0:漆黒の流星《ブラックスター》
プロローグ的な話です
3月のイタリア
【ブー、ブー】
とある屋敷の防犯ブザーが鳴っているのであった。
「どうなっている?」
と屋敷の主が慌てるようにモニター室に来て言った。
「侵入者です!!」
と1人の男性が監視カメラのモニターを見ながら言った。
「侵入者だと?一体どんなヤツだ?」
「分かりません!!侵入者の動くスピードが速すぎて監視カメラの映像ではタダの黒い影にしか見えません」
「くっ、いったい誰が・・・もしかしてあの事が?」
と家の主が焦っていると
【ドォン】
とモニター室のドアが飛ばされた。
「こんにちは。ズプ=ライサさん」
とスーツ姿に黒いコートと左腕に腕章を付けた1人の少年がモニター室にを入って来た。
「何者だ?貴様は」
と主は焦りながら言った。
「魔法連合の者です」
と言うと少年は身分を証明する為に顔写真が載ったバッチ型の手帳を見せた。
魔法連合と言うのは世界各国にある犯罪者を取り締まる魔法局の頂点に立つ世界最高峰の機関の名前である。
「魔法連合のヤツが俺に何のようだ?」
「とぼけても無駄だぜ。アンタらの家が武器の密売をしているのはすでにバレてんだからよ」
と言うと少年は手帳をしまい歩き出した。
「じゅ、銃を構えろ!!」
と主の人が言うとモニター室にいた人たちが主の前に立ち銃を構えた。
「魔力弾を仕込んだ銃かぁ・・・全くしょうがないなぁ。手荒な真似はしなく無かったんだけどなぁ」
と面倒くさそうに頭をかきながら少年は言った。
魔力弾と言うのは銃弾の中に魔力を入れ込んでいる弾の事でありその時に入れ込んだ魔力の種類によって様々な属性の魔法を一定の威力で撃ち出せる銃弾である。
「少し黙って貰うしかないか」
とのに言うと目つきを変え少年の周りには無数の黒い弾が浮かび上がるのであった。
「覇王の星・・・天から降り注ぐ使者となれ・・・」
とつぶやき、少年はさらに歩き出した。
それを見た主が
「う、撃て!!!」
と言ったが
「隕石連射発射!!!」
と少年が言うと黒い弾が銃を撃つ前に当たり壊れるのであった。
「何!?」
と銃を撃とうとした人達は驚きをかくせなかった。
「残念だったなぁ。並みの魔法連合の人達なら何とかなったかも知れないけど俺みたいな人にはそんな小細工は効かないんだよねぇ」
と言うとその少年は左腕の腕章を見せるのであった。その腕章には魔法連合のエンブレムの真ん中に『ⅩⅢ』と書かれているのであった。
「エンブレムにあるⅩⅢのマーク・・・まさかお前、最強の番人の者か?」
と主の人物が驚愕しながら言った。
主が驚愕するのは当然であった、魔法連合の『最強の番人』通称『ナンバーズ』は世界最強の13人の魔法使いの事である。
ナンバーズになると数字の入った腕章ともう一つの名、番人名を貰うことができる。
「その通り・・・No.ⅩⅢ、番人名は『漆黒の流星』・・・殺しはしないから大人しく観念するんだな」
と少年は力の差を感じさせるような笑顔で言った。
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イギリス 魔法連合本拠地
「武器の密売をしていたブプ=ライサの屋敷をわずか20分足らずで壊滅させるとは・・・流石はNo.ⅩⅢ、漆黒の流星ですね」
と笑顔で社長みたいな椅子に座って言ったのは綺麗な銀髪ストレートの長い髪をしている15歳の少女である。
「まぁ、あの程度の仕事なら俺でなくても他の人達でも解決出来たと思いますけど・・・」
と平然と頭をかきながら答えると
「行動を慎め!!、No.ⅩⅢ」
と少女の近くに居た40歳ぐらいの金髪のおじさんが大声で言うのであった。
「彼女は我々、最強の番人のボスだぞ」
そう、彼女の名前はリィーリア・テスサロッサ、ナンバーズのボスであるNo.Ⅰの称号を史上最年少で獲得した人物であり番人名は『悪魔の天使』である。
ちなみに少年を叱った男性の名前はゼロベル・テラスカ、ナンバーズのNo.Ⅱの称号を持つ人物であり、ナンバーズ内で2番目に権力を持つ人物であり番人名は『大地の神』である。
「別に構いませんよ、ゼロベルさん。それに私としてはその方が良いですし」
と彼女はナンバーズでは1番の権力を持っているが今のナンバーズ内では少年と同じ最年少であり上下関係をあまり好きでは無いので友達感覚で接してくる少年を笑顔で助けるかのように少女は言った。
「それで話しってのは何なんですか?」
と言ったのはイタリアで犯罪を取り締まった少年である。
彼はこの任務が終わった後に本部で話があるから来てほしいと言われていた。
「そうですね。あなたをナンバーズの『漆黒の流星』としてでは無く、あなたを日本人の黒神葉して頼みたい事があるんです」
「どういう意味だ?フィーリア・・・あっ、いや、ボス」
とゼロベルの鋭い目線が葉に突き刺さったので葉はボスと言い換えた。
「日本に居る、ある人物からアナタに日本での3年間の長期任務をお願いしたいと依頼きたのです」
「日本に?・・・別に良いけど何で3年間も?」
と少年は疑問に思っていることを言った。3年間というのだから恐らく危険な任務なのだろうと思ったからだ。
しかし
「それはですね・・・ゼロベルさん例の資料を」
とクスクスと笑いながらフィーリアは言うとゼロベルが何かの資料を葉に渡した。
「この資料は?」
「日本の学校への入学手続きの資料です」
とフィーリアは楽しそうな笑顔で言ったが葉は
「何~!!」
と大声で仰天するのであった。