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怪奇エンバー  作者: モッズコート
青い月下の眼鏡蛇
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天狗 1

 山形県朝日町。そののどかな風景のひろがる心地よい町に怪異が現れていた。


「先週から現れ始めたんです。昨日だけでも旅行者が3人姿を消しました。これは犯罪者か、あるいは貴方のいう怪異というものなのか。……その、つまり」

「怪異だよ、これね」


 隼人は役場の昇降口のところでギターを前に回して来ながら、雲のようにふわふわとした笑みを浮かべる。


「行方不明者の捜索ってのはどう? 結果出そう?」

「それが、いやまったく……」

「ならファイトだねぇ。ふふふ」


 役場をあとにし、隼人はそのまま近所の山に出かけた。

 人をさらう怪異というのはそれなりに存在している。

 治安の悪い世界である。


「しかしなぁ……こんな感じでこられても困るよなぁ。どうやって犯人を見つけよっかな〜」


 隼人はとぼとぼと山を歩いた。

 とりあえず行方不明者の捜索ということで、「なんかいそう」という理由で山にやってきたのだが……わからない。


 隼人は百景種能力を持つわけではない。

 持たざる者側である。

 百景種能力さえ持っていれば、ピキーンと勘が冴え渡り、「ここにいるぞ!」「あそこにいるぞ!」「何かが来るぞ!」というのが分かるようになる。

 空間を認識する能力。

 すぐ近くに何かがあっても気づけやしない。


 そうしていると、背後でなにかの物音がする。

 振り返ってみるが、なにもいない。


「来たか……?」


 何かが近づくような気配はある。

 しかし、何が近づいているのか……ほんとうに近づいてきているのか、というのは一切わかりやしない。


 ほんとうに不便な身体だが、世間一般でいえば健康的な肉体らしいから世話にもなれない。


「ギギャアアアアア!!」

「うわ出た」


 黒い翼を持つ赤い頭の異形が姿を現した。その怪異は知っていた。卓也からかつて聞いたことがある。


「天狗かぁ。いいね、こわいね」


 天狗は隼人に向かって突進を繰り出すと隼人は避けきれずに吹き飛ばされた。

 急な斜面をくだりながらなんとか怪奇エンバーを出すと、〈蛇監杖変〉を発動させて、鉄仮面を投げ付けた。

 懐から取り出したのは拳銃だが少し、形状が変わっている。殺傷力を求めるが為に「螺旋を描く四角形」の弾丸を使う、特殊な回転式拳銃。装弾数は8発

 エースブレンドと名付けられたその拳銃は霊力を持たない者が引き金を引けば、一切の機構が発動しないという特徴がある。使用する弾丸が捻れている事もあり、まともな装置じゃうまく飛びもしない。

 故に霊力を使用する。


「食らってくれよ」


 隼人が使うのはエースブレンド・357ベースという物で、複雑な説明は難しいためこれ以上の解説は避けておく。

 簡単に言ってしまえば「隼人専用兵器」である。

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