見つかるものならば、こんなに悩んではいないのだから。雨上がりの虹だって、案外見つけるのは難しい。そういうのは、運、なのかな。
「先生も、この間まで悩みごとが――あ、誰にも内緒だよ。あったんだけど、自分にはどうにもできなくて人に助けられた」
先生の話には、思い当ることがあった。たぶん、魔法のことだ。じゃあ、それを解決できたのは、先生を助けてくれた人は――三島先生の顔が浮かんで、嫌な感情がせり上がってくる。惚気話だったらどうしようかと思ったけど、違った。
「助けてくれた子が、いたんだ。その子はうちの学校の生徒だったけど、先生は残念ながらその子のことを知らなくて、でもその子は先生のことをよく知ってたよ」
「……それは、先生が先生だからじゃ……? 先生のこと知らない生徒はいない」
「そうかもしれない。でもその子は、俺が自分では気づかないこともきちんと見て評価しててくれたんだよ。とてもうれしかったし、自分が知らないところでそういう風に見てくれてた子がいたのは、とても救われた。きっと、宮司のことも気にかけてくれてる人がいるよ。自分では気づかなくても、その人はどこかで宮司の助けになりたいと思ってるかもしれない」
なんて言ったらいいのかわからなくて、俯いた。ドキドキと心臓の音がうるさい。顔が、熱い。どうしよう。こんな不意打ち、困ります。
だって、告白はほかの誰でもない私のためだった。私が伝えたくて伝えただけ。それで満足だった。
先生がどんな風に受け止めるかなんて全然予想してなかった。考えてなかった。心に留めてくれたらうれしいなって思ってたけど……たしかに思ってたけど!
頭のなかがいっぱいいっぱいで、さっきまでの手詰まり状態の「どうしよう」と今の「どうしよう」は別物。
どうしよう。
私、うれしいんだ。私の気持ちが先生の心にちゃんと届いて、助けになったことが。
俯いた顔はなかなか上げられなかった。
「この辺でいいです。ありがとうございました」
家までもう数十メートルのところで車を止めてもらう。
「雨が止んだね」
先生は空を指差し、そう言ってから車を発進させた。私は思わず虹を探して、辺りをぐるりと見回す。一回転しても虹は見つからない。やっぱりダメか、と上空にやっていた視線を下ろした先に、飛びこんできたもの。
町中ですら今はもう見かけることはあまりない。あっても使わないから、たぶん気づかないんだ。ずっとそこにあったはずなのに、私は今初めて気がついた。こんなに家のすぐ傍で。ううん、視界のなかには入ってたけど意識してなかったんだ、きっと。
こんなところに、公衆電話があったなんて。
申し訳程度の雨避けに囲われた古ぼけた緑の公衆電話。それが、見つけてくれた喜びを表現するように、にわかに存在を主張するように、けたたましい呼びだし音を鳴らし始めた。
一瞬ビクリとしてから、電話を見詰めたまま固まった。でもこれは、この電話は、私がとらなきゃ!
どうしてか分からないけどそう直感して、恐る恐る側に近づく。受話器に触れた瞬間に分かった。この電話は、間違いなく私宛てだ。重い受話器を持ち上げ、耳の側に近づける。
「もしもし……?」
「よぉ、やっと泣きついてきたか」
やさしい憎まれ口が、受話器の向こう側から聞こえてくる。どうして、とは聞けなかった。当たり前に、魔法使いだからと返されそうな気がして。
「泣いてなんか……!」
「泣きべそかいてンじゃねぇか」
ちがう、と首を横に振って否定する。でも、声は出なかった。だってなんだか安心してしまったんだ。
本当だね、先生。こんな私でも、おジイや吏一君やみすずさんのほかにも、味方になってくれそうな人が、助けてくれそうな人がいた。
「……これって、堂本さんの魔法なの?」
「ガキを泣かすための魔法じゃねェはずなんだが」
余計な茶々を入れてから、堂本さんは説明してくれた。
「助けを求めてるヤツの目の前に公衆電話があると勝手に電話がつながっちまう厄介な魔法だ」と。「似合わないね」と私は笑った。