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ゼルバ復活⑦

 その夜の事である。

 ギヨウは、一人で待っていた。

 それは、もちろんゼルバをである。

 約束をしたわけではない。

 だが、ギヨウは待っていたのだ。


「そろそろ、答えは出ましたか?」


 そこに、ゼルバはやってくる。

 例え示し合わせていなくても、ギヨウの前にゼルバはやってくるのだ。


「答えは、最初から出てるよ」


 悩んで出ていったくせに、ギヨウはそんな事を言った。


「それは良かった」


 ゼルバが嬉しそうに笑った。

 その答えが、どちらかもわからないのに。


「最初から、俺が目指しているのは天下無双だ。強い奴は全員ぶっ飛ばさないといけねえからな」


 ただの一瞬も、迷うべきではなかったのだ。


「頼もしい事ですね。頼りにしてますよ、ギヨウ」


 ゼルバは、やはり嬉しそうに笑ったのだ。

 


     ♦



 また、同じころ、一人でいるミュエネの元に、森の民の族長が訪ねて来る。

 いや、正確には、ミュエネも待っていたのだ。


「おお!ミュエネよ!久しいな!何故、森に戻って来なかったのだ?馬くらい取りに来ればよかったのにの」

「だって、戻ったらみんなは止めるでしょう?」

「そんなことはないがの」

「そうね」


 ミュエネは納得する。

 現状を考えれば、そういうことになるからだ。

 そして、ミュエネはそれを聞くために族長を待っていたのだ。


「なんで、みんな森を出てきたの?ゼルバを助けるのはわかるけど、そこまですることはないでしょう?」

「ふむ……そうじゃな……ただ、儂らもエルエ国の奴等には森を焼かれた恨みがあるからの」


 それは、ミュエネが住んでいた付近の村の話だろう。


「復讐なら、私がやるだけで十分よ」


 ミュエネはそう言ったが、


「本当にそうか?」


 族長は核心をつく。


「どういうことかしら?」

「自分では気が付いてないかもしれんが、村にいた頃とは全く顔付きが違うわい。ついに小僧とつがいになったか?」


 そう言われて、ミュエネは顔を赤くする。


「べ、別に!そういうのはないわ!」


 そして、声を荒げたのだった。


「でも――」


 更にミュエネは言葉を続ける。


「私は、もう復讐なんてどうでもいいのかもしれないわ」


 ミュエネもそれは感じていたのだ。


「ただ、ギヨウの側で戦えれば、いいかもしれないわ」


 それを聞いて、族長は笑う。


「カッカッカッ!それは、儂じゃなくて小僧に言ってやるんじゃな」

「言えないわよ」


 こんな恥ずかしい言葉。


「まだまだ先は流そうじゃのう……」


 これで話は終わりである。


「そういえば、お前の馬を連れて来てやったぞ」


 そのため、族長は立ち上がると、


「こっちじゃ」


 ミュエネを連れて馬の所へと移動する。


「久しぶりね」


 馬を見るなり、ミュエネは優しい目でそう言ったが、


「行きなさい」


 何故だかすぐに、馬を森へと返してしまった。


「いいのか?」

「ええ、私の座るところは決まっているもの」


 やはり、ミュエネは昔とは違う笑顔で、そう答えたのだった。

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