第40話 聖剣vs魔剣
「貴様が魔剣をもっていることは報告に上がっている。だが、これで相手ならどうだ!?」
ザニーは巨大な大剣をどこからか現出させる。
人の背丈と幅くらいはあるような巨大な大剣だった。
「聖剣ヴァルキアリー。本件により特別に至高なる御方からお借りした特別な剣だ! これで纏めてゴミ掃除をしてやる!!」
(ふん、聖剣だと? 冥界の覇者の娘たる妾に比肩できると思っておるのか?)
聖剣は光り輝くとその光によって何倍もの大きさになる。
「おおーーりゃあーーーー!!」
ザニーはそれを力まかせに振り回す。
ジーンはそれをかわす。スピードは大したことがない。
こんな攻撃がジーンに当たるはずがなかった。
だが聖剣は巨大に鞭のようにしなりながら縦横無尽に戦場のいる、魔族たちをなぎ倒す。
躱すだけだと被害が大きい。
(おい、あの聖剣の攻撃、お前防げるか?)
(誰にいっておるんじゃ!?)
(よし!)
ジーンはまるで一つのビルのように巨大化したその聖剣を、魔剣で防ぐ。
聖剣と魔剣とが重なりあった時、凄まじい光と闇の閃光が辺りに広がる。
「ぐぅゔゔゔゔおおおおおおおーーーッ!!」
鍔迫り合いのようになった衝撃をジーンは跳ね返す。
すると聖剣は光を失い元の大きさに戻る。
間髪入れずにジーンはザニーに上段からの振り下ろしをくらわす。
ザニーは聖剣でその攻撃を防ぐ。
金属と金属が弾き合う大きな打撃音が辺りに響く。
「どうした? 聖剣とはその程度か?」
「ぐぅううう、舐めるなよ!」
今度はザニーによってジーンは後方に少しふっ飛ばされる。
「聖剣を力を貸せ! 悪しき魔剣を聖なる力により打ち払え!!」
聖剣は今度はその剣自体が竜巻のようになる。
(聖なる力によって妾を打ち払うだと!? 片腹痛いは!!)
魔剣は漆黒の輝きを周囲に放ちだす。
凄まじい量と濃度の魔力が同時に周囲に漏れ出す。
余りの魔力にガルギアとビビアーナさえも、その瞳を見開いて驚愕の表情を浮かべる。
(いけ、ジーン!)
ジーンは最早竜巻になった聖剣に向かって魔剣を振るう。
すると竜巻は瞬く間に消滅する。
竜巻が消えた後には、何かしらの漆黒の残滓が宙に漂う。
聖剣に漆黒の何かがまとわりついたと思ったら、聖剣は真っ二つにへし折られる。
「馬鹿な! 天界より授かった聖剣が!?」
(ふん! 口ほどにもない)
聖剣はすると嘘のように砂状に変化する。
「あああああああーーー、聖剣が、聖剣がぁあーーーー!!」
最後聖剣はパラパラと消滅していった。
ジーンは魔剣をザニーに突きつける。
「もう降伏するか?」
「降伏するかだと? たまたま強力な魔剣を手に入れただけの、人間如きが調子に乗りやがって! 俺は失敗するわけにはいかないんだ! ここで失敗すると後がないんだあ!! ここで実績を上げて1階級まで、悲願の1階級までのし上がるんだあ!! ああ、至高なる御方よ、お応えください!!!」
すると天から光の柱がザニーに向かって振り下りる。
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