第六十一幕
年末ということもあり、ちょっと忙しく文字数が少なくなってるかもです。すみません!
出来るだけ、休まず頑張りますので、何人見てくれているか分かりませんが応援よろしくお願いします! 良かったら、感想や評価貰えると励みになるのでよろしくお願いします! では、良い年末を!
「姫様…… もう、よろしいのですか?」
扉を開けるとすぐ、壁にもたれるように待機していた男が話しかけた。扉を挟んだ向かいには、中将が同じく壁にもたれ待機している。
「では、お先に失礼しますね、オルディボさん、お姉様! レナード中将? ミーシャは、部屋に戻りますね」
ご令嬢は、そう言うと胸元に抱いた本を隠すように、急いで階段へと向かった。
「レナード中将。ミーシャ様が先に行かれたぞ。追わなくて良いのかッ……」
突如、中将が腕を差し出した。よく見れば、指先には一枚のメモが、山折に挟まっている。男が、そっとメモを受け取ると中将は、帽子のつばを押さえ無言で、その場を後にした。
「なんだか感じ悪いけど…… 何かあったの貴方達?」
「いえ…… 特には……」
男が、静かにメモを開く。
「……」
「それで? なんて書いてあるの? 貴方達が、そんなメモで会話する所、初めて見るんだけどッ……」
"クシャ"
鈍い音が響いた。
「それで。これから、どうされるのですか、姫様?」
男は、何食わぬ顔で言って見せた。目の前で、持っていたメモを握り潰しポッケへとしまう。姫は、思わず視線を逸らした。
「そうね…… ちょっと、ララサに用があるから、地下に行きましょ」
「……ララサに?」
男は、首を傾げた。本来なら、ミーシャの身を案じて一緒にいたい所だけど、今日に限っては、その心配が要らない。何故なら……
『六月二十八日、本日は帰宅後、早々に帝国議会が宮殿内で開かれる』
今、この宮殿内には、多くの要人が集結している。そんな時に、ミーシャの命を奪えばどうなるか、お父様もよく理解しているはず。いくら、お父様でも帝国議会を簡単には延期できない。一先ずは安心出来そうね……
「そうよ。そろそろ図書館が恋しくなってる頃合いだろうし。私、優しいから?」
姫は、そう言うと持っていた図書館の鍵を高らかに見せた。
「なるほど……」
「ほら、早く行くわよ」
姫が、階段を駆け降りると、男は必死にその後を追った。やっぱり…… 姫が、辺りを見渡すと、そこには普段いるはずの兵士達が誰一人としていなかった。朝、部屋を出なかったのは正解ね……
「そう言えば地下室ってどの辺に……」
「"どこへ、行くつもりだ。リアナ……"」
二人はピタリと足を止めた。階段のすれ違い様、皇帝は、ただ孤独に姫を見つめる。
「おはようございます…… お父様…… どうして…… お一人で……」
「リアナ。私の質問が聞こえなかったか?」
姫は、必死に息を整える。大丈夫…… 今日の私なら……
「少し、地下に行こうかと思いまして……」
「……地下? 地下室であれば、現在ララサ大公妃が作業を行っている。邪魔になるような真似はするな。良いな?」
「はい…… もちろんです」
姫が、応えると皇帝は、階段を上り始めた。
「随分と、お急ぎのようですね。お父様……」
ゆっくりと、姫へ視線を向ける。
「そう…… 見えるのか……?」
「いえ…… いつもリアナが思っていることです。お気になさらず……」
姫は、緊張が解れたかのように、穏やかな笑みを浮かべた。
「"頑張って下さいね。お父様!"」
皇帝は、ピタリと足を止めた。
「何を…… 頑張れと言うだ? 私は、ただ…… 階段を登っているだけだぞ?」
皇帝は、突如と鋭い視線を向けた。




