天狗 2
螺旋を描く四つ角の弾丸は天狗の頰を掠める。
天狗は強靭な脚力を駆使し、腹に蹴りを入れた。
隼人は吹き飛ばされ、木々のいくつかを破壊した。
「どうして俺って強くないんだろうねぇ」
天狗はたいてい山の神。
自分のフィールドで動いているのだから、それは強くて当たり前か。あるいは無条件に強いのか。
「嫌になっちゃうねぇ」
隼人は懐から札を取り出し、結界を張る。
天狗を取り囲むようにして生み出された結界。天狗は「だからどうした」とでも言いたげな顔をしている。
「俺ぇ、火、だいすき」
ゴポゴポ……と灯油が撒かれている。
「踊ろっか! ね! イケイケになっちゃおうね!」
「ナニヲ……」
天狗が言い終わらぬ間に、炎が燃え広がった。天狗の身体にずくんという痛みが走り、思わず仰け反った。
「FOO! ガチ効きじゃ~ん!!」
隼人は身体に炎を燃え移らせながら、天狗に向かっていくと、拳銃を構え、顔面を殴りつけた。
天狗は思い切り呻きながら、顔を押さえる。
羽ばたいて炎を消そうとすれば、そうはいかない。隼人は天狗の黒い翼に思い切りかじりつき、噛み千切っていた。
「コ・イ・ツ……!!」
「自分は他人を不幸にするのに……自分が不幸になるのは嫌なのか」
隼人は天狗とやらの薄汚い血を吐き捨てると、エースブレンド・357ベースで右側頭部を思い切り殴り抜く。
「勝手だよ、お前みたいなのって……いつもいつも!!」
拳を振るえば、天狗は大きく吹き飛び、炎の中に落ちた。隼人はたまらずそこに飛び掛かり、馬乗りになってその顔面を何度も何度も、何度も何度も何度も何度も殴りつけた。
「俺の得意技さ……!! 霊力が尽きるまで殴るってね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね!」
「グピィィィィィィィィィィィィィィィ!!」
「ンうるさい!!」
天狗は隼人の脇腹を蹴りつける。すると、隼人は地面を転がった。すぐに起き上がると、もう一度覆いかぶさる。首を絞めながら口に石をたらふくを詰め込んで何度も頭を揺さぶって飲み込むように促した。
「せいっ!!」
そして、顔面に回し蹴りを叩き込むが……結局、隼人の霊力が途切れて結界が緩んだ隙に天狗は逃げ出した。
「あっ!! ……逃げられた。クソッ!!」
地面に転がっていた鉄仮面を蹴り飛ばした。
それからすぐに防空壕のようなものを見つける。
そして、その中を探ってみると、すぐに失踪者のものと思われる物が大量に見つかる。
「こりゃ当たりかなぁ」
出入り口に結界を張り、奥へ奥へと進む。
すると、簡単にそれは見つかった。
「大丈夫ですか〜? 大丈夫〜?」
起き上がらない。全員死んでいる。
「じゃ、蘇生するね」
蘇生した。
「全員の蘇生が完了できてよかったねー。君たちの魂が肉体にしがみついていてくれたからだね、よかったねぇ。うれしいねぇ……じゃ、帰ろうか」
山を降りる。
「全員連れてきたよー」
「えっ!?」
「意識良好、健康もね。ふふふ、どんなもんだい」
霊力が尽きてしまったので自分の怪我も治せない。
つらいなんてモンじゃないが、どうでもよろし。
隼人はムフフンと自慢げに鼻を鳴らした。
「ちゃんと家に帰してやりなよ。1回死んだんだもんねー。起きたならさ……ちゃんと家に帰れるのが一番なんだもん」
「ああ。そうしよう」
ひと息ついて、霊力もある程度回復すると傷を治してもう一度山に向かう。
寒河江卓也 キック力:15トン
パンチ力:25トン
霊力:570,800,012
成長性:なし
尾形真介 キック力:67トン
パンチ力:25トン
霊力:120,000
成長性:E
滝隼人 キック力:9トン
パンチ力:10トン
霊力:80,000
成長性:A