領土奪還②
アガユワ村という村がある。
フェズ国とエルエ国において、現在の最前線に当たるところにある村であり、もちろん元はフェズ国、現在はエルエ国に当たる村であった。
そこで、その村の権力者が五人ひっそりと集まり話し合っていた。
「こっちは準備万端だ」
「こちらもじゃ……」
「いつでもいけるな」
皆、体を寄せ合って、小声で話し合う。
「では、今夜にでも決行しよう」
「ああ、待ってなどおれん」
「我々には神の遣い、ゼルバ様がついているんじゃあ!」
興奮して一人が立ち上がる。
言うまでもなく、それは反乱の話し合いであった。
「貴様ら!そこで何をしているか!」
その時、その家に兵が踏み入って来た。
兵達は五人で踏み込んできて、それぞれ一人づつに槍を突き付ける。
その手際の良さから、騒いだから見つかったと言うわけではなく、最初からバレていたと考えられる。
「ぐ……」
「もう少しじゃったのに……」
その場にいる権力者は老人ばかりである。
兵に囲まれては、どうしようもない。
「連れて行くぞ!」
老人たちは、槍を突き付けられたまま、仕方なく連行されて外へと出た。
「ん?」
そこで、兵達が異変に気が付く。
「なんか騒がしいな?」
そして、その理由はすぐに判明する。
「襲撃だ!フェズ国のアカツキ隊が来たぞ!」
「なにっ!」
それを聞いて、兵達は身を震わせた。
それは恐怖である。
「あの、ズェガェ様を討ち取ったという千人斬りの……」
「ぐあっ!」
その時、近くで悲鳴が上がる。
「どうした!」
兵がそちらを見ると、老人の一人が兵へと飛び掛かっていたのだ。
「倅のかたきぃ~!」
隠し持った包丁で、兵を殺さんと目を血走らせていた。
「このっ!」
急いで兵達は、その老人を槍で突き刺す。
「ぎゃっ!」
老人は、悲鳴を上げてあっさりと死んだのだ。
「おい、他の奴は……」
「あっ!」
兵が焦って一人の老人に目を向けた隙に、他の老人たちは逃げていた。
「ロケ婆の犠牲は無駄にはせんぞ!」
「おおい!皆の衆!今じゃ!今こそ反乱の時じゃ!」
「フェズ軍が助けに来てくれたぞ!」
それを聞いて、鍬や鉈、包丁などを持った村人達が次々に現れ、手近なエルエ兵に次々に襲い掛かった。
「くそっ!こいつら!」
それでも、装備の充実した兵にかなう事はなく、すぐに殺されそうになってしまう。
「ふんっ!」
「ぐあっ!」
だが、ギヨウが、アカツキ隊がそれを阻止し、エルエ兵を倒していったのだ。
「ありがとうございます!」
「無理はするなよ」
正直に言えば、もういいと言いたいのだが、そんな事を言ってはいられないのが現状である。
これがゼルバの策であり、民の協力を得られなければ、この先エルエ国を追い返すことは出来ないのだ。
「よし、行くぞ!」
戦いは続き、いつしか終わった。
民の手助けもあり、アカツキ隊は簡単にエルエ兵を排除することに成功したのだ。
「ありがとうございます。我々、ゼルバ様が蘇ったと聞いてから、必ずフェズ国の助けが来ると希望を持ってまいりました。宴を開きますので、皆さん是非」
戦いが終わると、アカツキ隊は村に歓迎された。
「ああ、ありがとうよ」
こう言ったことは今までなかったため、ギヨウからすると気分はかなり良かったのだ。
このように、フェズ軍と連携を取る村もあれば、自主的に百姓一揆を始める所も多かった。
そのため、フェズ国は楽に、どんどんと自国の領土を取り返して行ったのだ。
しかし、それを黙って見ているエルエ国でもなかった。




