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第3章 犠牲の軍隊後編 2

 身を潜めていた崖近くに隠しておいた先ほどの戦闘で鹵獲した輸送型機械兵(マキナミレス)ユニット五機に分乗し発進すると、零は決死隊の主要メンバーに計画の概略を掴んでもらおうと口を開く。

「地上攻略本兵団群三万は壊滅したとしても、陽動を仕掛ける筈だった囮兵団群は俺達決死隊が目立っている間ずっと隠れて行動していたから、恐らく無事だろう」

「こちらは敵中に取り残され、敵を呼び込まない為通信封鎖しているから囮兵団群の正確な動向が分からない。向こうも同様に。互いに現状を知りようはないが、健在だろうな。現存するボルニア帝国軍最大の戦力が、囮兵団群とは何とも皮肉だ。激流に流される木の葉のように、何とも儚く心許ない」

「でも、惑星フォトーを占領するミラト王国分軍遣群の兵団群主力は衛星軌道上。地上には、連隊規模のストレールとガーライル基地防衛兵団群。防衛兵団群の数が正確には分からないけれど、本兵団群に差し向けられたのは三千。せいぜい、五千ってところじゃないかしら?」

「ストレール百強を別とすれば、囮兵団群の三千は大きいわ。それだけを考えれば、ガーライル基地奪還も夢物語とは思えない。只の大言壮語じゃないのかしら? 零」

 天井から伸びるアームで零の隣に固定されたエレノアは艶美な美貌に思案を浮かべ、その隣に固定されたサブリナは端麗な美貌に思慮を浮かべ、その隣に固定されたヴァレリーは清楚な美貌に賛美未満の興味を浮かべた。


 囮兵団群が居るだろうガーライル基地南東に広がる岩山の反対側に向かう為基地から離れるように迂回ルートを、地表近くを滑空するように輸送型機械兵(マキナミレス)ユニット五機は飛行する。生存する決死隊は、四百三名。一機で人型機械兵(マキナミレス)ユニットや外骨格(Eスケルトン)スーツを装着した兵員百強を楽に収容する能力があるので、数を減らした決死隊全員が楽に乗れた。


 開け放したハッチから吹き込む風に叩かれスーツの外に出た黒髪を靡かせる零は、そちらへ視線を向ける。

「当然だろう? 俺は、生き延びたいんだ。サブリナが言うように、恐らく基地防衛兵団群は五千ってところだろう。ストレールは当然のこと、それらを無力化出来れば勝機はある。勝つ必要はないからな。こちらの基地攻略に力を発揮させないことが肝要だ。囮兵団群に第一エクエスクラスは間違っても居ない。決死隊に僅かに居るだけ。琥珀色の騎士(アンバーナイト)に第一エクエス。こいつらに活躍されれば、こちらは容易く踏み潰されてしまう」

「ふむ。不可能ではないように聞こえてくるのが、怖いところだな。零、サブリナ、ヴァレリー、おまえ達は、扇動者の才能があるよ」


 視線を巡らせエレノアは、左右に別のアームで固定され並ぶ者達を見遣る。

「無力化させるというが、琥珀色の騎士(アンバーナイト)や第一エクエスと一度でもまともに戦えば全滅必至。決死隊は、キャバリアー以外の人員も居る。人数的に、防衛兵団群も受け持てない」

「まともに戦えば。けれど、そんなつもりは毛頭ないよ。単騎で戦況を覆しかねない、マーク・ステラートはそうも言ってはいられないかも知れないけれど」

 零の麗貌は、沈思に沈んだ。

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