ゼルバ復活②
ギヨウは馬同士の顔がくっつくほど馬を近づけて、ゼルバの隣へとやってくる。
そして、震える手でゼルバの体をぺたぺたと触った。
「なんですか?」
「いや、幽霊かと思ってよ」
実体があるか確かめたという事である。
「てか、お前ら全然驚いてねえじゃねーか!知ってたのか?」
まるで、全員ゼルバが生きていたのを知ってたかのように、涼しい顔をしていた。
嬉しくて涙を流しているのはギヨウくらいのものである。
「いえ、まあ……」
ベルベンが珍しく頬を掻いて、歯切れの悪い言葉を口にした。
「私達がもらった手紙には、私達にだけわかる暗号で、問題ないと書かれていたんだ」
そして、シルルがその理由を説明した。
つまり、この場にはいないがローゼオロメメアも知っていたという事である。
それに対して、ギヨウはミュエネを見る。
「私は知らなかったわ。ゼルバが生きていたのは嬉しいけどね」
ミュエネからすれば、涙を流すほどゼルバに思い入れがあるわけではないだけだ。
「なんで俺に教えなかったんだよ」
ギヨウが不貞腐れたように言う。
ミュエネはともかく、自分だけが仲間外れにされていたわけだから。
「お前は嘘が下手だろう。どこかでボロが出そうだから、ローゼオロメメアと話し合って、お前には教えない事にしたんだ」
敵を騙すには味方からというわけである。
「ただ、その……」
急に、シルルが暗い顔になる。
「そのせいで、あんなことになってしまったのは、申し訳ないと思っている。すまん」
シルルは、珍しく素直に頭を下げた。
それは、シンザとダククガの事である。
ギヨウがゼルバの生存を知っていれば、ギヨウが暴走する事もなく、シンザとダククガも死ぬことはなかったのだ。
「よせよ。あれは俺が悪い」
そう言ったギヨウの顔は暗かった。まだ吹っ切れたとは言えないのだろう。
そのため、誰もがギヨウに言葉をかけづらかった所、少しの沈黙が訪れる。
「そろそろ、よろしいでしょうか」
その沈黙を破ったのは、敵将ズェガェであった。
なんだか和気あいあいとした空気を出していたが、戦の真っ最中なのである。
「ああ、なんだか待たせちまったみたいで悪いな」
ギヨウが、ゼルバの元から離れ、ミュエネを地面に降ろして、ズェガェの前へと出る。
言われたわけでもないが、自分の役割を解っているのだ。
「いえいえ、感動の再会を邪魔するほど、私は無粋ではありませんよ。ふふっ」
この状況でも、ズェガェは余裕を崩していなかった。
だが、その心の中では、何を考えているのか、ギヨウ達に理解できることはない。
「それで、今度こそ、ギヨウが私の相手という事でよろしいのですね?」
今更違うと言われるわけがないが、何度もお預けをくらったズェガェだからこそ、念の為に確認する。
「ええ、もちろんです。ギヨウ、やれますね?」
「ああ!」
ゼルバに頼まれ、ギヨウは吠えた。
「では、これ以上言葉はいりませんね。体をぶつけあって、語り合うことにしましょう」
そして、ズェガェは矛を構えると、
「エルエ国の四傑将、守の将ズェガェが参ります」
名を名乗った。
「フェズ国の戦士、千人斬りのギヨウだ」
それに応じて、ギヨウも剣を構えると、名を名乗る。
それが合図となり、一騎討ちが始まった。




