ゼルバ復活①
死んだはずのゼルバの出現に、ズェガェはもちろん、敵兵、それに味方の兵も驚くばかりであった。
ただ、ベルベンだけが涼しい顔をしており、シルルは驚くというより、嬉しそうな顔をしていた。
「さあ、巻き返しますよ」
そんな中で、ゼルバはいつものように、変わらず、飄々とした態度で指示を出した。
その態度、その声、その姿全てから、誰もがそれが本物のゼルバであることを感じ取った。
「「「「「おおおおお!」」」」」
いつにないほど大きい雄たけびをあげて、フェズ軍が蘇る。
文字通り、蘇ったのだ。限界まで追い込まれたとは思えない勢いで、フェズ軍の兵は戦いだした。
ただ、ゼルバが姿を現し、号令をかけただけで、である。
それを見て、ズェガェは改めて確信する。
この、ゼルバという男を生かしておいてはいけないと。
そして今、まさにその手が届くところにゼルバがいるのだ。
だから、ズェガェはゼルバへと向かって行った。
だが――その間には、ゼルバと共にやって来た大柄な老人が割り込んでくる。
「ぬんっ!」
ズェガェは、その老人をどかすべく攻撃を加えるが、
「ふんっ」
老人は、その一撃を簡単に受け止めて、弾いてしまった。
「おう、ゼルバよ。こやつ敵の大将なのだろう?儂が倒してよいか?」
更に、その老人は余裕を持ってそんなことまで言った。
舐められている。とはズェガェは感じなかった。実際にこの老人は強いのである。
「駄目ですよ。先程、彼にも言いましたが、相手が違います」
ゼルバの代わりに、ベルベンが答える。
「むっ、そうか。残念じゃ」
すると、老人は大人しく下がった。
そのため、少しの間が出来てしまったため、ズェガェは仕方なく話しかける。
「もしかして、もう勝った気になっているのではありませんか、ゼルバさん?」
「確かに、戦というのは終わるまでわからないものですからね。今みたいに……ね」
挑発とも取れるゼルバの言葉に、ズェガェは落ち着いて言葉を返す。
「ふふっ、強がっても無駄ですよ。確かにあなたが生きていた事、外の国からの援軍には驚きましたが、まだこちらの方が兵数は圧倒的に上です」
いかに森の民が強いと言えど、数で勝るエルエ軍はもう態勢を立て直しつつあった。
「そうですね。これで終わりなら、ですが」
それでもゼルバは余裕を崩さなかった。
そして、実際に、更なる森の民の援軍が森から出現する。
その数は少なかったが、ズェガェは渋い顔をする。
「おおー、あれはキッパロ族じゃのう。力持ちが多いんじゃ」
老人が目の上に手をかざして、そう説明をする。
さらにその先で、次々に森から森の民の援軍が現れだす。
部落ごとに集まって動いているし、兵のように統率がとれているわけではないため仕方がないのだ。
蘇ったフェズ軍に、次々に来る強い援軍。
もはやエルエ軍の敗北は決まったのである。
「そして、ベルベンがあなたをここまで誘い込んでくださいました。もう逃げる事は出来ません」
「ふふっ、それで、私の相手と言うのはあなたがしてくれるのですか、ゼルバさん?」
ズェガェは観念したように笑い、それを聞いた。
「いいえ。その相手は、今来ましたよ」
ゼルバが横を見る。
ズェガェも同じようにそちらを見て、声こそ出さなかったが、大きく口の端を持ち上げて嬉しそうに笑みを作った。
「ゼルバァアアア」
その相手と言うのは、大きな声でゼルバの名を呼び、両の目から涙を流しながらやってきた。
それは、ギヨウであった。




