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独裁者の姫 (一章完結!「表紙有り」)  作者: ジョンセンフン
二章 悪魔祓い

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第十九戦

 ガルマン中将の額に僅かな雫が垂れる。


「それで? いったい何があったんだい?」


「何があったか……?」


 中将は、眉を顰めた。


「皇后陛下のことだよ! 誰かにやられたんじゃないだろうね?」


「馬鹿なことを口にするな! 皇后陛下はもとより不治の病を患っていた。いずれこうなることは予測できていた…………」


「予測できていたって…… あんたら、それが分かっていて防げなかったてのかい? いったいなんの為に宮殿に在住しとるんだい!」


「なんだと? 使用人が我々に責任を問うか?」


 ハァ………… ハァ………… 次第に歪んだ視界が元に戻る。うるさい…… うるさい…… なんで、こんなに騒がしいの……?


「使用人でありながら皇后陛下の日々の体調の変化にすら気づけんかった貴様らメイドにも……」

 


「" うるさいッ! "」

 


 宮殿中に、姫の咆哮が伝わる。


「リアナ様……?」


「お母様が死んだのよ…… 少しは…… "静かにしなさい!"」


 姫は、その場に立ち上がると皆の顔をじっと見渡した。充血した瞳を僅かに輝かせ、威圧する様に視線を送る。その言葉に従うかの様に、その場にいる皆が口を閉ざす。皆、理解していた。皇帝代理であった皇后陛下が亡くなった事実。そして、その地位が誰に継承されたのか。そして、姫の放った何気ない一言が皇帝陛下直属の命令に匹敵するということを。


 

 "カーーーン" "カーーーン" "カーーーン"

 


 突如、宮殿内に響き渡る三度もの鐘の音。皆が頭上を見上げる。しかし、その場の誰一人として口を開ける者はいなかった。


「ハァ………… ハァ………… ハァ…………?」


 全員の視線が一点に向く。陸軍、海軍、使用人、その全てが何かを待っているかの様に真剣な眼差しでこちらを見つめる。表情からは何を考えているのかまるで分からない。姫は、その光景に思わず、一歩退く。


「ごめんなさい………… 今のは忘れて…………」


 姫がそう言うと、皆は各々顔を見合わせた。


「あの………… 私………… これから何をッ!」


 姫は、思わず口を閉ざした。落ち着いて。ダメ。そうよ、お母様が死んだのよ。今は私が皇帝代理…… 弱みを見せてはダメ…… 姫は、固唾を飲んだ。


「その…………ッ」


「報告します! リアナ皇女。もう間も無く、この宮殿は我々、陸軍により完全に包囲されます。これより、七十二時間、何人も外へ出ることを禁じます。もし破れば…… その場で処理されることになる。以上です」


 中将の言葉に、姫は、息を整えた。


「そう…… 分かったわ。ありがとう……」


「リアナ皇女! 皇后陛下はどうされますか? 聞いての通り外へ出すことは出来ません。感染症のリスクもあります。一度、棺桶へ入れて離れた部屋へ送る必要があるかと」


 ガルマン中将が意見をすると、再び姫へ視線を向ける。姫は、ゆっくりと視線をベットへむける。無意識に拳に力が籠る。


「そうね。そうしましょう…… 七十二時間後、そのまま外へ埋葬しましょう」


「ビアンカよ。用意出来るな?」


「はっ、命令するんじゃないよ。当たり前さ。あんたら聞こえたかい? 今すぐに用意するよ。棺桶が無いなら簡易的なものでもいい、急いでやるよ! ルカ? あんたは残りな。何があるか分からないからね」


 そう言うと、ビアンカ達は走る様にその場を後にした。すると、ガルマン中将は、おもむろに胸ポケットから一つの懐中時計を取り出すとじっと見つめた。


「それで、レナード中将よ。貴殿はこれからどうするつもりだ?」


「どうするか?」


「とぼけるな。もう時期、時間だ。準備は出来ているな?」


 ガルマン中将が、そう言うと中将は、帽子のつばを押さえた。


「どう言うこと? 今は、包囲されているから左遷にはいけないんじゃ……」


「だからですリアナ皇女。いくら奴といえど警鐘の後に外へ出ればその場で処理される。しかし、奴の左遷は決定事項。だから聞いているのです。決定事項を破り投獄される準備は出来ているのかと」


「レナード…………」


 姫の視線が中将共に向き合う。すると中将は僅かに瞳を閉じると口を開いた。


「ルカ。一つ頼みがある。私の荷物が下にある。運ぶのを手伝ってくれないか?」


「はい…… 私はかまいませんよ。どちらへ?」


 中将は、おもむろに、ガルマン中将へ視線を移した。


「"正門だ"」

 すいません。昨日投稿したと思ったら忘れていました。大変失礼しました!

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