プロローグ
――キィイイイイ……!!!
タイヤの滑る音とともにトラックの車体が、道路で蹲る少女へと迫り、およそ20メートルほどまで接近したあたりで少年が道路へ飛び出そうという動きを見せる。
しかしながら、第三者の目から見てもその距離はほど遠く、巨大な質量の車からその命を守ることが難しいことは容易に想像でき、そしてその瞬間は残酷にも差し迫っていた。
「――っ!!」
その一部始終を傍観していた小柄な少女は、まるで体重など存在していないかのような速度で動き、その小さな質量に見合わない力を以って、蹲る少女を道路脇へと突き飛ばした。
――バギィ……!!
その刹那、鈍い音や衝撃とともに、小柄な少女の体は軽々と宙を舞った。
地面を数度ほど転がったあと、アスファルトに寝そべる小柄な少女は片目を開ける。
「先生……!? し……しっかりしろよ!?」
「かなちゃん!? かなっ!? 死んじゃヤダよ!?」
心配する二人を安心させようとしたのか、小柄な少女は笑みを浮かべながら頬に触れる。
「二人とも……無事で……良かった……」
力尽きるように、小柄な少女の手は頬から離れ、はらりと地面に落ちた。
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