3
短いですが他の作品含め三ヶ月も空いてるので投稿します
「じゃあ、せっかくだし私が服選んでもいいですか?」
「はい?」
店員さんに丸投げするつもりでいたのでありがたい提案ではあるのだが、まさか向こうからされるとは思わなかった為に素っ頓狂な返事しか出なかった。
「取り敢えず服のサイズ教えてくれます?あ、わからなかったら店員さんに測ってもらえますよ」
「えっと、サイズはわかんないです」
「そっか!すみませーんこの子の採寸をお願いします!」
近くに居た店員を呼び止めるとあれよあれよと進んでいき、採寸を済ませ九重の元へ戻ると彼女が服を持ってくると言い何処かへ行ってしまった。
彼女を待つ間は暇で、目の見えない今は特にすることがないが今更ベンチを探すのも億劫に感じたのでそのまま立って待つことにした。
何時もだったらスマホで暇潰しができたのにな・・・
「お待たせ致しました。試着室へご案内致します」
恐らく五分も経っていないが九重が戻ってきた。
案内された試着室へ入り、服を手に取った所で動きを止める。
どうしようか、どんな服かわからないから着方もわからないぞ・・・
「あの〜すみません。着方がわからないのですが教えてもらえますか?」
心が問い、服を渡すと九重が「あっ、ごめんなさい」と言い試着室へ入ってくる。
「もしかしてブラジャーつけたこと無いのですか?こんなに大きいのに・・・」
「いやーあはは・・・」
昨日までが男だった訳でそれで着けたことあったらそれは不味いだろうと考えたが、言葉にするわけにもいかず心は苦笑いを浮かべる。
そんな会話をしている間に九重は次から次へと服を着せていく。
こ、これは・・・ワンピースか!なんとも防御力が心配になる服だな・・・
できればズボンタイプが良かったが折角選んでくれたので文句は言えない。
「おおー私の読み通り凄い似合う!」
「ほ、本当ですか?ではこれと同じ服と下着をもう一着ずつ買いますから私はこれで」
なにやら「もっと色々な物を着せたい」と聞こえてくるが 出来れば買い物をさっさと済ませたかった心は近くに居た店員を呼び止める。
「これと同じ服と下着をもう一着下さい。今着てるのはそのまま着て帰ります。会計はカードで」
「畏まりました。それでは準備致しますのでこちらで少々お待ち下さい」
先に準備していたカードを渡して会計を済ませると、なにやら2人分の足音とカチャカチャと硬いもの同士がぶつかるような音が後方から聞こえてきた。
「あー、キミ、ちょっといいかい?」
肩を軽く叩かれ、声を掛けられる。
その声は先程まで対応をしてくれていた店員のものとは違い、男性の声だった。
「さっき色んな方から通報があってね?丈のあってないスーツを着て突っ張り棒を白杖の様に使っている目の見えない女の子が居るって。それってキミのことだよね?」
恐らく警官であろう男性に見に覚えがありすぎる特徴を挙げられ、特に悪いことはしてないが心臓が早まっていくのを感じていた。
まだ隣に居てくれた九重にさんにも話しを聞きたいそうで一緒に持つように言われた。