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独裁者の姫 (一章完結!「表紙有り」)  作者: ジョンセンフン
一章 影の病
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二幕

「……リアナ様が食事を摂っている間に部屋の掃除を済ましておきますね。ほら、アロッサ! 急いで準備するわよ。この後も、まだまだ仕事が残っているんだから急ぐわよ」


「はい。急ぎます」


 二人は質問に答えるわけでもなく姫に背を向けモップや箒を手に掃除を始めた。特に汚したつもりもないのに何をそんなに焦る必要があるのか。姫は動きやすい軽装のドレスを身にまとい二人を横目に部屋を後にする。私も特に急いでいるわけではないが、これ以上部屋にいても邪魔なだけだと二人の背中を見て思った。


「今日は珍しく準備が早いですね姫様。そんなに、皇后陛下に会うのを楽しみにされているんですか? きっと皇后陛下も喜ばれていますよ」


「全然。お母様に恥を欠かせたくないだけ。そもそも、半月に一回程度しか会わない人の顔なんて、覚えてないわ。どうせ、次に会う時までには、すっかり忘れてる。ただ時間を無駄にするだけ。早く済ませるわ」


 姫はスーツ姿の護衛を置き去りにするかの如く、早足で廊下を駆ける。早朝ということもあり廊下はまだ薄暗かったが特別、気にはしなかった。その後を、やれやれといった態度でオルディボが追う。いつもであれば皇族らしくゆったりと行くが、今日はそうもいかない。宮廷内が無駄に広いせいで早足でも数分かかる。


 部屋の前に着くと、数名の鉄砲を持った兵士が扉の前に列を成し私の到着を待ち構えていた。護衛の男が姫の肩を軽く突く。姫はまるでスイッチでも押されたかのように自然と笑みが浮かんだ。今朝一番の曇りなき笑顔だ。


「いつも、お仕事ご苦労様。そんな畏まらないで下さい。私が、こうして何不自由なく暮らせるのは皆様のおかげです。本当に感謝の限りです」


「勿体ないお言葉です。我々は求められた仕事をこなしているだけに過ぎません。皇族の方々の苦労に比べれば大したことありません」


 そう言葉を添えるのは、帝国軍レナード中将だ。歳は40代ほどであるが実際より少し老けて見え白髪混じりの髪が目立つ。我が帝国に長く務めていることもあり信頼が厚く規律正しい男である。常に何人かの兵士と行動しているため、あまり一人でいるところを見かけない。


 兵士達は姫に道を譲るべく廊下の中央を空けると右手を額の前に構え、敬礼の姿勢をとった。つかさず、護衛も兵士と同じ敬礼をする。敬礼の順番から宮廷内の序列が面白いほどに分かる。二人の兵士が扉を開けてくれた。防犯対策なのか単に大きさにこだわったせいなのか一人では中々開けられない仕様になっている。


 きっと豪華に見せようとするあまり機能性を無視してしまったのだと思う。でなければ、こんなに警備の硬い宮廷内に、こんな扉は必要ない。


「リアナ! 久しぶりね」


 私の姿を確認するや否やテーブルの席についていた我が母、皇后イザベラが複数のメイドを連れ、こちらへと急ぐ。姫とは打って変わって皇后のドレスは強欲な貴族の如く厚く豪華な物であった。その顔立ちは決して悪くはないが疲れを隠しきれないのか、いつになく老けて見える。表情も比較的穏やかであまり権威らしいものは感じられない。単に疲れているだけかもしれないけど。


「しばらく見ないうちに、また一段と綺麗になって。母として本当に誇らしいわ。髪も少し伸びたんじゃないの?」


「いえ、お母様。3日ほど前に切ったばかりですわ」


「あ、あら。そうだったの…… そ、そうよね。私ったら、まだ疲れてるみたいだわ。そうだわ、朝食を摂りながら少しお話ししましょう。今日はリアナの好きな苺ジャムを用意したのよ。一緒に食べましょう」


「お母様。前も言いましたが、リアナはジャム全般が好きではありません。朝食にはいつもマフィンをいただきます。ぜひ覚えていってくださいね」


 決して姫の優しい笑みが崩れることはなかった。どんなに、その場が凍りつこうとも姫の笑顔は暖かかった。姫は、それ以上何か言うわけでもなく静かに自分の席の前に立つ。皇后が寂しげな様子で姫の前の席に座ると、それを合図に姫も席についた。護衛は扉付近で静かに待機している。


「それで、リアナ。何か変わったことはなかったかしら? 何かあれば話してほしいわ」


「特にありませんわ、お母様。いつもどうりです」


「そう……」と皇后は言葉を失う。テーブルの上の食事だけが減り、次第に時間が過ぎる。まるで食事に手をつけない皇后と違い姫は美味しそうにマフィンを嗜む。何か言いたげな皇后には見向きもせず、姫は朝食を終えた。


「今日はあまり食べる気分ではないわ。この後の社交会の準備もありますし、このくらいにしましょう。リアナ、貴方も今晩のために早めに準備なさいね」


「はい。そうさせていただきますわ。ご馳走様でした」


 姫は皇后が席を立つのを確認すると、すぐに立ち上がり扉へと急ぐ。まるで、一刻も早くその場から逃げ出したいかのように。すぐさま、扉が開くと姫はオルディボに視線を向けダイニングルームを後にした。しばらく無言だった護衛もある程度の距離を進んだ辺りで口を開いた。


サブタイトル、一幕とか二幕とかでやってるけど、これならいっそうタイトル無しにしたいな〜

まあ、必須だから仕方ないんだけど。他に良い方法無いかな?

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