表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

眠るために気持ちを書き起こして

作者: P4rn0s
掲載日:2026/01/11

電気を消して、布団に潜り込んだ瞬間から、夜は本性を現す。

昼間はちゃんと隠れていたはずの考え事が、天井の暗闇に浮かび上がってくる。


どうしてあの時、あんな言い方をしてしまったんだろう。

あの選択は、本当に正しかったのか。

そもそも、正しかった選択なんてものが存在するのか。


目を閉じると、思考の音だけがうるさい。

時計の秒針が進むたびに、眠れない自分が責められている気がしてくる。

寝なきゃ、明日がつらい。

分かっているのに、脳は「今じゃない」と言い張る。


布団は優しいはずなのに、今日はやけに距離がある。

抱きしめてくれるどころか、考え事を固定するための檻みたいだ。

横を向いても、仰向けになっても、何も変わらない。

逃げ場がない。


夜って不公平だと思う。

昼間は「大丈夫」と流せたことを、わざわざ拾い集めて並べ直してくる。

しかも解決策は用意しない。

ただ「ほら、これも」「まだあるよ」と、思考を投げてくるだけだ。


こんな夜こそ、寝かせてくれよ。

特別なことなんていらない。

夢なんて見なくていい。

ただ、意識が途切れるところまで連れて行ってほしいだけなのに。


でも夜は知っている。

落ち込んでいる人間ほど、無防備だということを。

だから静かに、丁寧に、心の奥を指でなぞってくる。

忘れたふりをしていた感情を、確かめるように。


ため息をついて、布団の中で小さく丸くなる。

考えるのをやめようとして、考えることしかできない自分が少し可笑しくなる。

笑えないのに、可笑しい。


それでも、いつかは眠りが来ることを、体は知っている。

朝は勝手にやってくるし、今日もちゃんと終わる。

だから今は、起きたまま夜をやり過ごすしかない。


天井に向かって、誰にも聞こえない声でつぶやく。

「今日はもう、十分考えたよ」


返事はない。

でもその言葉を境に、思考の輪郭が少しだけぼやける。

完全じゃない。

救いでもない。


それでも、眠れない夜の中で、ほんの一瞬だけ、

「このまま消えてもいいかもしれない」と思える余白が生まれる。


その余白に、静かに眠りは忍び込む。

気づかないくらい、控えめに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ