第八十四幕
相変わらず飽きもせず天井を見つめる。ベットに横たわり、ただ呆然とした。
「退屈…………」
ボソッと呟く姫。いつもの部屋も、今日はいつになく薄暗く見える。
「リアナ様? ……お食事を持ってきました」
扉の向こうから、一人のメイドの声がする。その声も、どこか悲壮感に溢れていた。
「ありがとう。そこに置いておいてちょうだい。あとで、食べるから……」
そう言うと、途端に足音が遠のいた。
正直なところ、私は落ち着いていると思う。今日、お父様が私の部屋で、本を見つけた。それが、原因で私は今、こうして決められた時間以外、部屋から出ることを禁じられた。どうやら、半年間はこのままらしい。
姫は、開けっ放しの窓をじっと眺めた。
こういうのもなんだけど、てっきり地下の監獄か何か、もしくは完全に部屋に監禁されるものだと思っていた。現実は、そんなことも無く、比較的簡単に部屋を出ることも出来た。
あまり、普段と違うところを感じない。昔から、私は宮殿から出ることは無かったし、あまり部屋から離れることもなかった。だから、あまり変化を感じない。ただ一つ有るとすれば、それは……
「……お姉様?」
扉の向こうから響く声。姫は、思わず、身体を起こした。
「お元気ですか……?」
ご令嬢は、何故だか申し訳なさそうに応えた。
「ええ。貴方も、元気で良かったわ。ミーシャ…… "第一皇女"」
私の、地位は…… 失われた。
「どうかしら? 第一皇女になった気分は?」
姫は、冷たい声で応えた。
私は、今、名目上は罪人として扱われている。そして、この国では罪人は皇位を継承出来ない。つまり、今お父様が病に倒れても私が皇帝になることは出来ない。では、どうなるのか。答えは、継承権二位の者が皇帝となる。
そして、その継承権二位の者が、現在の事実上の継承権一位となり、帝国の現第一皇女となった……
「うーーん…… なんと言いますか。まだ、実感が湧きません……」
ご令嬢は、言葉を詰まらせた。
「まあ、少し鼻に付くところはあるけど、貴方が私の代わりで良かったわ。貴方が無事で…………」
姫は、ベットの柱に頭をつけると、軽く溜息を吐いた。
正直、最悪の場合も想定していた。私が、部屋に監禁されているうちにミーシャが謎の死を遂げる。そのまま、監禁期間を終え、死の誕生祭へと旅立つ…… でも、現実は違った。ミーシャは、死ぬこと無く私の代わりを演じてくれている。
必然か、偶然か。私には、分からない。それでも、まだ私達にやれることはあるはず。まだ、完全に負けたわけじゃない。
「わざわざ、来てくれてありがとう。また、あとからでも話しましょ。貴方も、そんなに暇じゃないでしょ?」
「そうですね…… では、また後で……」
ご令嬢が、そう言うと再び足音が遠のいた。本当は、もっと色々と話したいことは、あったんだけど……
「よろしいのですか。もう少し話されても良かったのでは? 姫様」
姫は、ゆっくりと視線を横に向けた。男は、壁にもたれ掛かったまま腕を組み、こちらをじっと見つめていた。
この男が…… "邪魔だ"
前回は、投稿が無くて申し訳ありませんでした。完全に自分の事情です。バレンタインでしたが、全く関係のない事情です!
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