表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

0 マスコットキャラカンパニー

来ていただいてありがとうございます。




見上げれば空には大きな虹。どこまでも続く淡いインペリアルトパーズの空。大理石の床にはギリシャ神殿のような柱が何本も立っていて、どこまでも遠くまで続いている。その果てには大きく光る不動の星。そこはとても不思議な世界だった。


ピカピカに磨かれた床に映るのはモフモフの白いうさぎみたいな動物。ほぼ二頭身だ。いや、耳の長さを入れると三頭身か。周りを見ると同じようなファンシーな動物たちがいっぱい。他の子たちも、二頭身から三頭身。みんなかわいい動物(?)達ばかりだ。ここはモフモフ天国のようだ。もう一度床を見る。右手を上げるとうさぎも右手を上げる。左手を上げると左手を。首を傾げるとうさぎも……。


(何だぁ夢かぁ。自分がうさぎみたいな動物になってるなんて……)

そう、確か自分はゆうべから熱を出して寝込んでいるのだ。熱は朝になっても下がらず、学校をお休みしたのだった。高校生の三雲真白はそんな風に考えた。自分はとてもファンシーな夢を見ているのだ、と。



「はーい!みなさーんご静粛に!」

この場所にそぐわないメガホンを持った背の高い男が声を掛ける。男とは言ったが、声でそうわかるだけでその男は白いフード付きのコートを着て、白い仮面を被っていた。

「今から、マニュアルをお渡しいたします。お一人に一つずつです。順番に取りに来てください」

そう言って白い仮面の男は動物達に本を配り始めた。表紙はここの空の色。そして一つ一つ異なる宝石が埋め込まれている。分厚い本だが全く重さを感じない。

「あれぇ?一冊足りない……おかしいな。数、間違えたかな?ま、いいや」

そう言うと、白い仮面の男は虚空から本をもう一冊取り出した。

(不思議な本だなぁ……。何が書いてあるんだろう)

真白に渡された本には乳白色の涙型の宝石が付いていた。真白は本を開こうとしたが、糊付けでもされたように全くページが開かない。


「えー、このマニュアルの使い方は簡単です。表紙についた宝石に触れて、頭の中で知りたいことを念じるだけです。それからこれは魔法書仕様になっておりますので、空間からの出し入れが可能です。皆さんの場合は体の中にしまうことが出来ます。出す時は『開け』。しまう時は『閉じよ』と言うだけで大丈夫でーす。簡単ですねー。では一回やってみましょー」

真白は言われた通りに

『閉じよ』

と言ってみた。すると本はぱっと消え、

『開け』

と言うと、再び現れた。

(えー面白い!この本不思議!)


「はーい、みなさんよくできましたねー。このマニュアルにはみなさんの魔法少女への指令書も表示されますので、よく読んでミッションを一緒にこなしてくださいねー」

わらわらといるファンシーな動物たちが本を手に、「はーい」と手を挙げている。幼稚園か小学校の低学年のクラスのようだった。

(?????、魔法少女?え?何それ?)

真白は本当に不思議な夢だと思った。それから動物たちは皆それぞれの空へ飛び立っていった。真白だけがその場に取り残され、どうしていいか分からないでいた。夢は一向に覚める気配が無かった。



「ん-?どうしてあなたはいつまでもここにいるんですか?」

白い仮面の男が困惑したように話しかけてきた。困っていた真白はこの男に話を聞いてもらった。

「なるほどぉ。そうですかぁ。これは珍しい事例ですねぇ……。あなたは前世の記憶を持ったままここへ来たんですねぇ、たぶん。残念ながらこれは夢ではありませんよ。あなたは……」




「転生した……?」

(ということは……、私って死んじゃったの?)







ここまでお読みいただいてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ