領土奪還③
エルエ国王都ルトで軍議が行われていた。
しかし、それを行っている間にも、伝令は続きざまにやってくる。
「報告します!ジカウゴ地方で大規模な農民の反乱が起こりました」
「報告します!ヤコノ村で農民の反乱が――」
「報告します!フェズ国が反乱に乗じて、次々に我が国から領土を奪い返しています」
そのどの報告もが、エルエ国にとって悪い報告であった。
「何と言う事だ……」
「いったいどうすれば……」
そのため、その場にいるエルエ王の家臣達も不安を口にするばかりである。
「落ち着け!」
王が一喝すると、どよめきは収まる。
そもそも、それをどうにかするための軍議を、今開いているのだ。
(不安を口にするばかりでなく、解決策を探って欲しいものだ)
武官はともかく、政官には知恵を絞り出せと言いたくなる。
「何か策はあるか?ロヤ」
そして、結局はこうなるのだ。
だが、エルエ王はこれが最も正しい道だと理解しているし、信じていた。
「はい、策ではありませんが……一つだけ」
何故なら、ロヤは必ず知の将としての働きを全うするのだから。
「言ってみろ」
エルエ王に言われ、ロヤは苦虫を噛み潰したような顔でその答えを言った。
「現状、農民の反乱を抑えながら、フェズ軍の相手をするのは厳しいです。というよりは、それによって我々が消耗するのが、ゼルバの狙いです。このままいけばフェズ国が自国の領土を取り返し切る頃には、エルエ国とフェズ国の国力は逆転しているでしょう」
「ふむ……では、どうするのだ?」
それに対して、ロヤは口を開くのをためらっている様子であった。
しかし、意を決したように口を開いた。
「全ての奪った領土から兵を引き上げます」
それは、躊躇って当たり前の言葉だった。
つまり、今まで行ったことを、無に帰すと言っているのだから。
「……それしかないのだな?」
エルエ王は、少し黙った後にロヤに聞いた。
「はい。しかし、それで終わりではありません。兵の消耗を抑え、フェズ国を迎い撃つ準備をします」
ロヤがこれを策と呼ばないのは、消去法で選ばされた方法だからである。
これ以外の方法がなかったのである。
「わかった。それで行こう」
ロヤの顔を見れば、苦肉の策であることは、誰もが悟れるところである。
だからこそ、エルエ王も何も言わず、それを承諾した。
「申し訳ありません。しかし、必ずやゼルバを討つ策を練っておきます」
そうして、軍議は終わったのだ。




